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出会い編

はい、カナブンといまの始まり、出会い編です。未だ未だ書き出し部分ですし、素人の文章ですから、後から気に入らなくなったらどんどん改編します。それでは、始まり始まりぃ~

<出会い編>


女の子の名前は、吉井よしい いま。愛称「イマ」。

何でも、立会出産で生まれた瞬間に父が「いまぁ~!」と叫んだのが基で名付けられたそうである。

来春からは小学校4年生。

活発で、擦り傷だらけで遊びながら、それでも学校の成績は皆「大変良い」という評価。周りの友達は、来春から塾に通うらしいが、本人にはそのつもりは無い。「だって学校の授業をちゃんとやってれば大丈夫だし、予習復習はやってるから」・・・周囲は予習復習をしているイマの姿が全然想像出来ないが、親だけは「あまりTVを見ない子」として薄々察知している。父親はごく普通の事務系サラリーマン、母親は昼間近所のスーパーにパートに出ている。もしかしたら、塾に行かないというのも、それほど裕福ではない家計を案じての事なのかもしれない。


男の名前は、金澤かなざわ 高文たかふみ。普段「タカ」と呼ばれている。先頃三十路に突入したが、いつだったか自分でも忘れている。

某化学系会社の研究室勤務。予算が削られる中、彼の研究はたいしたお金もかからず、それでいて周囲の注目を浴びているため、中止にはならないでいた。でも一緒に研究するものは居ない。一人だけのプロジェクトである。・・・・これが将来とんでもない「金の卵」を生むことになる。

中止にはならないものの、研究室で見られる彼の姿は「ぼーっとしてると思ったら急に手元を動かす」といったもので、その手元には常人では何の数式だか判らないメモと何に使うのか判らない一見ガラクタのようなものが乱雑に置いてある。貼り紙には「触るな危険」とある。


普通なら何の接点も持ちようのないこの女の子と男が、ある日、出会ってしまった。男の勤める会社が協賛しているとある小学生向けのイベント会場であった。男は、「子供こそ新しい考え方が出来る」と思い、初日の午後から会場入りした。


・・・・・イマは、色んなブースの面倒をみているというか、あちこちのブースに首を突っ込んでいた。

タカは、ヨットの原理を見せている小型プールの処でイマと初めて出会った。

それまで色んな子に声をかけてきたが、無視されるか、気味悪がられた。

目がきらきらしている。この子は違う。妙な確信を持った。

タカ「ヨットはどうして進むの?」

イマ「後ろからの風を帆に受けて、その力で進むんだよ」

タカ「じゃ、横からの風だったら?」

イマ「帆の向きを変えて、斜めにしたら、風の力は船が前に進む力になるんだと」

タカは思った。・・・ほほぉ。賢いなぁ。じゃちょっと意地悪。

タカ「それじゃ、前から風がふいてても前に進める?」

イマは4~5秒黙り込んだ。そして「まっすぐ、じゃなくても前に進めばいいんだよね?それだったら、斜めに向かって横風と同じ方法で進んで、途中で船の向きを逆にして斜めに進めて、それを繰り返せば前に進めるよね?今やってみるから」と小型扇風機とヨットの模型をセッティングし始めた。タカは内心舌を巻いた。「それ、学校で習ったの?」「うーんと、今考えた」をい、応用力は凄いじゃないかとタカは思った。

「それで正解みたいだね。じゃ、3つの違うしるし、例えばじゃんけんのぐーとちょきとパーで考えてくれていいんだけど、その3つが色んな順番で仲良く並ぶにはどうしたらいいと思う?」

タカは敢えてDNAのたとえ話をした。 実際には塩基は4つだが。

イマはちょっと考えてから、隣のブースで使っている棒磁石を数本借りてきた。

イマ「あのね、磁石だと2つの種類しかないけど、隣どおしでくっつくときと離れるときがあるの。でも、ちょっと見てて。この棒磁石をちょっとずらすと、離れないでくっつくようになるの。だから少しだけ、ずらしたら仲良く並ぶんじゃないかなぁ?それから、もしかしたらちょっと離れたところに仲がいいのがあったら、そっちとも仲良くしたがるような気がする」

