4ー些細な約束ー
4ー些細な約束ー
ふああぁぁぁぁ。
大きなあくびをした。
海。
俺と義一は防波堤に腰掛けている。
俺は義一に叩き起こされた。
現在5時だ。
空もまだ薄暗い。
なんでこんなことになっているかと言うと、
「朝焼け見ようぜ!朝焼け!」
その理由だけで言って俺は叩き起こされた
のだ。
「お?きてるね」
そこへ柊がやってきた。
「柊も呼んだのか?」
「俺たち3人で一つだからな!」
「そうだよ!」
へいへい。てきとうにあしらった。
すると、義一が
「でも、この三人も今年で3人は最後になる
かもな」
え?
柊もそういう顔になっていた。
「え?どういうこと?」
柊が尋ねた。
でも、
「にしても朝は肌寒いなー」
誤魔化した?
「だよねー、厚着すればいいよかったよー」
柊はいつもの調子に戻った。
「沖縄って住むの大変だなー」
「そうだねー」
考えすぎか。
義一のことだからな。
「あ、さっきの話だけどさ」
義一は思い出したかのように言った。
「俺、来年にはいないかもだわ」
ほんの少しだろうか?
俺たち以外わからないかもしれない沈黙が
訪れた。
「俺はそんな話聞いてないぞ」
「そ、そうだよ」
義一は寂しい笑顔でこう言った。
「大切な人を迎えに行かないと」
それを聞いて柊が、
「大切な人?」
俺が言う前に柊が言った。
言ってくれた。
すると義一が、
「おいて来ちまったからな」
「そうなのか...」
それしか言えなかった。
これ以上聞かないほうがいい。
そんな気がした。
「ま、来年と言っても夏ぐらいだ。
そんときにさ、3人で星でも見に行こうぜ
俺一回三人で星を見たかったんだ」
「うん。綺麗だもんね。私たちのとこ」
柊が言い終わると、今度は長い沈黙が訪れた。
無理もない。
いなくなるなんて初めて聞いた。
微妙な空気の中、
義一が
「朝焼けは君より綺麗だ」
「.....へ?」
いきなり変なこと言い出すので柊が目を
丸くしている。
「今、このセリフが一番似合うな」
何言ってんだこいつは。
しかもまだ朝日出てないし。
だけどわかる。
場を和ませようとしてくれてるんだ。
いいやつだな。
俺は義一に続いて、
「俺なら君の瞳はマリーンゴールドだな」
と言った。
自分で言って恥ずかしかった。
すると義一が、
「それを言うならマリンブルーな」
真顔でツッコミを入れられた。
柊は腹を抱え笑いはじめた。
はぁ、俺ってバカだな。
でも居心地がいい。
こんなコントみたいな日常が続くといいな。
そう思いながら朝焼けを待った。