ワイルド・ドック
戦闘構成や撤退の合図などを確認した後に外に出るが
「前もそうだったが、家から数分でモンスター〈野犬〉の群れと遭遇するのはアレだな」
「そうですね、しかもどんどん増えてますよ」
援護役の俺とその護衛のマリナは戦闘の合間に話しているが
「頭、そっち行ったっすよ」
「あぁ、任せろ!」
「棟梁大丈夫ですか!」
「数は多いでござるが装備強化したおかげで楽に倒せるで候」
このまま〈野犬〉の群れと戦っていてもコッチが消耗するだけなのだが
「やはり、大きな危険がこちらに近づいて来ているな」
家から歩いてから約10分の距離にモンスターがこんなにいるのはもう見慣れたけど
「恐らく中ボスの1匹が近づいて来ている、このまま行けるか!」
「「「「大丈夫!」」」」
みんなはかなりやる気みたいだ。
それからさらに15分後、〈野犬〉の群れがさらに来たのと同時に
「マスター、あのひと回り大きなモンスターは中ボスですよ!」
〈野犬〉が大型犬くらいなら、中ボスの〈ワイルド・ドック〉は約2.5メートル位の大きさだ。
「おいおいかなりデカいな」
「小峰嬢、ここからは拙者達は梅雨払いでござるよ」
「あぁ、分かっているよ! 坂上、マリナ、頑張れよ!」
「既に攻撃しているからそっちも頼むな!」
俺は〈強通常弾〉でダッシュで接近して来た〈ワイルド・ドック〉を迎撃するが
「チッ、かすり傷だけか!」
「マスター、私が前に出ます!」
周りの〈野犬〉を盾にしながらジグザグにコッチに突進して来たので
「〈ガーディアン・シールド〉!」
マリナが防御スキルを発動して正面から受け止めるが
「うぐっ、かなりギリギリです!」
「だがスキは出来た!」
俺は右のハンドガンは〈通常弾〉で、左のハンドガンは〈追尾弾〉を使い〈ワイルド・ドック〉に攻撃するが……
「クッ、やはり素早いのと〈野犬〉を盾にするから中々当たらない!」
「このままでは難しいですよ!」
マリナが攻撃して来た〈野犬〉を〈サークル・エッジ〉で迎撃するが、大元には当たらない。
「数が多いのを利用して攻撃密度を増やしているからキツイでござる!」
「アタシ達も何処まで粘れるか分からないぞ!」
向こうも自分達の相手だけに精一杯みたいだ。
「マスター、手榴弾は無理ですか?」
「片方のハンドガンをホルダーにしまうと、手数が減って取り巻きの対処が難しくなるが、いけない事はない!」
俺は右手に持っているハンドガンをホルダーにしまって、新しく後腰に付けたアイテムポーチから手榴弾を取り出して
「コイツでどうだ!」
俺は思い切り投げたが
「マスター、〈ワイルド・ドック〉にはかすり傷しか当たってませんよ」
「いや、そうでもないぞ」
偶然かもしれないが、右前足に爆発か当たったみたいで引きずっているように見える。
「これはチャンスです。マスター、援護をお願いします」
「あぁ、思いっきり行け!」
俺はハンドガンを持ち直して一斉射撃で周りの〈野犬〉を蹴散らして
「〈カマイタチ〉」
マリナの剣から斬撃が飛び〈ワイルド・ドック〉が右に回避したが
「予想通りです」
回り込んだマリナが全力の〈サークル・エッジ〉を叩き込み
『グオォ!?』
と大きく鳴いて動きが止まった所を
「これで終わりだ!」
俺はマリナの斜め後ろから〈強通常弾〉をセットしたハンドガン×2でトドメを刺す。
『クゥォォオ!』
ついに〈ワイルド・ドック〉が倒れて紫の煙に変わった。
「棟梁、坂上さん達が中ボスを倒しました」
「了解でござる。ならコチラも雑魚を倒して終わるで候!」
「頭、やったっすよ」
「流石だぜ」
中ボスが倒された〈野犬〉側はパニックになっているので
「それじゃあ、この辺にいる〈野犬〉を倒しますか!」
「分かりました」
俺達は周りが落ち着くまで戦闘を続けた。