タカは完全に目が覚めた。この子は、塩基配列とDNAの二重螺旋を感覚で理解している。それからタカは、夢中になってイマに質問した。途中で、イマは、「他見てきたいから」といって離れようとするが、タカは追いかけた。

イマ「あのね、おじちゃんは悪い人じゃないと思うけど、知らない人とずっと一緒に居るとお母さんが心配するから」

タカ「じゃ、明日は?明日も来るんだよね?おじさんも明日また来るよ」

・・・・タカは自分で言っておいてから(おじさんか・・・)と苦笑した。

もしかして一目惚れか?この私が小学生に?まさか。

そう思ったが、心は揺れていた。


翌日本当に来たタカに、イマは初めて名前を聞く。「金澤 高文だよ」と字も書きながら伝えると、「じゃ、カナブンね。決定!」とイマは一方的に決めつける。以降、イマは男の事を「カナブン」と呼び、男はイマ以外の人間に「カナブン」と言われることを極端に嫌った。

イベント最終日にあたるこの日、イマとタカ、いやカナブンは日が暮れるまで一緒に過ごした。カナブンはそれほど多くはない小遣いから、昼食やおやつや飲み物代を捻出してイマと離れようとしなかった。イマは、「昨日お母さんにカナブンの事話したよ。あなたの直感を信じなさいって」といい、一緒に居ることを嫌がらなかった。

彼らは、年の差を感じさせない会話と雰囲気で、廻りからの「親子?ちょっと違う?」という視線を弾き返しながら思いっきり話した。いつの間にか、会話ではイマが同い年に向かうように喋り、カナブンが敬語になっていた。

イマは自分の今までのこと、将来の夢、それにカナブンからのなぞなぞのようなものへの答えをしゃべっていった。

カナブンは、今まで何してきたかは簡単に、今何をやっているか、この先何をやりたいかを話した。


イベント終了間際、イマは親から持たされている携帯を使って、カナブンとアドレス交換をした。カナブン、いやそろそろ魔法がとけたタカは、(これで親に何処の誰だか判ってしまいますね)と内心苦笑しながら、快く応じた。

そして別れ際、タカは自分でもなんでそんな台詞を口にしたのか信じられないような事を言ってしまった。

「イマ、さん。私はあなたに一目惚れしました。20歳になるまで待ちます。それまで、月1回だけでいいですから逢って下さい。あなたが他に好きな人が出来ても、20歳まで待ちます。20歳になって、私の事が嫌いじゃなかったら、結婚して下さい。」

イマは、その言葉を理解するまで何秒かかかった。ひとまず絞り出した言葉は、「わたし、小学生だよ。冗談だったらやめて。」

タカは、「真面目です。真剣です。何だったらご両親にもご説明します。」と真剣なまなざしでイマを見つめた。

イマは、どう返答したらいいか珍しく迷った。

タカは、「今無理に返事しなくていいです。とにかくまた逢ってくれることだけ、約束して下さい。」と言った。

イマは、「はい。」と言ってペコリと頭を下げてから、小走りに去っていった。

タカは、あの子の将来が楽しみだ。もしかしたら一緒に研究出来るかもしれない。だけど、魂がこんなに揺さぶられたのは初めてだ。そう思いながら、帰途についた。


翌朝、タカは普段より早く目覚めた。

昨日の事は夢だったのか?イマは、自分が妄想した天使か?

ふと枕元の携帯を見ると、早く起きた原因が判った。メール着信。

イマからだった。「カナブンですか?おはよう。今日も元気でね。」

ちょっと探るような、短いメールだった。タカは、「おはよう。イマも元気でね。」と短く返した。これで、連絡先が確定する。タカは小躍りするような気持ちと、それについていけないかったるい身体を引きずって、出勤の準備をした。メール、きっと親も見るんだよな。余計な事は書けないな。そう思っていたとき、またメール着信。「やっぱりカナブンだ。行ってきまぁす!」。イマも連絡先が正しいか確認したかったようだ。


