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Murder 365   作者: MM 知らん
15/15

14ー1度きりの冬ー

14ー一度きりの冬ー


12月25日、クリスマスイブ。


なんだかんだで月日が経つのは早いものだ。


「もうすぐ年が明けるんだなー。年取るのが早く感じるよ」


義一が深いため息をつく。


「おじいさんじゃないんだから元気でして」


柊が『クリスマスの定番料理』という本を見ながら義一の言葉に答える。


俺たちは柊の家にいる。


柊の部屋に入るのは久しぶりだった。


最後に入ったのは幼稚園の頃だっただろうか。


部屋の中がかなり変わってる。


「ねぇ、しょーちゃん何したい?」


ぼーっとしてると柊が俺に何かを聞いてきた。


「....ん?わりー、聞いてなかった」


「聞いとけよー翔矢」


義一はいつの間にか本棚から漫画を引っ張り出してきたいた。


「そういうお前は聴いてるのか?」


「あたりまえさ」


義一が読んでいる漫画は表紙に魔法少女みたいな格好をした女の子が載っている漫画だった。


「それ、小さい子が読むもんじゃ?」


「いいんだよ、男にはいろいろあるのさ」


「しょーちゃんと同じこと言ってるね」


あれ、何しに来たんだっけ?


確か柊がクリスマス三人で遊ぼうって言ったから打ち合わせに来たはずだが。


そうか打ち合わせか。


「で、しょーちゃん何したい?」


「俺は別になんでも」


なんでもが一番困るよ。


柊の顔にはそう表れていた。


「ヨッシーは?」


「俺もなんでも〜」


「これじゃ決まんないじゃん!」


あぐらをかいてるのもキツくなり、後ろのベッドに腰をかけながら言った。


「てきとうにブラブラとかは?」


「だめでしょ」


だよなー。


肝心の義一は漫画に夢中だし。


気がつくと義一が持っている漫画の表紙が微妙に変わっていた。


もう二巻読んでんのかよ!


こいつは、絵しかみてないな。


確信した。


「柊、トイレ貸して」


義一が漫画を閉じて尋ねる。


「行っトイレ」


義一、お前ホント何しに来たんだ。


こうグダグダしてクリスマスが終わる気がするんだが。


ドアが閉まったと同時に柊がこちらを向く。


「しょーちゃん〜」


そう言いながらフラフラと俺の方に来る。


すると突然柊が俺に抱きついてきた。


「ちょ!ちょ!ちょ!ちょ!なにしてんの!?なにしてんの!?」


焦りまくって急いで引きはがそうとしたが離れない。


「んー?」


「離れろバカ!」


「たまにはいいじゃん〜」


「たまにはってしたことねーよ!!」


「幼稚園の頃、しょーちゃんから抱きついて来たじゃん」


「知らん!!どけ!忘れた!離れろ!」


.....そんな記憶があったようななかったような。


ないな。


うん。


「もう少し〜」


「頼みます柊。義一に見られたらなに言われるかわからん」


「だから柊じゃないって」


「え?」


「二人きりのときはなんて呼ぶんだっけ?」


思い出したか。


俺も極力思い出さないようにしてたのに。


おかげで思い出してしまった。


「わかったよ香奈、どいてください。お願いします」


「もう、仕方ないなー」


柊は満足したらしく俺から離れる。


だがもう遅かった。


ドアの方から視線を感じた。


わずかに空いている隙間から何か覗いている。


「おい...、いるのか?」


答えの返事は勢いよく空いたドアだった。


「おい!おい!お前ら!俺がいないところでなにいちゃついてんだー!うおおおおおおおおおおお!!」


義一が急に雄叫びをあげ始めた。


あぁ、だめだこうなったらもう止められる気がしない。


「しょーちゃんが.....あんなことや、こんなことを.....」


「おい!!俺は関係ないぞ!!無関係だ!!」


「お前らいつからそんなに.....うおおおおおおおおおおおおお!!」


もうしっちゃかめっちゃかだった。


結局収まったのはこの騒ぎを収めたのは空から舞い降りてくる白いモノだった。


「あ!雪だ!」


柊が窓の外を指差す。


騒いでた義一もやっとおとなしくなり外を見る。


「おー!雪じゃん」


雄叫びを上げまくっていた義一は声がガラガラだった。


「積もらない雪は降らんでいい」


雪は降ってもどうせ積もらない、


ただ降って寒くなるだけだ。


「もしかしたら積もるかもしれねーじゃん」


「そうだよそうだよ」


「だといいけどね」


でも、まあ、確かに積もりそうな勢いだった。


去年も積もりそうな勢いだったけど結局積もらなかった気がするんだが。


「柊ー、喉痛いから飲み物くれね?」


「いいよー」


「叫ぶだからだろバカ」


「あまりにもお前らがな、イチャイチャしてるからだろ。だいたいなぁ...」


柊が飲み物を取りに部屋を出てもこの話題は続いた。

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