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13.顔合わせ

すいません遅れました(゜ω゜;A)


今回短くするつもりがなんか説明っぽくなってしまって長くなってしまいました(´・_・`)



 振り下ろされる緋色の刃、あまりにも突然で驚きで体が一瞬強ばってしまう。


 その一瞬で、俺の腕ではカバーしきれない範囲に来ていた。

 思わず目をつぶる。


(クソッ! こんな所でッ!)



 ガキィィィィッッッ!!


 金属と金属が激しくぶつかる音がする。

 目を開け前を見ると、鎖が俺を守るように刃とぶつかり合っていた。


(今のうちに距離をッッ!?)


 バキィッッ!!


 鎖から嫌な音が聞こえた時にはもう、俺はその場から飛び退いていた。

 慌てて逃げたこともあり、四つん這いのような感じになってしまったが、気にしていられなかった。


「ほうっ……勝手に攻撃を防ぐ鎖か。なかなか良いものを持っている。先程の戦いを見ていれば、攻撃力、分析力共に高いことがよく分かる」


 相手がなにか喋っている間にゆっくりと立ち上がる。が、視界がぐらつき、こっちに来てから尽きることのなかったスタミナがなくなりかけていることに気づく。


(クソッ、さっきの戦いで疲れきってしまってる……)


 まだ何も仕掛けてこないので、警戒しつつ相手を観察する。

 紫色の肌、よく鍛えられているように見える腕と足、スクール水着のようなピチピチの服に、黒のマントをつけている。


(スゲェ格好だな……悪い意味で……)


 なにか考え事をしているようで、こちらを見ていないようなのでジリジリと後ろに下がっていく。


 ────────


 ある程度の距離が取れたので、後ろを振り返り猛ダッシュを始め……た!?


「あの程度の距離で追いつけないわけないだろ……ふむっ、人機は良いが、使用者が軟弱のようだな」

「まだだッ! まだ死ねない、死にたくない……だから、お前が死ネェェェ!!」


 目の前に、先程よりも強い気配になったヤツが出てきたことで焦り、思わず殴りかかってしまった。


 すると────


────────スカッ…


 攻撃が……当たらない……?!


「グハハハハ!! 見たかお主らァ『まだだッ!まだ死ねない』だとよォ! 笑いが止まらんぜェ」


 なんだ!? なんでこいつは笑っている、後『お主ら』って誰のことだよ!


《セス……その人》

《とても言いづらいのですが……》

《魔界の精霊長……だな。流石の俺でも、戦いを挑まねぇぜ……》


 三体の精霊たちがそう言うが……この変態のような格好をした奴が精霊長……?


《僕達のような負の感情の妖精は、もともと魔界で生まれるんです。そして人間界や獣人界に出る時は必ず、宣言をしなければなりません。そして、その宣言をする相手が────》


 この変態だという訳か……なら何故俺を攻撃してきたんだろうか…


「それは、お前と精霊達の力を見るためだ」


 コイツも……俺の考えていることが分かるのか。

 一体いつになったら顔に考えていることが出なくなるんだろうか…


「突然、魔界の端っこの方に生息していた魔物達の反応が、どんどん消えていってな。懐かしい精霊の気配も感じたから、俺直々に来て、成長を確かめに来たっていうわけだ」


《《《精霊長……》》》


「特にお前らは、ついていく相手が普通じゃなかったから、少し心配していたんだが……大丈夫そうだな」


 ついていく相手……?俺は今でこそ契約しているが、元々はラティスを体内に入れてもらっていたはずだ……ていうことは────


 バッと顔を上げると、魔界の精霊長と目が合った。


「頭が悪そうなお前でも、ここまで言えば分かるか……そう、今お前が纏っている三体は精霊と契約していた」

「頭が悪そうなは余計だ! 用事が済んだなら帰れよ!!」


 すると、悪巧みを思いついた子供のような笑みをうかべ。


「よいのか? 俺なら、お前の帰りたいところへ転移できるというのに……そんなに邪険に扱っても」

「なっ……!?」


 転移できる……のか……?

 いやっ、そんなご都合主義な魔法……使えるヤツがいるわけない!!


「い、いいんだよっ! お前なんかの力を借りなくたって帰れる……多分……」


 一応、食材はまだ収納の中にいくらか入っているし、武器の棍棒も地面に突き刺さっていたが、砕けてはいない。

 棍棒で殴った分の魔物は肉もあるから、最悪これも食べよう。


 魔物の死体を拾い、収納空間に入れていると


「ほうっ……そこまで俺に頼りたくないか。なら、いいだろう……お前達、その者は道を踏み外さなければ良い主となるだろうッ! お前達が導いてやれ」

「「「ハイッ!! 必ずや精霊長のご期待通りにッ!!」」」


 俺の口で勝手に返事をするなよッ!