-----


タカは、イマから転送されたメモリにあったイマの家に電話し、両親に電話で挨拶をした。

「吉井様のお宅ですか?私、金澤と申します。□□□□研究所に勤務しています。先日、お嬢様とお会いしました。ご連絡が取れるように、携帯メモリのアドレス交換をしました。これから、一緒に勉強させていただきたいと思っています。月に1回程度、お嬢さんと逢わせて下さい。お願いします」

電話にでたのは母親だった。「金澤さん、ですね。吉井 今の母です。初めまして。先日、イマからお話は伺っております。・・・・月1回というお話、続きがございません?イマからは、カナブンさん、失礼、金澤さんからプロポーズを受けた、イマが20歳になるまで待つと言われた、と伺ってますわ。そのお気持ちだけ、頂戴しておきます。とりあえずは、そうね、例えば土曜日の午後にでもイマとお逢いになって下さいますか?イマも、何となく楽しみにしているみたいですのよ。いつ誘ってくれるかなって申しておりました。イマの父には、私から伝えておきます。これから、よろしくお願いいたします」タカは、一瞬焦った。そうか、女の子は母親とは親しい。恐らく何でも伝わるだろう。でも、社交辞令以上のことを言ってくれている。「はい、申し訳ございません。イマさんにお伝えした気持ちは、本当です。何故かについては、今はうまくご説明出来ません。ともかく、イマさんとお逢いすることの許可をいただいた、と思ってよろしいですか?ありがとうございます。いずれまた、ご連絡させていただきます。失礼します」電話を切ってから、タカは激しく動揺している自分に気づいた。とにかく、逢える。そのことが、嬉しかった。


タカとイマは、ほぼ月1回のペースで逢っていた。最初の約束通り。

時には、お互いの都合で2ヶ月空いたり、月に2,3回逢うこともあった。

だいたい、土曜日の午後。タカは、イマの母から特に門限について言われたことは無かったが、だいたいイマが午後6時には家に帰り着くようにした。

逢う場所は、大抵がイマがいずれ通い詰めることになるブランドショップもある、大規模なショッピングモールだった。ベンチで話したり、コーヒーショップに入ったりして、話し込んだ。その前に逢った時からのこととか、タカからは謎かけのような話(後にイマはそれが研究に関する事だと気づく)をした。


時には、イマの最寄り駅までタカが迎えに来て、色んな処を廻った。遊園地、動物園、それに博物館や美術館。イマは特に、博物館でスイッチを押すと何かが動く仕組みのものが大好きだった。タカは、幼い頃に自分がして欲しかった事をイマにしてあげているようだった。

まれに、連れだって歩いていると「職務質問」されることがあった。傍目から見ると、どうも親子には見えない。子供に敬語を使っている。怪しいと思う警察官が居ても不思議は無かった。タカは自分の身分証明は何とかなるが、イマとの関係を説明するのに毎回苦労していた。こういうときに「張り付いている人」が助けてくれてもいいのに。そう思うこともあったが、それでは騒ぎが大きくなることもまた承知していた。


ある日、タカの携帯にイマの家から電話がかかってきた。

やっぱり、見られてる、覚えられてる。タカはそう思いながら電話に出た。イマの母親からだった。

母親「カナブンさん、いえ金澤さんの携帯でしょうか。吉井と申します。いつもイマが大変お世話になっております。今、お電話大丈夫でしょうか?」

嫌も応もない。イマの親と話せる機会など、そうそうない。

タカ「金澤です。はい、大丈夫です。こちらこそいつもイマさんにお相手していただいて、ありがとうございます。・・・・ところで、どんなご用件でしょうか?」

母親「あの、大変勝手な話で恐縮でございますが、今度の土曜日、お体空いてらっしゃるかしら?実は、とあるところからお招きに預かりまして、主人と私は一緒に出かけなければなりませんの。その帰り時間がとても遅い予定で、夜半過ぎになってしまいますのよ。その間、イマはひとりぼっちになってしまいますの。お願いしたいのは、今度の週末、イマと夕食をご一緒になって、午後10時位までに家に着くようにしていただきたいんですの。ごめんなさい、こちらの我が儘ばかりで、ご面倒なお話をして」

