やっぱりスライムには勝てない
「ねぇ本当にいるのかな?」
「さぁ、どうだろう」
ウェイは半信半疑で昨日宿で聞いたスライムを探していた。
すでに探し始めてから半日が立っていた。
実はからかわれてるだけではないかとウェイは疑い始めている。
-2人は昨日道具屋を出た後、魔女が「少し君の話が聞きたい」と言ってきたので宿に向かった。
宿の一室を取り食事を済ませると早速話を聞きたいと魔女が催促してきたので質問に答えることにした。
「君はいつもスライムに負けてるの?」
「う、うん」
「いつもゴールドを取られてる?」
「うん」
「ふーん、君本当に弱いんだね」
(うっ、そんなはっきり言わなくても…)
突然の言葉の刃にかなりのダメージを受けるウェイ。
魔女の方を見るとフムフムと唸りながら何かを考えている様子だ。
「ねぇ、今の質問は君が今日話してた珍しいものと関係あるの?」
「うん、あるよ。2個目は!」
(え、1個目は関係ないの…)
軽くショックを受けるウェイ。気を取りなをして他にも質問をしてみる。
「どんなのなの?」
「さぁ、どんなのだろうね」
ニヤニヤしながら答える魔女。
「うぅ、意地悪しないで教えてよ」
「うーん、どーしよっかなー、そんなに教えてほしいなら教えてあげてもいいけど」
まだニヤニヤしている。
「もしかしたら、ものすごーく恐ろしいモンスターかもよ」
ガバッと両手を上に上げて襲ってくるふりをする。
「ええ!?そうなの?」
ウェイは驚き跳ね上がった。
スライムを倒せないウェイからしたら他のモンスターはすべて魔王級に恐ろしいものだ。
恐怖に震えているウェイを見ながら魔女は少し満足そうに笑っている。
どうやら遊ばれているらしい…。
「いやー君で遊ぶのは面白いね」
(ひどい…)
「まぁ、遊ぶのはこれくらいにして話を戻そうか」
「・・・」
「私が今回探してるのはゴールドスライムってモンスターだよ」
「ゴールドスライム?」
「そう、ゴールドスライム。全身金ピカのスライムなんだけど見たことない?」
「うーん、みたことないなあ、本当にそんなスライムいるの?」
「うん、いると思うよ。君、いつもスライムにお金取られてるって言ってたけど、本来スライムはお金をとったりしないんだ」
「そうなの?」
「うん、スライムは普通草や花、石とかを溶かして食べるんだけど、たまにお金を溶かして食べるスライムがいるんだ。そのスライムが長い間お金を食べ続けると体の色が変わってゴールドスライムになる」
「へぇ、知らなかったな」
「あんまり知られていないからね」
「そうなんだ」
ウェイが感心して聞いていると魔女がまたニヤニヤしている。
(なんか嫌な予感…)
「まぁ、なかなかスライムにお金とられる人いないから、あんまりゴールドスライムになれないんだよ」
「うぅ」
「そう言う意味でも珍しいよね、ゴールドスライムは」
またしても魔女の言葉の刃がウェイを容赦なく攻撃する。
「さて、君で遊ぶのはまた明日にしてそろそろ寝ようかな」
「うん、おやすみ」
「ニシシシ、今日は安眠できるといねー。おやすみ」
そう言うと魔女は部屋から出ていった。
(寝てるときなにされるか不安だよ……)
-すでにかなり探し回っているが見つかる気配はない。
寝不足のウェイは体力の限界が近かった。
「魔女さんちょっと休憩しようよ」
「うーん、君は体力もないなー」
「ごめん、寝不足で」
ウェイは目を擦りながら答えた。
「ダメだなー、しっかり寝なきゃ。体調を調えるのも勇者の仕事だよ」
「魔女さんのせいでなかなか寝れなかったんだよ」
「えー、私はなにもしてないけどなー」
「魔女さんが部屋から出ていくときに意味わかんないこと言うから」
「さぁ、なんか言ったっけ?」
惚けているわけではなく本当になんか言ったか覚えて無さそうだ。唸りながら腕を組んで考えている。
「もういいや…」
辺りの捜索を再開すると草むらから何かが飛び出してきた。
ブニブニとした柔らかそうで流動的な体。ウェイの長年のライバル、スライムだ。
「でたぁぁぁ」
辺りを見渡すと魔女の姿が無くなっていた。
ウェイは折れた剣を構えた。
戦闘開始
・・・
戦闘終了
ウェイは倒れた。
3話めです。ウェイの戦闘シーンカットです。
だってウェイはスライムには勝てないし…。
そしてウェイ299敗目です。記念すべき300はいつになるのか。
近いうちに達成されるのか否かは決めてません。
達成したら祝ってあげましょう。