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Murder 365   作者: MM 知らん
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14ー巡るー

14ー巡るー


10月25日、柊と映画を見に行って一週間が経った。


義一はと言うと学校に来ていない。


電話をしてもメールをしても応答しなくなった。


今日もあいつこねえのかな...


机に寝そべり教室の時計を見る。


8時44分。


あと一分で朝礼が始まる。


諦め掛けていたその時だ。


「チョリーッス」


ドアが開いて現れたのは義一だった。


義一が席に着くと周りの男子が、義一の周りに集まり質問攻めにしている。


みんな聞いてることは同じだ。


一週間ほど学校にこなかった理由を

聞いているのだろう。


そこに先生もちょうどきて生徒達を着席させる。


俺はあとで聞くか...。


勝手に義一がなんで休んだのか推測していた。



「だーれだ」


声が聞こえ俺の視界は奪われる。


この声は義一か。


「義一...と見せかけて柊だな」


俺の目元にあった手が離れる。


振り向くと、


「よくわかったねー」


笑っている柊がいた。


と、義一も。


「なんで学校休んだんだ?」


早速俺は尋ねる。


「あれだよあれ」


「自分探しの旅とかはなしな」


「なぜばれた」


さっき推測した甲斐があった。


「俺たちを納得させるまでしつこく聞くからな」


そうだそうだー、と柊が言う。


義一は観念したのか、ため息をついた。


「はい、言うよ言いますよ」


「それでいいんだ」


やっと話が聞けるかと思ったのに10分休憩が終わり、次の授業の先生が来た。


「あぁ、これからなのに」


柊がガッカリした口調で言う。


「じゃ、また後でな」


そう言って義一は自分の席へと帰る。


「じゃあねー」


柊も自分の席へと帰っていく。


はぁ、授業か...


約束の一年まであと10ヶ月近く。


長い時間が経ったのだが、まだ半分もいっていない。


俺は...やっていけるのだろうか。


そんなこと考えながら俺は眠りについた。



「しょーちゃん一緒にお昼食べよ」


そう言いながら俺の意見も聞かずに俺の机に弁当を広げ始めた。


「やっぱ拒否権ないんすね」


「やあ、君たち」


義一は俺の隣の空いている席に座った。


「では君たちに一週間の俺の武勇伝を聞かせてあげよう」


「まじめにね」


さ、どんな話を聞かせてくれるのか。


「おばあちゃんの家に看病しに行ってました」


「........」


「........」


沈黙が続いた。


その沈黙を破ったのは、


「おわり?」


柊だった。


「おわりだけど?」


「お前の武勇伝とはいったい」


なんかすごい話を聞かせてくれると期待していたが普通の話だった。


まあ、いい話なのでいいのだが。


ん?まてよ。


「でも担任の先生が義一が休んだ理由を知らなかったぞ。先生に言わなかったのか?」


俺が言い終わると同時に柊は女子たちに誘われて売店の方に行った。


「あまり知られたくないじゃん?だから先生には休みますしか言ってなかったんだよ」


「ちゃんと言っとけよ」


義一はドヤ顔をしながらこう言った。


「男にはいろいろあるんだよ」


「うわあ」


ほとんど俺と同じセリフじゃねえか。


このセリフ流行ってるか?


「そういやさ、翔矢」


「ん?」


俺は見逃さなかった。


義一の表情が一瞬険しくなったのを。


「一昨日の夜に俺帰ってきたのよ」


「じゃあ、昨日学校に来いよ」


「まあそれは置いといて」


ま、義一だからしょうもない話なんだろうな。


そう思っていた。


「昨日の朝にさ、なんか警部ぽいの来たのよ」


警部?


俺が頭に浮かんだのは竹山とかいう男。


「警部って?なんでまた」


「おまえのことだよ」


...な?!


あいつ、ここ周辺で聞き込みしてるのか?


俺のことを?


「なんて言ってた?」


冷静に。


ここは、冷静に。


「いや、ただどういう人なんですか?って聞かれただけ」


「なんて言ったんだ?」


「なんか質問多いな」


少し聞きすぎたか。


もう少し抑えよう。


「お前がなんかロクでもないこと言ってそうな気がしたんでね」


「安心しろ。俺はただ変態としか言ってない」



よかった。


ーん?


「おい、誰が変態だ?えぇ?」


「はい冗談です。すみません」


ま、それだけなら問題ないか。


話はそれで終わるかと思ったが、


「でさ、なんでお前のこと知りたがってんだろうな」


こういう時だけ話が長いな。


いつもすぐ次の話題に行くのに。


「さあ?なんでだろうね」


「まさか」


「ん?」


「行方不明の犯人お前だったり」


「はは、まさか」


なんでこういう時だけ勘がいいんだか。


「だよなー」


「あたりまえだろ」


ぎこちない顔で笑いあった後に柊が帰ってきたのでこの会話は終了となった。






















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