タカ「いえ、全然面倒だなんて思っていません。イマさんと、普段お会いしている時間より遅くまで、夕食を供にして、22時までにお宅まで送り届けます。それでよろしいでしょうか?」

母親「はい、そのように。イマには、私からも言っておきますので、何処か普段お出かけにならないような処へ連れていただければ幸いですわ」

タカ「では、研究所・・・という訳には参りませんね。セキュリティもありますから。何処か、夜景のきれいな場所を探してみます」

母親「まぁ、夜景ね。イマは見たことないでしょうから、きっと喜びますわ。それでは、ご面倒をおかけしますけれども、よろしくお願いいたします。では、失礼します」

やった。タカは自分で理由も判らず興奮した。イマとディナーかぁ。それに夜景スポット。イマはお酒を飲むには未だ未だ全然早いから、スカイラウンジの類じゃ駄目だな。検索しておこう。

タカは、一瞬自分の懐具合を心配した。家賃や光熱費と、奨学金返済で、タカの給料のうち半分以上が消えていく。残りで、食費やイマと逢うための費用を賄っている。少しずつではあるが、貯金もしてある。次の給料日は、間の悪いことに週明けだ。タカは、貯金を少し取り崩すことに決めた。


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タカにイマを預けることになった裏にはこんな話があった。


父親「おい、大変なことになった。今度の週末、ウチだけじゃなくて各省庁からお偉いさんが集まる会合があるんだ。それに招待された」

立派な封筒と、その中身らしい紙を持って、父親は慌てて母親に話した。

母親「あら、まぁそれは素晴らしいじゃないですか。あなたも認められたということですわね」

父親「うむ、それはいいんだが、夜のパーティ付きでな、カミさん同伴で来いというんだ。しかも、時間が遅くて」

母親「まぁ、シンデレラタイムかしら?遅くなるとすると、イマの事が心配ね・・・・カナブンさんにお願いしてみようかしら?」

父親「あのなぁ、最近よくそのカナブンとかいうのを聞くが、何でも30過ぎの男だろ?イマより私たちの方がよっぽど年が近いじゃないか。お前もしかしてそのカナブンとかと」

母親「いやですわ、何を言い出すかと思ったら。私はカナブンさんとはお会いしたこともなくってよ。でも、イマのお話だととてもいい方らしいわ。あなた、イマのこと信用なさってらっしゃるでしょ?」

父親「イマは、信用してる。だがな、そのカナブンは、それこそ俺も会っていない。未だ信用出来かねるね」

母親「ですから、今度の事は、いい「試験」になるかしらと思ってますのよ。どこまでイマを楽しませて、護ってくれるか、私賭けてみたいと思ってますの」

父親「自分の子供で賭けなどするもんじゃない。・・・・まぁいい。イマの件はお前に任せた。それより、正装だぞ。俺は燕尾服なんか持ってないぞ」

母親「この文面だと、「略装可」ってなってますわ。だとしたら、タキシードか、最悪礼服でもよろしいわね」

父親「何を言ってるんだ、俺の一世一代の見せ場だ。今からオーダーメイドなんて無理だろうから、職場の近所にある紳士服屋に行って、そうだな、つるしでもタキシードならいいだろ。買うぞ。いいな」

母親「レンタルもありますけど、1着くらいちゃんとしたものをお持ちになってもよろしいですわね。お金は後で用意しておきますから。私は、実家に行ってお母様のドレスでも借りてきますわ」

父親「じゃあ、そういうことだ。とにかく時間がない。ちゃんと準備だぞ」


実家には、自分のドレスも置いてあったが、それは言わなかった。

タキシード代。つるしでも、数万から十数万ってところかしら。足りると良いけど。母親は、自分のホームグラウンドであるダイニングキッチンに行き、自分のパート代からへそくりしてある現金をそっと確認した。

後は、イマのことね。本当にカナブンさんにお預けして大丈夫かしら?自分で言い出したことですけれど、「試験」なんておこがましいかしら?

