底辺職のテイマーですが、ユニークスキル《テイム・女体化》で仲間にした魔物を美少女化できるようになりました
《テイマー》という職業は、本人が戦えない弱者の職業である――いつからか、そんな言葉が広まるようになっていた。
わたし――ルリエ・フィードルは、そんなテイマーにしか適性を持てなかった冒険者だ。
……悲しいことに、先ほども述べた通り、テイマーには居場所がない。
たとえば伝説の《魔獣》でも仲間にしているのならば別だろうけれど、多くの者はテイマーなど続けることはなく、自らで戦える《剣士》や《魔導師》としての道を選ぶ。
もちろん、適性があれば、わたしもそういう職業を選んだのだけれど……。ない物ねだりはできない。
けれど、わたしには冒険者という職業に憧れがあった。だから、たとえパーティが組めなかったとしても、冒険者として頑張っていこう。
そう思って……何とかテイムのスキルを上げようと努力していた。
「上がりには上がったけど……《テイム・女体化》ってどういうこと?」
わたしのスキルレベルが上がると、スキルは《ユニーク化》した。
時折、冒険者の職業特有のスキルはユニークスキルとなって、珍しい者では数万人に一人の割合でしか、発現しないスキルもある。
未だに文献にも載らないようなスキルを発現させる者もいるというが……今のわたしがまさにそれであった。
「わたしのスキルじゃスライムも仲間にできなかったけど……」
その辺にいる、雑魚モンスターと言われるスライム。
それすらも仲間にできず、わたしは短刀でスライムを倒す日々を続けていたわけだけれど。
今日、このレベルの上がったテイムスキルで、スライムを仲間にする。
スキルを発動すると、手に『紋章』が灯る。その状態で、スライムに触れ――テイムに成功すれば、スライムに紋章が刻まれるはずだ。
わたしは草むらの陰にいたスライムに対して、早速《テイム・女体化》スキルを使うことにする。……名前から判断すると、オスのスライムがメスになったりするということだろうか。
スライムに性別があるか分からないけれど。
スライムに触れると、やがてわたしの手の紋章がスライムにも刻まれる。……初めて、テイムに成功した。
「やった――わっ!?」
成功すると同時に、目の前のスライムに変化があった。
水色の液体だった身体が急に人肌の色を持ち、形も人間のようになっていく。
――目の前に現れたのは、まごうことなき人間の少女だ。
「……へ?」
わたしは、目の前で起きた出来事が信じられなかった。
そこにいるのは、水色の髪の美少女。
下腹部にわたしがテイムした証拠である紋章が刻まれている……一糸まとわぬ姿の少女。
――紛れもなく、そこにいるのはわたしがテイムしたスライムであり、そしてスライムらしさは髪の色くらいしか残されていなかった。
「……」
「えっと、こんにちは?」
わたしはそんな、当たり障りのない挨拶を口にする。
美少女と化したスライムは無言のまま、わたしを見つめていた。
《テイム・女体化》とは、どうやらテイムした相手を『女の子』にするらしい。
けれど、元がスライムだからか、話せるようになるわけではないようだ。
スライムもまた、ようやく自身の身体を確認するような仕草を見せる。
……とりあえず、裸のままなのはどうにかしないと。
「上着だけでも着てもらおうかな」
「……」
「ど、どうしたの?」
ずいっと、距離を詰めるようにして、わたしの前に立つ美少女スライム。
表情は相変わらずの無表情で、どこか威圧感すら覚える。
だが、美少女スライムはそのまま確かめるように、わたしの手を取った。
「え、意外と柔らかい……?」
触れてみると、その部分の色が水色に変化し、スライムのようになった。
どうやら見た目は美少女になっているが、本質はスライムのままのようだ。
果たしてこのテイムスキルに意味はあるのだろうか……そう思っていると、美少女スライムは不意に、わたしの口元に顔を近づけて――キスをした。
「……? ……っ!?」
その事実に気付いて驚いた頃には、わたしの唇は、美少女スライムに奪われてしまっていたのだ。
……わたしの『初めて』はスライムの味がした。
顔を離したスライムは、ようやく無表情から笑顔を見せてくれる。
こうして――わたしは初めて、テイマーとしての一歩を踏み出すことになった。
わたしのことをとんでもないくらい溺愛してくれるスライム美少女と共に、冒険者としての一歩を。
そして、仲間を増やすたびに――魔物を美少女としていくことに、わたしはしばらく経ってから気付くことになるのだった。
スライムに性別があるかはともかくとして……このネタは果たしてTSなのかどうかも私には分からない。
ただ、オスの魔物が出てくるのは間違いないのでやはり連載すればTS……!?
たぶん実際に連載すると、『テイマーとしても役に立たずにパーティを追放されてしまい、ピンチなところでスキルに覚醒して、スライムちゃんを美少女にして女体化魔物ハーレム無双を始める』というお話になると思います。
そういうのが好きなんです!