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35.入城

待っていたという方、本当に申し訳ないです!

ようやく新しいバイトが決まり、次の給料日まで乗り切れば人並みの生活が保証された作者でございます!!


いやぁ大分きつかったっす……。

まさか働いていたところからいきなり連絡が途絶えて仕事が来なくなっちゃいましてね( °_° )

急いで面接を受けに行った次第でございます!


復帰1発目だから〜というより、前のような文章はもしかしたらもうかけなくなっているかも知れませんが、それでも終わるまで書くつもりですので、どうぞよろしくお願い致します┏○ペコッ

 「「あるぇ、クオンさんの様子がおかしいぞぉ?」」


 目の前まで迫ったクオンと『朱』、これ程まで派手な色と大きさの魔法では、流石に城まで遠いとはいえ気づかれそうなものなのだが、一見しても特に変わったことは無い。


 「せ、セスっ……」


 少し潤んだ瞳と真っ赤な顔、震えた声で俺を呼びながら近づいてくるクオンは俺の中の可愛さ臨界点を軽々と超えていた。


 「「大丈夫、精神操作系の魔法は見たこともかかったこともあるから分かってるよ」」


 流石に現状況を総合してみると、真面目なクオンが戦闘中に抑えていた性欲……愛を、操られていたとはいえ話してしまったことは相当恥ずかしいことだろう。

 別に、愛を語ることに関しては平気なクオンにとっては、『操られて』語ってしまったことが恥ずかしさに繋がっているのだろう。


 恐らく俺が操作されなかったのは、豚男が俺を標的にしなかった、あるいは特典の一つである状態異常無効が自動的に発動したかのどちらかだろう。


 「う、うん……そう言ってもらえると少しは気持ちが楽になるよ。あっ、でもねセス」


 顔の赤みが引いたクオンは俺に抱きつき押し倒しながら『朱』で包み耳元で囁く。


 「……私の恥ずかしがってる表情を見て喜んでたの知ってるから。ちょっとだけお仕置きねっ」

 「「えっ! 可愛かったから仕方な……むぐぅうう!?」」


 耳元から顔を離したかと思うと、次の瞬間には俺の口はクオンの口に封じられ体は痛いほどに抱きしめられていた。

 急がなきゃいけない気持ちと目の前の快楽に身を委ねたい気持ちの間に挟まれるが、拘束されていることを建前として大人しくされるがままにされていた。


 俺の体でクオンに触れられていない箇所がないくらいに滅茶苦茶にされた後ようやく開放された。

 どれだけの時が経ったのかは分からないが、あの男が無事な間は状況が悪くなることは無いだろうから今からでも取り戻しは出来るだろう。


 「すまない、セス。感情が戻ってからずっと抑えてはいたんだがさっきので抑えられなくなってしまった……私もまだまだだな」

 「「まあ、そういう時もあるし、だからこそそれを支えるための仲間だと思うよ」」

 「クハハ、そうだね。セスも最初よりずっとずっと強くなってるんだから、これからもっと頼らせてもらうよ」

 「「おうっ! 望むところだ」」


 正直今回の件に関してはクオンの人間らしいところ、と言うより完璧ではない所が見れて良かったと思っている自分がいる。

 それを理解している自分にちょっとした嫌悪感を抱きながら、クオンと共に宙を駆け城へと迫っていく。


 ────────


 「さて、これからどうしようか」


 あれから数えるのも面倒くさくなるほどの機械兵が襲ってきたが、俺の範囲魔法で蹴散らしていきつつ、強そうな個体はクオンがきっちりトドメを刺していき、遂に城のすぐ側まで来ていた。

 精神操作等の変わった戦い方をする奴もあの後からは出てこなかったから割と順調に進めた。


 「「ここに来るまでの敵は倒して来てるから、あの男が見つかる可能性も大分少なくできただろうし、この際一発デカイ魔法使って城ごと壊してしまうか?」」

 「……セス、流石にそれは不味いよ。相手は淵源の負者なんだ、噂では滅茶苦茶強いらしいし、当時いくつもの国が滅ぼされたという噂も聞いている。生き残るのは目に見えてるし、だからこそ怒らせるのは得策じゃないよ」


 まあ、負魂機の元祖なら城の倒壊くらいで一緒に死ぬわけないのは当たり前だし、流石に俺も本気では言っていない。

 そういえば、淵源の負者の話が出た時ラティスが異常に反応していたな。詳しいことを知っているのが近くにいるのだから聞いてみよう。


 「「ラティス、相手の弱点とか特徴って知ってるのか? なんでもいいから情報が欲しいんだけど」」

 「「……。アタシもそこまで詳しくは知らない、実際に見たわけじゃないから。ただ、当時から言われていたのは、彼女を支えているのはセスも大切にしている『愛』の感情らしいよ」」


