胎動編
初めまして〜
久々に小説を書いてみようかと思って置いてますけど、まぁまだ導入さえ入れてないという…
ぼちぼちと書いていきますのでよろしくお願いいたします!
「それではここにサインをお願いします」
言われるがままに、僕はサインを記入した
気持ちは落ち着いていたものの、やはりこれからの事を考えるとどうしようもないのだろう
震える手を少し抑えながら、丁寧に、言い聞かせるように書き終えた
『大神 零』
僕はゆっくりと息を吐きペンを置く
これで苦しみから開放される…
それだけが唯一の救い
これからの事などを色々と説明してくれているが、それをぼんやりと聞き流しながら、僕は今までの事を思い返していた
僕は病院という世界しか知らない
先天的に心臓疾患があって長くは生きられないはずだったのだが、既に15歳になろうとしていた
両親は既になく、研究材料として生かされているだけ
それが当たり前の僕にとって、それが不幸なのかは分からないけど、外の世界を見てみたいと言う欲求は漠然と抱えていた
いつ死ぬか分からない体でそれは過ぎた贅沢なのかもしれないけど、いつかはしてみたい
それは望みと言うにはあまりにも希薄で、生きる目的と言うにもかなり曖昧なものだった。そう、僕はこの時には、既に何もかも諦めきっていたのだ
学校も行ったことなく、友達と呼べる存在も居ない
学習用タブレットのAIとやり取りするくらいしか誰かとやり取りするって感じはない
確かに医者とのやり取りはあったりするけど、僕は彼等にとっては人では無いように感じていた
言葉は優しいが、その目を向けられると気安い言葉を言える感じではなかった
物を見るような目と言ったらいいのか…
そこには人間の尊厳なんて何も無くて、見られる度に『僕は要らない存在なんだ』と再確認させられていた
そんな中、新しい薬の検体の話が上がったのだ
僕はこれで楽になるならと特に何も考えずに了承していた
痛みは忘れさせる、終末医療薬
今の僕にぴったりじゃないか
うまくいったら本当に楽になれるかもしれない
それを期待しつつ、僕は静かに目を閉じた