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かぼちゃスープ  作者:
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第1話

 

 最初に言っておこう。私は寝起きが悪い。 

 

◇◇◇ 

 

 「1つ、起きたら電話すること

  2つ、お金はちゃんと使うこと

  3つ、冷蔵庫とダンボールにある食材を使いきること

  以上を守っていい子にするように。休暇の終わり頃には帰ります。

  追伸:台所に朝ごはんを作っておいたのでそれを食べるように。母より」


 えらく達筆な文字で書かれたそれは床の間のテーブルの上においてあった。

 それを手にした私の前で、先ほどつけたテレビからお天気キャスターのお姉さんの元気な声が流れてくる。

 ちなみに私はこのお姉さんが好きである。

 朝のボーっとした頭をスッキリさせてくれるような元気な声で、笑うとえくぼができるのがかわいい。またこの


「はい!今日は全国的に快しぇいとなるでしょう。気おんのほうも8月上ぢゅんの暑さとなり、熱中ちょうには十分気をつけて、小まゃめぇに水分補給を取りましょう。女性の方は紫外線に気をつけてしっかりと対策をしときまぢょっあたっ!。」噛み噛みである。

 画面の下にはいつものように、お詫びと今日の天気予報のテロップが流れている。 

 これでも、当初よりはだいぶ良くなったほうだ。というか、最初が酷すぎた。

 あまりにも噛み過ぎて舌が切れたらしく口から血を流していた。

 それにも気がつかず噛みながらも話そうとし口からさらに血を流しはじめた彼女を周りで呆然としていた人たちがようやく止め一時中止のテロップが流れた。

 初めて見た時には私も呆然とした。

 あの時の彼女は、目が血走っており、鼻息は荒く、肩で息していたその様はすさまじく、しっかりと頭に残ってしまい、その日1日は彼女の姿が頭から離れなかった。

 次の日も当然いないだろうとは思いながらも気になり、テレビをつけてみると、彼女はいた。しかも、今度は泣きながらその日の天気予報をし、しまいには涙と鼻水とメイクでグチャグチャになりながら昨日のことを謝りだした。

 そして、また一時中止になった。ついでに泣きながらやはり噛んでいた。

 そして、今に至る。


 見た目はスッキリ美人さんで出来そうな感じの人なのだが、典型的なアガリ症である。

 よくもまあ、この仕事をやろうと思ったものだ、いや、上の人間もよく彼女を出し続けたものだ。どうやら、彼女の必死な姿にどういうわけか感動したのかよく分からないが、視聴者から応援や辞めないでほしいなどの電話と手紙が多数きたらしい。

 確かにあまりにの必死すぎて、逆に私も感心したが。

 会社側も予想しなかったその声援に、というか普通は非難の電話がくるはずなのだが、とにかくたくさんの声援にはげまされた彼女は今日までがんばり、なんとかやってこれた。

 さすがに、会社側も全てを任せるわけにはいかなく、天気予報の一部をだけと正確な天気予報を流すことにしたようだ。

 今では私も子を見守る親の心境であり、毎朝のかかせない習慣となっている。

 彼女の一生懸命でひたむきな姿はもちろん好きだが、私が1番好きなのは彼女の目である。

 文字通りそのまんまの意味だが、彼女の目を見ると本当にこの仕事が好きなんだなー、ということがよく分かる。

 時折、いいことがあったのか、キラキラと光る目がとても綺麗でずっとみていたくなる。

 今日もとてもいい目をしている。


「うん、やっぱり好きだ。」そう私は小さく笑った。



 彼女の天気予報は終わり、

「花野アナウンサーありがとうございました。さて、次の特集です。すでにはじまってる学校も多いですが、そろそろ全国の学校では夏休みがはじまりますね。今からはそんな夏休みの間の様々なお祭りについてのです。」周りの人も慣れたもので、普通の

 そこまで聞いたところで私はテレビから意識を離した。

 私は手にあるそれをもう1度読んだ。

「・・・台所に朝ごはん」

 覚束無い足取りでふらふらと台所に向かった。

 コンロの上になべがあり、蓋をあけてのぞくと

「かぼちゃスープだあ」思わず顔が緩む。

 中には、黄色のトロっとした美味しそうなスープがあった。

 このまま、温めてパセリをかけて、パンを添えたら完璧だ!

 さっそく実行に移した。朝からルンルン気分である。

 私はかぼちゃが大好物である。愛してるといっても過言ではない。

 あの黄色い姿を見ていると幸せな気分になる。

 もちろん、かぼちゃ料理ならたいていはできる。

 私の部屋にはかぼちゃ料理の本がたくさんあり、日々修行中である。


―あ、部屋の布団片付けないと。


 コンロの火を止めて、私は自分の部屋に向かった。

 ついでにふすまや障子を開けて、部屋に朝日と空気を取り入れた。

 お姉さんが言った通り空はカラッと晴れ、夏特有の暑さと匂いが流れこんできた。

 セミも鳴いており今は朝の6時半だがそろそろしたら、セミの鳴き声であふれるだろう。

 セミの鳴き声を聞くとさらに暑くなるという人もいるが、確かに分からなくもないが特に私は夏は嫌いではないので、夏の暑さやセミの鳴き声も苦ではない。

 そもそも、嫌いな季節などないが。

 そんなことを思いながら、自分の部屋に向かい戸を開けるとそこには、

綺麗な女の人と外人っぽい男の子が布団の上で並んで寝ていた。


「わあ、18禁な世界。」思わず呟いていた。



 *****




 



                                        




今回はじめて小説なるものを書かせて戴きました。

更新は遅くなるとは思いますが、最後までつきあってくださればとても嬉しいです。

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