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6話:羨ましい

竹下、山本との話し合いから翌日に俊哉は早速秀二と神坂の二人に話をした。

勿論だが二人とも驚いていた。


「・・・え?マジで?陵應はまだしも、明倭じゃなくて・・・聖陵?」


2人も聞いたことのない学校の名前を言われコクリと強く頷く俊哉。

そんな彼の決断に秀二は信じられずにいた。



「トシ・・・それでいいの?トシにとってデメリットの大きい決断だと思うよ?それでも・・・本当にいいのか?」



「シュウ、俺はねあの二人の話を聞いて本当に馬鹿なことだけど、その馬鹿なことを俺も一緒にやってみたいと思ったんだ。その馬鹿げた夢を追って、叶える。そして、最高の舞台で、シュウから勝ちをもぎ取るんだ」


ギンとしたその眼差しで秀二を見つめながら話す俊哉。

そんな俊哉に秀二はフウッと一息つくとガタッと座っていた椅子から立ち上がり、俊哉から背を向けながら


「俺は止めないよ?これ以上は、神坂もそうだろ?」


「ん?あぁ、むしろ俺はトシが羨ましいな。俺だったらそんな事すら思いつきさえをしなかった。だから俺はトシを応援するよ。まぁもし対戦したら負けはしないけどな」



と笑顔を見せながら話をする神坂に俊哉は嬉しかった。

まさか神坂から羨ましいなどという言葉が聞けるとは思わなかったからだ。

まだ心の整理がついていない秀二であるが、神坂の言葉を聞いたからか少し落ち着きを取り戻したかフウッと小さくため息をつくと、俊哉を真っ直ぐ見ながら話す。


「うん。トシの決意は分かった。まだ少しモヤモヤはあるけどね」


「悪いな。せっかくの誘いを無駄にして。」


「ううん。来年からは・・・ライバルだ。」


秀二の言葉にコクリと頷く俊哉。

3年間という短いようで長い期間を共にしてきた3人は今後も同じチームに行き、甲子園を目指していくという未来を思い描いていたに違いない。

しかし、一人の青年が下したその決断に今まで思い描いていた未来が一瞬にして変わった。


一人は途方もない夢を目指し、二人は己自身の更なるレベルアップと甲子園と言う舞台へ上り詰める。

同じ目標を目指す中での道のりはまったく違うこの3人の未来はまた新しいものになったのだ。



こうして何事もなく秀二と神坂に報告をした俊哉。

内心は殴られるんじゃないかと言う心配こそあったのだが、無事に済んだことに一安心の俊哉は次にマキと明日香に話をする。


「え?聖陵?!」

「あらぁ・・・」


と何やら驚きの表情を浮かべるマキ・明日香の2人にキョトンとする俊哉。

すると明日香が口を開く。


「あたしらも聖陵だよ?」

「マジで?」

「マジで」


なんと偶然にもマキや明日香と同じ学校を選んでいた俊哉。

この学校は、野球部こそ弱小であるが実はソフトボールは全国にも行けるほどの強豪校である。

マキと明日香も中学時代はソフトボールをしており実力は強豪校でもスタメンを張れるほどで、マキは俊敏さと柔軟さを兼ね備えた内野手で明日香は投げては速球を投じ打っては豪快な打撃を売りにした選手である。


「わぁ。じゃあトシちゃんとまた同じ高校だぁ」


と嬉しさを前面に出しながら喜ぶマキに明日香もどこか嬉しそうな表情を浮かべる。

俊哉はというと未だにキョトンとしており、仲のいい仲間と一緒に高校生活ができるという喜びが湧き上がるのは家に帰ってからであったのはまた別の話である。


そして年が明け、中学の生活もあと卒業式を迎えるのみとなったのであった。


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