シンデレラの王子様は信頼されたい
シンデレラは、継母と義姉に虐められながらも美しく気高い心を持ち続けた為に王子様と結婚………することに成功しました。
まぁ、あれだ。
これが俺がシンデレラを読んだ感想だ。
これをまとめてなんと言おうか。いや、一言で言える。
ー結局は、顔と金だなー
…だってさ、これ、シンデレラの顔が悪かったらそもそも成立しないじゃん?わざわざカボチャの馬車で舞踏会に来てもらった所で、シンデレラがブスだったら見向きもしなかったと思うんだよね。判断基準は顔しかないわけだし。
…それにさ、これ、王子様という地位が無ければわざわざシンデレラもいちいちカボチャの馬車用意してまで会いに行かなかったと思うんだよね。いや、用意したのは魔法使いか。
なんにせよ、ここまで批判しておいてなんだが、俺は別にシンデレラが嫌いという訳じゃない。美人上等。俺だって、美人は好きだ。
しかし、その好きというのはあくまで人間の本能的なものでありその人間そのものを好きという訳じゃなにい。
そう、俺はにシンデレラの顔は好きだが話してみないとシンデレラそのものが好きかどうかはわからない。…だから、
俺は、シンデレラとは結婚しませーーーーん!!!!
なんでだよ、なんでこんな…
俺はシンデレラに出て来る王子様だ。王子様になってしまった。…学芸会の話じゃないぞ!転生してしまったんだ!自慢じゃない。なりたくなかった。
話が見えないって?
『舞踏会で嫁探しが始まる』
…前世の俺の記憶によると、もうシンデレラの物語は始まってる…今頃この世界のシンデレラちゃんはイジメられてるのだろう。もう、俺の家来が舞踏会の招待状を配ってる。
…あーーー、行きたくねぇーーーー、、
美人と結婚というのは男にとってステータスかもしれないが、俺は愛ある結婚がしたいんだ!ごめんな、シンデレラちゃん…君を不幸にしたいわけじゃないんだが、いや、俺と結婚することが果たして本当に君にとっての幸福に繋がるのかもう一度検討してくれ。
俺は前世では政略結婚した。俺の意思じゃない。会社の社長の娘に一目惚れされたんだ。大企業と呼んでも差し支えない大きな会社に勤めていた為会社を辞めることも出来なかった。なにより、俺の親も喜んだんだ。「こんな美人さんと結婚出来るだなんて幸せだ」って。
確かに彼女は美人なんだけど、、束縛が激しかった。彼女と結婚して以来俺は友達と呑みに行くことも出来なくなった。それどころか、ラインやツイッターのチェック…俺に関することは全て監視されていた。何故か破られる暗証番号…気が付いたら俺のスマホに登録されてた彼女の指紋認証…いつ登録したんだ?彼女に聞くと
「貴方のことならなんでも知ってますよ?だって、妻ですもの。」
………なんか怖いよ!!
いや、妻からの愛情はとてつもなく痛いくらいに感じている。怖さ70%愛情30%、妻から受ける感情だ。殆ど恐怖しか感じてねぇじゃねーかとか言うな。
えーと、だから、その、あれだ。
俺はちゃんと妻からの愛情は感じていた。痛い程に感じていた。けど、俺としてはもっと彼女に信頼して欲しかったんだ。そんなに監視しなくたって、一応…政略結婚とはいえ、俺たち夫婦になったんだから浮気なんてするつもりなんか無い。
だから、俺は今世では愛ある結婚がしたい。お互いを信頼出来るパートナーと、、、シンデレラちゃん君もそういう相手を見つけなさい。これは、前世の年齢合わせてXX歳の年寄りからの忠告だよ。
…とか偉そうなこといっておいて、結局逃げられなかったよ、、、舞踏会なう。まぁ、なんでも物語通りに行くとは限らないしな…とワイン片手に現実逃避をしていた。そんな上の空の耳に
「な、なんて美人だ…」「どこの家のお嬢さんだ?」「なんであの子がこのに来てるのよ!?」「でも、なんであんなボロボロの服?」「本当、あんなに美人なのに勿体無い。」「靴も履いてないし、雑巾みたいなワンピース…灰を被ったように惨めな姿だわ。」「いくら美人でもあーんな姿にはなりたくないわ。」
俺に媚びを売ってた回りの女達はクスクスと誰かを嘲笑ってる。
…なんの話をしてるんだ?シンデレラちゃんが来たんじゃないのか?でも、そしたらドレスは魔法使いに出して貰ってる筈だし…
話題の人物の元に顔を向ける
「え、君…」
それは俺の妻だった。妻のそっくりさんと言った方が良いのだろうか?でも、俺に向ける表情となにもかもが妻そっくりだった。
「…ふふ、今はシンデレラと申します。貴方に会う為に来てしまいました。」
俺の驚いた表情を見て、悪戯に成功した子供の様に満足気に微笑んだ。
「来たって…どうやって?」
この世界に来たの?俺が王子だって知っているの?いや、そんなことより
「町から走って来たのか?靴まで脱げて、裸足で…足がボロボロに傷がついてるじゃないか!魔法使いは現れなかったのか?」
彼女の元まで駆け寄る。
「貴方に早く会いたくて…魔法使いさんが来るのを待ちきれませんでした。…本当は久しぶりに会う貴方に綺麗な姿を見せたかったのですが…いいえ、それよりこんな姿で来てしまっては貴方の面目も立ちませんね、そろそろ家に魔法使いさんは着いてるころかしら?」
…ドレスを着てまた出直しますね、、と言葉を続けるシンデレラちゃん…妻を抱き締めた。
「俺が王子だって知っていたなら、何故早く俺に会いに来なかったの?シンデレラの物語って知っていたら虐められることだってわかっていただろ?…たとえ、俺が王子じゃなかったとしても必ず君を助けたよ?…どうして俺をもっと信頼してくれないの?」
君のことは正直かなり怖いけど、でもどんな愛情であれいつも俺のを考えてくれてる君の気持ちくらい知ってるよ。だから、君が困ってる時くらい僕が助けになりたいんだ。
あれ、でも何でそもそもここに君がいるの?俺は前世で死んだんだよ?君に最期まで信頼して貰えず死んじゃったんだよ?
「ごめんなさい、…私、貴方のことが大好きなんです。貴方は私に恐怖感を抱いていることは知ってます。でも、それでも、私は貴方を好きなんです。貴方じゃなきゃ嫌なんです。貴方がいない世界なんて嫌なんです。だから、私は貴方に会う為に死にました。」
例え、イジメられていても貴方が存在している世界に存在出来るならそれで良い、そう考えていました。
彼女のふわりとした笑みは先程まで彼女を嘲笑していた人間ですら魅力した。もちろん、僕も…
「俺ともう一度結婚しませんか?俺も君のことが大好きです。今度は俺を信頼して下さい。今度は君に信頼して貰えるように頑張ります。…だから、結婚して下さい。」
「もちろんです。私は貴方が他の女と結婚するなんて嫌で走って来たんですよ?貴方が世界に存在しているだけでは満足出来ません。貴方が隣にいて私は初めて…
生きてる、
って思うんです。」
12時の鐘は鳴ったが彼女は俺の隣にいる。
ずっと、これからも…
魔法は解けることなく、ずっと2人は一緒にいる。