・・・・暫く考えた後、母親は決心した。カナブン(タカ)を信じてみようと。

後で私の分の合い鍵をイマに預けましょう。


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さらに裏の話。

「警護人」達は、イマと逢っているタカを見守っていた。

そのうち、誰かがイマの不思議な視線に気が付いた。

時には、見えないはずのこちらを見られている。

「警護人」達は、そのことを通常報告に付記した。

翌日から、警護対象がタカだけではなく、イマも含まれるようになった。

「警護人」の人数も増え、さらに遠方から監視することになった。

それでも、時にイマは、遙か彼方の双眼鏡から覗く視線を「見返す」ようになった。更に、イマの視線がタカの上空を漂うとき、タカは何か熱心に話している様子が見て取れた。

報告を受け取った上司は、もしかしたら、と思った。

それまでのイマの資料を、上層部に送った。

監視を強化するように。タカも、イマも、それぞれ個別に。

それが上層部からの指示だった。


事務次官会議は、大抵つまらないものである。その後の宴会で本音を語り合う方が、よっぽど楽しい。大方が、そう思っていた。

ある日の会議。議題に、珍しいものがあった。

「新世代画像開発が期待される人物と、可視光線以外が見える可能性がある少女について」

手元資料には、本名と、簡単な略歴。そして、それぞれの特徴が書かれていた。

警察庁長官から、簡単に説明があった。

会議は、ちょっとざわついた。隣同士で耳打ちし合うものもいた。

「この男は、あそこに居るんだね?単なる偶然か?」「いや、確認してみないと判らんが、当時の次官が手配した可能性がある」「この子は、あれか、君の処の職員の娘かね?」「はい、そのようです。詳しくは知りませんが、父親は実直・真面目で、この年にしてノンキャリで課長級ですね」

「面白い」 座長・議長を務める、最年長の次官が言った。

「試しに、そうだな、今度の例の会議とパーティ、それにその子のご両親を招待してみてはいかがかな?それと、その間の、二人の行動監視だ。私の勘だが、恐らく、両親を招待すれば、その二人は一緒に行動すると思う。どうだろうか?」

座長の言葉は、ほぼ絶対である。満場一致で決まった。昼の会議で、このように進むことは珍しかった。

座長は言った。「あぁ、君、書記官君。今の話、議題の始めから今の処まで、削除してくれたまえ」

それ自体は珍しい事ではない。議事録は、改竄されるものだ。しかし、珍しく満場一致となった議事まで削除とは・・・・書記官は少し躊躇った。

「君、削除だよ。頼んだよ」念を押されて、書記官は議事録の速記と、早打ちのパソコン議事録から、注意深く関連する分を削除した。


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閉会後、座長は椅子に座ったまま、思い出していた。


あの少年か。次官になったばかりの頃に、会議資料の中で、目に留まったものがある。とある中学の入試面接で、「それ自体が光る色素体を研究したい」と言った少年が居た、というものである。通常ならば、そのまま会議で話題にもならない処であった。座長は、当時のその分野の次官に、直接連絡を取った。「あぁ、私です。ようやく、此処まで来ました。今後ともよろしくお願いいたします。・・・・早速ですが、お願いがあります。ある少年を、例の計画に組み込んではいただけませんか?はい、未だ中学生の少年です。ですが、充分見込みはあります。次の会議の資料はお手元にありますか?その中に、その少年について触れた資料があります。・・・・見つけられましたか。重要なのは、「それ自体が発光する色素体」という下りです。ご存じの通り、そちらの省と大学で研究している合同テーマのうちの1つですよね。都合の良いことに、その少年は合同研究している大学の付属中高に在籍しています。その中学受験の際の発言だそうです。つまり、小学生にしてそのような事を考えていた、ということになります。

・・・・もう、お判りになりましたね。是非、例のプロジェクトに、出来れば例の研究所に、配属になるように手配願えませんでしょうか?いや、ご検討いただければそれだけで、今は結構です。それでは、よろしくお願いいたします。」