 ってか、冷静に考えてみると、やっぱり俺の口から三つの声が出てくるのは気持ち悪いな……


「そしてお前は……表と裏、正と負……全てを受け止めてなお変わらぬのなら、その時は俺が管理する魔界へ歓迎しよう」


 うーん……最終的に来ることにはなるんだろうけど、好き好んでは来る気は無いぞ……

 まあ、歓迎されるんなら来てもいいかもしれないけど。


「では、さらばだッ!! 今回は歓迎しないから、ちゃんと生きて帰れるといいな」


 そう言うと、マントを翻した瞬間に精霊長の姿は消えていた。

……姿を一瞬だけ隠す役割を果たした、マントだけを残して……


(アイツの着けていたものか……ん〜、一応持っていくか)


 と、マントを拾おうと思い一歩歩くと────



────ドサァッ!!



(あれっ? 力入んない……ぞ……)


 地面に倒れる感覚すらなく、凄まじい眠気が襲う。

 どうやら疲れが限界を超えたようだ…



────────


「……い、せ……」


 ん、なんだ…なんか聞こえるぞ…


「おい、セス! 起きろ〜」


 この声は……ラティスなのか? いや、声だけだとさっきまでのラティスに似ているやつの可能性もあるな。

 まあ、どちらにしても敵ではないだろうからさっさと起きてしまうか。


「おっ、起きた様ですね」

「やっとかよ……長かったな」


 起き上がり目を開くと、前にラティスと直接会った部屋にいた。


 さっきまでさんざん聞いていた男の声がしたのでそちらを向くと、華奢な体つきをして本を読んでいる少年と、倒立をしている筋肉ガチガチのおっさんがそこにはいた。


「ちょっとセス! なんで起こしたアタシじゃなくて、男達の方を先に見るのッ!!」


 そう言って、グイッと首を真っ直ぐに持っていかれる。


 そこにいたのは、色違いのラティスだった。

 変わった点といえば、肌の色が血の気が全くない白になっていたことと、服装がゴシックロリータ風になっていたことだ。


「ねぇ、セス……本当に起きてるの? ぼーっとして返事もないんだけど……」

「安心してください、『いつもの』ですよ」

「毎回思うが、一発ぶん殴れば治るんじゃないのかァ」


 それにしても、精霊達の性別に関する言動は前世と同じもののようだな。


 ラティスが女の子の言葉だったから、クオンと同じだと思っていたのだが……魔界の精霊長があの言動だから、間違いなく精霊の男女感覚は、前世のものと同じだろう。


「あんまり乱暴にはしたくなかったけど仕方ないなぁ」

「代わりに俺がやろうかァ?」

「アンタがやったらもっと目が覚めなくなるからダメ!」


 そろそろ何か言わないと、ド突かれる様なので、適当に返事をしておこう。


「あぁ、起きてる起きてる……別に殴る必要は無いぞ」

「アンタねッ! いっつもいっつもどうでもいいこと考え込んで、他人の話の八割くらい聞かない癖直しなさいよ!」


 どうやら、顔合わせ第一回目の対話は失敗に終わったようだ……

 まあ確かに、人の話はあまり聞かないタイプかもしれない。


「そうだね……いつか直すよ。それで、なんで俺はこんなところにいるんだ?」

「いつかって……アンタねッ!」

「ハイハイッ!熱くなりすぎない方がいいですよ、落ち着いて……セス、アナタは僕達と契約を結びました」

「分かった分かった! 落ち着いたから! 説明はアタシがする!」


 俺としてはどちらでもいいから、早く教えて欲しいのだが……


────────



 そこからある程度話を聞き情報をまとめると────


・契約を結んだのでとりあえず呼んでみて、ついでにいろんな話をしようと思った

・これからの心装人機の使い方について

・今の状況と今後についての話し合いがしたい

・妖精達に名前をつけてほしい


────この四つになる。


 一番目については、契約を結ぶと精霊達の方から俺を呼ぶことができるようになるらしく、それの試しだそうだ。

 ラティスも俺を呼ぶことが出来たのだろうか。


 次、二番目については、どうやらこの三体とラティスは正と負の関係らしく、一緒に使えないようだ。

 本来ラティスと契約した所から、俺に力を貸していたために、代償を必要としていたが、今回の契約で魔力だけで良くなったらしい。


 使う時は、正と負のどちらか一方で、負を使う場合は三体が一緒に出てくるようになったらしい。

 連結は一年ほど経たないと解除出来ないようだ……足すことは出来るとか言っていたが、これ以上負の感情は増やしたくないよなぁ……


 次、三つ目については、魔界の魔物達の死骸の中に寝ているようで、パッと見人間がいることはわからないし、そもそもここらへん一帯を殲滅したので食われる心配はないそうだ。


