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Murder 365   作者: MM 知らん
5/15

5ー行動ー

5ー行動ー


「海だああああああああ!!」


義一は恥ずかしいほどの大声でそう

叫んだ。


それを俺は、


「そうですね」


の一言で片付けた。


日差しが肌に刺さるように暑い。


そして砂浜はフライパンのようだ。


こうして日陰にでも立ってないとひとたまり

もないだろう。


柊は女子と遊ぶようだ。


さすがに高2だし男2と女1じゃきついの

だろう。


いつもなら大丈夫だが、今回水着だし...


「おーい!翔矢ー!」


いつの間にか入水している義一が俺を呼んで

いる。


俺は灼熱の砂の上を大股で走った。


すこし足がつくだけでもかなりのものだ。


気づくと全速力だ。


そのスピードのまま、


海に飛び込んだ。


ザバアアアアン。


水しぶきが上がった。


「ぷはー!気持ちー!」


思わず声が出た。


ぬるすぎず寒すぎず丁度いい水温だ。


そんなこと思っていると、


「うわ!」


ザブン。


海に引きずり込まれた。


翔矢が潜水で近づいてきて足を持ち上げた

ようだ。


思いっきり鼻に水が入った。


「くっそー!鼻に水が入ったせいで頭いてー

よー」


「気づかない方が悪いのさー、悔しかったら

同じことしてみろよ」


義一がそう言って指でくいくいとしている。


上等じゃねーか。


俺は思いっきり水をかく。


思いっきり。


だが義一は俺の数倍早かった。


義一はなんだかんだで運動神経がいい。


10秒足らずで20mほどの距離が出た。


こりゃ敵わん。


俺が遅いだけか?


痛感した。


だが、一人っきりになれたのは好都合だった。


俺は今日も一人殺さなければならない。


この旅行には凶器などは持ってこれなかった 。


持ってきていたら空港の身体検査で見つかる

からだ。


修学旅行に行かないという手もあったが、

別に凶器がなくても支障はない。


殺せば勝手に消えてくれる。


誰にも見られずに殺せばいいんだ。


消えたとしても存在までは消えてくれない。


行方不明で騒ぐだろうが、広い海だ。


沖の方に流されたで片付けられるだろう。


標的は決まっている。


柴田しかいない。


あいつはいつも一人らしいし、


殺すにはうってつけだ。


じゃ、まず柴田を探さないとな。


いた。


思ったより早く見つかった。


やはり一人だ。


「では、行きますか。」


俺はゴーグルをつけ浮き輪の紐を持って

近づいた。


「よお、柴田」


「なんだよ」


不機嫌そうだった。


「別に」


誰も見ていない。


見てたとしてもじゃれあってるようにしか

見えないだろう。


こんなやつとじゃれたくないんだが。


「じゃあ、話しかけんなカス」


そう言って俺に背を向けた。


今だ。


俺は浮き輪の紐を柴田の首にかけ、


一本背負をする形になった。


だが持ち上がらない。


デブだからなー。


一本背負はやめて思いっきり紐を締め

上げる。


柴田はというと、必死で紐を外そうと

してる。


俺は柴田の背中を足で押し思いっきり

締め上げる。


思いっきり。


その力を保ちつつ、柴田のでかい顔を海の中

に押し付けた。


ザブン。


苦しんでるのがよくわかる。


ガボゴボガボゴボ。


空気の泡がその度に浮かんでくる。


手こずったら計画に支障がでる。


とどめに柴田の腹に膝蹴りを入れてやった。


ガボン。


....柴田は大人しくなった。


するとみるみるうちにでかい体が消えて

いく。


俺はもう殺すというものになれてしまった。


自分が怖い。


自分が醜い。


だけどそれも8月27日で....


そこで全てが終わるんだ。


また始まるんだ。


「おい、翔矢」


びくっ。


振り向くとそこに義一がいた。


死体は!?


死体の方をみる。


....よかった、もう消えてる。


「どうしたんだよ」


いつもと同じ顔で言った。


言えたはずだ。


焦ったら負けだ。


自分を抑えた。


すると義一が


「お前泳げないのに鬼ごっことかしたから

溺れたんじゃないかって心配したんだよ」


人を小馬鹿にしたような顔で笑う。


よかった、ばれてなさそうだ。


安心した。


浮き輪を義一の顔面にぶん投げる。


ボン。


マヌケな音を立ててその場でバウンドした。


「痛ってー!てめー!待たんか ー!」


「はは!悔しかったら追いついてみろよ!」


3秒もしないで追いつかれた。


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