将来座長となる男は、それに引き続き、あるところに電話をした。

「あぁ、私だ。ようやく、君とも直接連絡が取れるようになった。早速だが、ある少年の警護を依頼したい。資料は後でFAXする。いつもの通り、質問は無しだ。よろしく」

彼は、秘書に頼まず、自らFAXを送信した。秘書が居ない昼休みのことである。その後、少し居住まいを正して、あるところに電話をした。

「はい、私です。今回のお取り上げ、ありがとうございます。ご恩にきます。・・・・それで、少々お話しておきたいことがございます・・・・」


座長は、ふと我に返った。どうやら、思い出に浸っているうちに、少し眠ったようだった。軋み始めている身体をゆっくりと椅子から離すと、会議室から退出した。思い出は思い出。今は今。流れは、作るものだ。最後のは、彼の信念でもあった。


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タカは、朝から張り切っていた。今日は、色んなものを見せて上げよう。コースは頭の中にあったが、実際に行くのはカナブンも初めての処が多かった。とりあえず、こいつを仕上げよう。タカは何かを作っていた。

イマは、朝からワクワクしていた。今日は、丸一日カナブンと一緒だ。何処に行くのかなぁ?何をするのかなぁ?ディズニーランドとかだったら、幻滅するぞ、っと。いつもは行きたい処だけど、今日だけは、違う処がいい。


朝10時。イマの最寄り駅で、二人は待ち合わせた。「おはよ、カナブン」「おはようございます、イマさん。さて、今日は何処で何をしましょうか?何かリクエストはありますか?」イマは一瞬幻滅しかかった。プラン無し?そんなわけないよね。それに、今日はカナブン、デイパックを背負ってる。何が入ってるのかなぁ?

タカは、デイパックに、ちょっと久し振りに作ったあるものを入れていた。それに、両手が空いていれば、万が一の時にもイマを守ることが出来る。

イマ「今日は、カナブンに一切お任せ、でぇす。きっと、イマの知らない処とか連れてってくれる事を期待してまぁ~っす」 イマの先制パンチであった。カナブンも負けてはいられない。

タカ「それじゃあ、今日は一日ミステリーツアーをやります。途中見ててもいいですけど、私が合図したら、これを目隠しにして下さい」 タカが差し出したのは、白いハチマキのようなものだった。他のものだと、明らかに怪しい二人連れになる。ズルをする気があれば、目隠ししたままでもある程度透けて見ることが出来る。イマは面白がった。

イマ「じゃあ、もう今から目隠ししちゃおっか?」

タカ「それは勘弁して下さい。私がお巡りさんに捕まってしまいますから。最初は、東京タワーです」

イマ「一度、遠足で行ったことあるよ。たか~い処だよね?」

タカ「今日は、ちょっと違った東京タワーの楽しみ方を教えましょう。イマさんは、足には自信がありましたね?」

イマ「うん。かけっこ大好き。今日、何処にいくのか判らなかったから、歩きやすい靴も履いてきた。でも、鞄もカナブンみたいにリュックの方がいいのかな?」

タカ「大丈夫ですよ、その鞄くらいなら。つらくなったら私のデイパックに入れます。靴と足は、ちょっとだけ覚悟しておいて下さいね」 イマはそろそろ覚えていた。カナブンが「ちょっとだけ」というときは、「かなり大変」ということだ。よぉし、ちゃんと歩くぞ。

二人は、駅から東京タワーの最寄り駅である赤羽橋へ向かった。遠足の時はバスだったから、イマには新鮮である。タカも、大江戸線に乗るのは初めてであったから、その騒音と狭さに驚いていた。

赤羽橋駅の出口を出ると、目の前には東京タワーがそびえ立っていた。間近で見ると、やはり大きい。

タカ「さて、イマさん。ここから歩きますよ」イマは、言われなくても歩きでしょ、と思いながらタカに付いていった。

少し上り坂になっている道を、東京タワーまで歩いた。素直にエレベータに向かおうとするイマに、タカは言った。

タカ「イマさん、今日はそっちじゃありません。とりあえず、この建物の屋上まで、エスカレータで行きましょうか」

イマは不思議だった。だって、東京タワーって、エレベータで登るもんでしょ?