 これからに関しては、表のラティスに相談してくれとのことだ……好奇心旺盛は伊達では無いらしく、外の世界のみならず、大体のことを知っているようだ。ただし、情報はだいぶ前に取得したものらしい……


 問題は最後のコレだ……


「名前……かぁ」

「そう、ラティスだけズルイじゃん……アタシも名前が欲しいなって……」

「俺は別にいらねぇが、呼び名があった方が呼びやすいだろ」

「僕は、どっちでもいいんだけどねぇ」


「分かった。少し待っててくれ……」


 俺が名をつけたラティス……結果的にとはいえ、人機の名前にかなり似てしまったところがある。


 なら、平等に人機の名前に近い名前をつけよう。そっちの方がわかりやすいだろうし。

 まずは、ラティスの色違いに関してだが、コイツの人機はラティスと同じ『ラスティール』だ。


 ……出てこないな。

 少し発想を変え、コイツの特徴を入れようと思い、『ゴシックロリータ』と混ぜることにした。


「『ロスティータ』とかどうかな?」

「却下……安直すぎる」


 これだけ考えたのだから、流石にオーケー貰えるだろ……ってえぇっ!!


「今のダメなの?! 俺結構頑張って考えたよ!」

「だって、そんなの人機の最初と最後替えただけじゃん! もっと、真剣に考えてほしい……これから先、ずっと名乗る名前だから……」


……んん、そうだな……確かに真剣に考えてはいなかったのかもしれない。「わかりやすい」とかそんなことは考えずに、しっかり考えよう。


────────


「『ミハク』なんてのはどうだ?」

「んっ、悪くはない…かな」

「おぉ、よかった〜。お前の肌を見ていて、綺麗な白色だと思って考えたんだ」


 こっちの世界には漢字なんて存在しないが、俺が理解出来ていればいいだろう。


「ね……ねぇ、一回ちゃんと呼んでみてよ」


 ここで適当に呼ぶと、鉄拳が飛んでくるのは目に見えている。なので、あえて愛をこめて呼んでみよう。


「ミハクゥ…」────ガンッ!!

「怒るよ……もう一回。ちょっとだけ、ふざけてもいいから……好きな人呼ぶみたいに呼んでみてよ」


 痛い……大分愛をこめたつもりだが、お気に召さなかったようだ。

 それにしても好きな人……かぁ、さっきので限界な気がするんだけど……


 ウーンと悩んでいると後ろから少年が近づいてくる。


「抱きしめながら耳元で囁くのが一番かと思いますよ……多分嫌がりませんからやってみて下さい」

「お、おう……ありがとうな」


 アドバイスをくれたお礼を言うと、ニコニコしながら後ろに下がる。


 これ、実はメッチャ好かれてましたパターンじゃね?

 大体こういう時は、主人公が半信半疑でやって、叩かれるぅ! ってなった時に、顔を赤くしたヒロインが、叩くのではなく逆に抱きついてくる!


 目を閉じて待っているところを見ると、間違っては無さそうだな。


(よっしゃ! やってやりますか!)


 気合を込めて、ゆっくりと近づき、小さい体に手を回す。


「ミハク……」

「はぅわっ/// せ……セス?! な、なんで抱きついて………」

「ミハクッ……」

「ちょっ、やめッ……耳元で……喋んないでぇぇ……」


────5分後────


「ハァハァ……」


 疲れました……暴れる人を押さえつけるのって結構体力いるのな……ってか誰だよ、嫌がらないって言ったの。

 めちゃくちゃ抵抗されたんだけど……

 グッタリしていると、誰かが近づいてくる。


 ああ、次は少年の名前だな……と思っていると、ゆっくりと俺にのしかかりそのまま上体を体に這わせるようにしてきた。


(やめろっ! 俺はそっちの趣味はねぇぞ!!)


 恐怖のあまり目をぎゅっと閉じて震えていると、耳に風を感じた。


「セスゥ……」

「ヒィッ!! ……ん?」


 この声は男ではない……というかさっきまで至近距離で聞いていた────


「セスゥ……また、耳元で囁いてよぉっ……癖になっちゃったぁ」

「み……はく?」


 白い肌に少し赤みがさし、艶っぽい顔をしたミハクが目の前にいた。

読んでいただきありがとうございます┏○ペコ


最初の頃からなんですが、細かい所の描写が書ききれていないことが多いんですよね〜


なんとか説明口調にならないようにしているんですが、やはり難しいですね(๑•̀ㅁ•́ฅ✧


これからも書いていくので、どうぞヨロシクお願いします┏○ペコ

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