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我輩は、竜である、名前は怠惰

作者: 龍鱗堂

我輩は竜である。

名前は怠惰。

龍神たる父の原罪より三番目に生まれし罪の七竜などと天軍などと自称する連中はのたまっておるな、ニヤニヤしておいてやろう。

なお、その父は存在を確認することができず神々との戦で体の一片も残さず光となったそうである。

グヌー、我にもう少し力があればあの戦に参戦し神々など、鼻息ひとつで消し炭にしてやれたのに。

何故鼻息か?

動くのがめんどい、移動はもちろん輿で、おんぶも抱っこも、噛んでも鷲掴みも嫌だからな。

憤怒の兄さんあたりなら噛んで、色欲の姉さんあたりならおんぶで連れ回してくれそうだけど。

あいにく今の仕事は、座して寝ることだ、うむ、実に我好み。

何?そんな上手い仕事があるのかだと?

あるんだなこれが、名を魔王という。

フハハ、今代の魔王だからこんな楽ができておるだけだぞ。

主に姉上からスカウトしてきた亜竜に軍を運用させておるのだがな。

我は指針を決め、椅子に座し、力を示す。

ポテンシャルは最上級、魔術を網羅し、魔法の力で神意を破る。

それが父に用意されたレールの力だった。

七光様様という奴よの、ハハハ。

なお、可能性は用意してやるから後は頑張れ、とのことだ。

他の兄弟は、神意を生まれつき最低一つは備えているというのに、ひどい不平等だ。

パワーバランス?魔術=加護<魔法=権能<神意といった感じだ。

もちろん、これは単位であって、超えられない壁というほどでもない。

ただ、ただ、だ、2×1と1×2は同じだが、2×2をされるとお手上げだ。

普通はな、まあ我の場合100×1を打ち放題なのだが。

みみっちい攻撃などせず、オドをつぎ込みブッパしたほうが早い。

なおオドとは体内魔力、我のオド量?そうよのう天井知らずに溜まり続けておる。

魔法やらでブーストやら拡張をしているにもかかわらず、我ながらダムにお猪口で水を注ぐ感じだ。

父がほとんど基盤を作っていたようなものだが、我も創ったものはある。

新たな、魔法種類ともいうべき、刻魂魔法だ。

文字通り、魂に魔法を刻む魔法であり、コクコンマホウ『怠惰』という。

なんでこの名前にしたかと?それにふさわしい魔法と確信したからだ。

誰にも教えておらぬから我オリジナルで墓まで持っていく所存だ。

これは死後の神でもクリーニングしきれぬ、禁呪にすべきものの類のようだしのう

まあ、効果効能は、無尽蔵の魔力貯蔵と莫大な魔力補給だ。

この魔法を開発していない頃はどれだけ頑張っても150くらいしか回収しきれていなかったにもかかわらずこの魔法を起動してからは、3000は回収している。

そもそも、この魔法の素晴らしいところは、使い手が怠惰であればあるほど魔力回収量が跳ね上がっている。

自力で玉座からちょっと移動しただけでも2000まで落ちてしまった事もある。

最低150は回収できるにしても、だ、これは嬉しくない。

結果、座して寝る、素晴らしい仕事をしている。

方針は、世界の遺跡破壊及び知識人の抹殺意味も理由もある、聞かれぬので言わぬがな。

戦況はよく、このまま我の目的は達せられるかと思われた。

ある時、一つの戦場で敗戦のほうが届く。

そのこと自体は何ら不思議はなかった。

なんせ、こちらは世界をある意味で2つ敵に回しているのだからな、負け戦の100や200経験している。

ただ、こう言った報は初めてだった。

曰く、そいつは一個小隊くらいの規模だった。

曰く、どう見ても仲の良い集団ではなく連携などもってのほかだった。

曰く、向こうの仲間割れが原因でこちらの軍が壊滅的被害を受けたと。

新手の冗談か?と薄眼を開けつつ考えた。

しかし、我を除いた魔王軍の実質No2の証言だ、無下にもしかねる。

大規模な、遺跡を更地に変えた直後でオドの量には少し不安があった。

それでも、人にも、竜にも、本来なら問題はなく蹂躙し、神にすらこの牙届かせる自信はあった。

ゆえに行った。

翼を広げ一言だけ言い残し。

「姉上を王とせよ」


そやつは、黒い髪をたなびかせ、古代の武器を携えて、女を引き連れ男一人を追い回していた。

罵声を浴びせ、当たると死を意味する、光線を武器から放つ。

それでなお、男は避ける、そして、謝り続け一息ついたところで。

我は降り立った。

我は、挑んだ。

巨体を捨て、人を殺すことに最適化された体で戦った。

女の攻撃は大振りなものだけいなせば良い程度の矮小なものばかり。

男は、いつ思いがけぬところから、攻撃を打ち出してくるかという、牽制だけで、意味をなし。

黒髪のそいつと生まれて初めて、死闘を演じた。

最後は、我らしく外法に手を染め自爆をして、奴だけでも殺してみせようとした。

世界に向けて挑んだ戦は結果としては我の勝ちだ。

しかし、こやつには勝てない、そう言わざるえなかった。

その時、死ぬ瞬間のほんのひととき、追い回された男が、黒髪の奴の人柱にされ、我の決死の攻撃すら無意味と知った。































本当の怠惰とは、何か?

我はこの時知ることになる。

これまで知ることはできなかった。

仮定することはできた。

勇気もなかった。

この魔法の副作用も理解しきってなかった。

『怠惰』を甘く見ていた。

死後の世界を語るものは多かった。

死後からの生還者は少なからずいた。

死後を理解し、満喫したのは我と連れくらいだろう。

これは、魂、に刻まれし記憶、流転せし魂は本来混ざり溶け合い認識を薄くする。

傷つきし魂を除きという特殊事項を付け加えなければならないが。

その後我は、連れとともに転生を果たす。

我輩は、猫である名前はベルフェゴール。

死と怠惰に生きると決めた猫である。

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