 敵の本拠地の目の前だが、雑魚も親玉も出てくる気配はなく、その分ラティスの語る言葉に自然に耳が吸い寄せられ、集中して聞いてしまう。


 負魂機なのに愛……てことは負の感情に近い意味での愛ってことなのだろうか。


 「「例えば家族愛で言えば順風満帆な家庭に流れる太陽のような暖かな感情、これはセスが使ってる方の愛」」


 俺のは相手を思いやり、その逆の思われる感情の双方向からの気持ちによって効果を成す技だったからな。


 「「負の愛って言うのは負との混ざり物のことなの。例として挙げるなら、怒りと愛……簡単に言えば振られた後とかに逆上して『こんなにも愛しているのにッ!』のタイプとかかな。他にも挙げればキリがないけど嫉妬と愛、依存と愛何かも代表的な負の愛の形だよ」」


 負の感情との混ざり物……。

 どこぞの昼ドラみたいな泥沼関係が起こると普通に起きそうなものだけどな。そういう経験した人でもならない人となる人がいるってことなんだろうか。

 条件とかありそうだけど、今は気にしなくてもいいか。


 「「んで、淵源の負者はその負の愛の力をほぼ無限と言っていい程に放出し続けているようなヤツなの……簡単に言えば魔力が減らない、疲れない。そんな手がつけられない存在だったの」」

 「ふむ、でもその当時は何とかしたからこそ今私たちは生きてるんじゃないのか?」


 いや、多分それこそあの男が言ってたとおり淵源の負者がコッチに来た時だったのだろう。

 余計な混乱をうまないために世間的にはもっともらしい理由をつけて完全に倒したと告げてでもいたんだろう。


 「「そう、セスの考えているとおりで多分あってる。アタシ自信、淵源の負者とはあったこともないから詳しくは分からない。ただ、この負魂機だけは普通じゃないって言うのはどの情報からも分かっていることなの」」


 そもそも負魂機自体普通じゃないような気もするが、それよりも更にタチが悪いって事だもんなぁ。

 正直どこまでヤバイ奴なのかラティスに聞いても漠然としか全然わからなかったな。


 クオンの時はまだクオン自身が負の感情と向き合い、俺を助けるために隙を作ってくれていたりしたが、今回それには期待出来ないだろう。

 更に愛の精霊の力、これも効果は期待出来ない。そもそもお互いを知らないし、敵として向かい合うのだから愛どころか正の感情すら湧いてこないだろう。


 逆に今回違うのは味方にクオンがいること、俺の体が生存本能によって性能を変えること、それとまだ試していないが棍棒が強化されたことくらいか。


 「セス、不安になったのかい? 勝てるのかって」

 「「ううん、勝てるのかどうかはそこまで心配していないんだけど……たしかに不安なことはある」」


 不利な状況なのに普通に会話できているのは恐らく絶望の感情が消えてしまっているからだろう。

 絶望する瞬間に出来なくなるのが……自然に感情が現れないのが、ここまで気持ち悪いとは思わなかった。


 なら何をそんなに不安を感じているのかと言うと、クオンにもしものことが起こる可能性だ。

 自分一人に関してならいくらでも突貫して玉砕でも何でもできる気がするのだが、どうしても失いたくない人を、失う可用性が高い戦場へ連れていくことにどうしようもない不安感に駆られてしまう。


 「「やっばリクオンは────」」


 ここに残るか戻って待っててくれ。

 そう言おうと思ってクオンの顔を見ようとした瞬間、顔面に鈍い痛みと衝撃が走る。

 予想していなかった衝撃に思考が追いつかず、浮遊魔法が解け、無様に空中から地面へと落ちていく。


 俺の口の代わりとなってくれているラティスのマスクが割れていくのと同時に俺の鼻から鉛臭い液体が流れていくのがわかる。

 同時に受け身も取れずに地面に落下した。


 「セス……危なかったね。その言葉の先を話していたら、私以外が君を認識出来ない顔に変形していたところだよ」

(それは……危ないところだったな)


