赤髪の魔女
「うーん…」
「おや、ようやくお目覚めかい」
ウェイが気が付くとそこには知らない女の人がいた。
髪は燃えるような赤色で肩まである。顔立ちは整っており、かなりの美人だ。そして、どこからどう見ても「私は魔女です」と言わんばかりの服装をしている。
「君は誰?」
「フッフッフ、よくぞ聞いてくれました。私は魔女です!」
「あっ、うん…」
(それはなんとなく解るんだよな…)
「えーと、魔女さんはこんなところで何してるの?」
「ここに珍しいスライムが出るらしいから探しに来たの」
「へぇー、そんなスライム出るんだ。僕知らなかったよ」
少し辺りを見渡してみる。
「まぁ、噂だけどね。それに珍しいスライムはまだ見つかって無いけど、他の珍しいものは見つかったかな」
「他にも何か珍しいものがあるの?」
「私世界中を旅してるけど初めてみたの…スライムに負けてる珍しい人」
「えぇ、珍しいものって僕!?と言うか見てたの?」
「うん、見てたよ。見事な負けっぷりだったね」
(見てたなら助けてよ…)
急に魔女がスッと立ち上がった。
「こんなところで座り話もなんだから町に案内してよ」
「う、うん」
急な提案に慌てて返事をしてウェイも立ち上がり、二人は町に向かった。もちろんウェイはぶちまけた木の枝を拾ってから。
-二人は町に着くとまずは道具屋に向かうことにした。
木の枝を売らなくちゃいけないからとウェイが説明すると魔女は大笑いした後で行こうと言ってくれた。
「ドークさん、こんにちは」
「おお、ウェイまた木の枝か。ん、それに今日は女連れか」
「うん。今日森で会ったんだ」
そう言って木の枝をヴェルットさんに手渡した。
「20本だな、ほら20ユルドだ」
「ありがとう」
お礼を言ってゴールドを受け取ってしまおうとするとウェイはあることに気づいた。
「うわー、90ユルドも取られてる!」
「なに、またスライムに取られたか。しかもそんなに沢山。昨日も言ったがいい加減スライムくらい倒してみろ」
「ごめんなさい、ドークさん」
ウェイが申し訳無さそうな顔になった。
「まぁ、お前が無事でよかったよ。お金ならまた集めればいいさ。それよりは怪我してるじゃねぇか。おい、ユリアナ」
ドークさんが2階に向かって叫んだ。
「なぁに、お父さん」
少ししてから髪の長い女性が階段を降りてきた。
金色の髪に碧の瞳どこまでも女性らしい体つきだ。
巨体のドークさんからなぜこんな細身の子供が産まれてくるのかウェイはいつも不思議でならなかった。
「ユリアナ、ウェイが怪我してるから手当てしてやってくれ」
「なに、ウェイ。またスライムに負けたの?もうしっかりしてよね」
「ごめんなさい」
ウェイはこの親子に謝ってばかりだ。
「ほら、手当てするから傷見せて」
そう言ってユリアナは素早く傷の手当をしていく。
「ふーん、君、傷の手当が上手いね」
いつの間にか入り口の近くにいたはずの魔女が近くに来ていた。
「あなたは?」
ユリアナが聞くと、なぜかウェイが答えた。
「魔女さんだよ」
(それは見れば分かるわよ…)
「私は魔女。世界中を旅してるの」
(だからそれは分かるって…)
どうやら彼女はあまり人に名乗る気はないらしい。
「そう言えば、魔女さんも勇者なの?」
「うん、そうだよ」
するとユリアナが不思議そうな顔になった。
「勇者って、あなた魔女でしょ?」
「そうだよ」
「魔女なのに勇者って意味わかんないじゃない!?」
「勇者ってのは、モンスターを倒して生計を立ててる人のことなんだ。だから私は勇者で魔女でもある」
「へぇー、そうだんったんだ。私は、てっきり剣を持っててモンスターを倒してくれる人のことかと」
「まぁ、よくある間違いだね。もう少し細かく言うと、モンスターを倒して生計を立ててる人は3つの呼ばれ方に別けらて勇者、傭兵、騎士の3つだね」
「なるほど」
「で、3つの特徴は
・勇者-モンスターを倒して生計を立ててる人。ギルドに所属していない。
・傭兵-ギルドに所属していて仕事をこなし生計を立ててる人。
・騎士-国に使えていて国の護衛を任されている
こんな感じかな」
「なるほど、大体分かったわ」
手当を終えて話を聞いていたユリアナが急にウェイの方を見て
「じゃあ、ウェイはモンスターを倒せないから勇者じゃないのね」
「確かにそうだね。勇者(仮)ってところかな」
「ええ!?そんなー!!?」
3人の笑い声が店の中に響いた。
二話目ですね。最後まで読んでくれてありがとうございます。
新キャラ登場です。これで四人になりました。
まだまだ少ないてすね。
それにウェイは勇者になれてなかったんですねー笑
世界の細かい設定は今回みたいに少しずつ説明していきます。