 心の中で冷や汗を流しながら、これ位で済んでよかったと落ち着いて息を吐く。


 「君がなんて言おうと、私が君の行く場所に着いて行くのは変わらない……もう二度と離れないって、言ったよね。言ってなかったとしても、今言ったよ」


 闇を纏うクオンが空から降りてくるのを眺めていると、彼女が負魂機を装着していたことを思い出す。

 俺が彼女のそばを離れなければそんなことは起きなかった。

 今度は同じ過ちを繰り返さないように……いや、そんな建前は抜きで、単純に離れたくないからでいいのかもしれない。


 同じ気持ちだったはずなのに、俺は相手の気持ちを考えきれてなかったようだ。

 考えてみれば、俺も同じ立場なら無理矢理にでもついて行く。それと同じなのだろう。


 「嫌なら嫌って言えばいい、そんなセスでも私は好きだよ……。でも『一緒に生きる』ってそういうことなのかな……答えてよセス、君の口から聞きたいんだ」


 ラティスのマスクが壊された今、自分の考えを発する器官は口一つ。

 ずっとラティスに甘えていたツケなのか、それともこれまでの戦闘で疲れていたからなのか、喉からはニチャニチャと微妙に湿った嫌な音が聞こえる。


 それでも、何となくではあるが話せる気がする。もしかしたらもっと前から話すことができていたのかもしれない。

 久しぶりに自分の口から声が出ることに驚きながらゆっくりと俺の考えをクオンに伝える。


 「……俺が、間違ってたよ。クオンのことが心配ならどれだけ危ない場所でも一緒にいればいいんだよな」

 「そうだよ。私が君を守って君が私を守る。お互いが支え合うんだよ」

 「生きても死んでも、ずっと一緒だもんな」

 「うん、いつまでも変わらない。私たちはどこまでいっても離れないんだよ」


 俺は落ちた態勢から立ち上がり、クオンは空から降りてくる。

 近づき、場所も何も関係なしにお互いがお互いを求め合う。

 不自然とはいえ敵が出てこないことを感謝しなければならないな。今この瞬間を邪魔されたら怒れなくても怒ってしまいそうだ。


 ────────────


 《ねぇ、心装人機って本当は簡単に壊れるものじゃないんだよ……》


 二人のイチャイチャ空間を止めてくれたのはラティスだった。

 実際には止めたんじゃなくて愚痴をこぼしただけのようだが、思い返してみると俺の心装人機はクオンに壊されていたな。


 《す、すまんラティス。心装人機については全然詳しくないけど、多分クオンが強すぎるだけなんだから気にすんなよ……なっ?》

 《別に気にしてないけどぉ。ただ、ちょっと心装人機じゃない方に力を入れようかなって思ってね》


 心装人機じゃない方と言われれば、最近いじっていた棍棒しか思いつかないのだが。

 アレもアレで何が変わったのか正直全然わかんないんだよな。


 《しばらくモノクルにはなるつもりはないから、私を使うなら棍棒を収納空間からだして呼んでね! んじゃあねぇ》

 《お、おう。戦闘になったらすぐ呼ぶからなぁ》


 この言葉を最後にラティスの声は聞こえなくなっていた。恐らく棍棒の方に移動でもしたのだろうか。


 「どうかしたの?」

 「いや、ラティスがいじけて棍棒に移ったみたい」

 「あぁ、そういえば怒って壊してしまったこと謝ってなかった!次出てきた時にでも謝らなきゃ」


 謝ると余計に傷を深めそうだが、まあ、その時はその時でいいか。

 それより、そろそろ淵源の負者とかいう奴に会いに行かなきゃならないだろう。

 できるだけなら平和的に終わらせてレスト達に早く会わなければならないからな。


 「んっ! よし、クオン」

 「行くのかい?」

 「ああ、まだやらなければならない事が沢山あるからな。早めに終わらせよう」

 「ふふっ、簡単に言うけど君が言うと本当に出来る気がしてくるよ。頼りにしてるね」


 可愛らしい笑顔を目に焼き付けて、死んでも悔いが残らないように脳内に保存しておく。

 ……死ぬ気は無いけど、備えあれば憂いは残らないものだろうしな。


 どちらからという訳でもなく手を繋ぎ、真正面から城の中へと入っていく。

 開け放たれたままの城門から彼らが見えなくなるまで、彼らの顔から笑顔が途絶えることがなかった。

読んでいただきありがとうございます!


性格、一人称、設定、その他前までと違う所があるかもしれません。

指摘してくだされば有難いですし、見逃して頂いても有難いですドッチヤ!>(。・д・)ノ)´Д`)アウチッ!


これからも更新が遅くなるかもしれません……。

ちゃんと終わった後はTwitterでも活動報告でも記載いたしますので、その時にでもちらっとだけでも見ていただければと思ってますので、その時はよろしくお願い致します。

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