屋上に出たタカとイマは、とある階段に向かっていた。何か書いてある。昇っていく人もいる。

タカ「さて、ここからが本当の歩きです。というよりも、この階段であの大展望台まで、歩いて登って行きます。覚悟はいいですね?」 イマは、そういうこと?最初っから、結構ハードかも、と思った。

イマ「はい、じゃ登ろう!しゅっぱぁ~つ!」

タカ「イマさん、張り切るのはいいですが、自分のペースで、ちょっとゆっくり目に登らないと、ちゃんと上の展望台まで行けないかもしれませんよ。それにこの階段は一方通行、途中で止めることは出来ません。いいですね?それでは行きましょう」 二人は、登り始めた。途中、元気な少年に抜かれることもあったが、じきにその少年がへばっている処を通過した。タカは、イマに合わせてゆっくりと登った。イマは、階段を一段一段しっかり踏みしめて登った。ふと、途中で辺りを見渡すと、そこは東京タワーの鉄骨の囲いの中であった。中央に、エレベータの施設が見えるが、途中乗車は出来ない。なんか最初から凄い展開だなぁ、とイマは思った。

タカ「イマさん、少し疲れましたか?休みましょうか?

イマ「ううん、このペースで、そのまま展望台まで行きたい」

タカ「では、そうしましょう。今のペースで、無理はしないようにね」

暫く無言の、登山のような階段登りが続いた。ふと、急に景色が変わり、建物の壁が脇にあった。

タカ「さぁ、そろそろ着きますよ。あとちょっとです」「はぁ、い。」イマは少し息が切れていた。

ついに展望台(下段)に着いた。タカは空いている椅子を探して、イマをそこに座らせた。

タカ「よく頑張りましたね。疲れたでしょう。ちょっと此処で待ってて下さいね」 タカは何処かへ向かった。

間もなく戻ってきたタカの両手には、ちょっと大きめの紙カップがあった。

タカ「はい、これはイマさんの分。此処でしか飲めないジュースですよ。生の果物を搾った特製ジュースです」

イマは、ちょっと眺めてから、最初はストローで、しまいに直接口で飲み出した。細かく砕いた氷が喉に嬉しい。

イマ「あ~、おいしかった。最初の冒険は此処まで?次は何処?」

タカ「いいえ、此処で朝渡した目隠しの登場です。イマさん、結んで下さい。・・・そう、では手を引きますから付いてきて下さい。・・・この辺りでいいでしょう。そうですね、イマさん、ちょっと床に座っちゃいましょうか。それで、ゆっくりと目隠しを外して下さい」 イマは言われたとおりにした。目隠しを外すと、下は空だった。イマは驚いて飛び退いた。

タカ「はは、ちょっとびっくりさせ過ぎちゃいましたですかね。此処は、東京タワーの真下を見ることが出来る窓です。落ち着いたら、もう一度見てご覧なさい」 イマは、そーっとのぞき込んだ。わぁ、ビルが小さい。あの動いてるのはクルマ?あ、人がアリみたいに歩いてる。おもしろ~い。ひとしきりのぞき終わって、イマは「面白い処なんだね、東京タワーって。知らないことが一杯あるみたい」と言った。

タカ「そうですよ。知ってるつもりでも、知らない事が世の中には一杯あるんです。さぁ、周りをみましょうか?それから、もっと上の特別展望台には行きたいですか?そこはさすがに階段では行けませんけどね」

イマは、さっと周りを見回して、言った。「ううん、もういい。ここからの景色も綺麗だけど、なんかちょっと濁って見えるから。それよりお腹すいちゃった。カナブン、何か食べたい」

タカ「はい、じゃあ帰りはエレベータで、このタワーの脇に芝生がありますから、そこでお弁当にしましょう」

お弁当?カナブンが作ったの?イマは、そんなことをやるようには決して見えないカナブンを見直していた。


下までおりた二人は、元はボーリング場があった辺りの芝生へ、タカのデイパックから出したレジャーシートを拡げて座った。少し坂になっているから、かえって座りやすい。

タカ「はい、まずはおにぎり。中には何も入っていない、塩むすびですけどね。それから、これはおかず。昔、旅をしたときに覚えた中で、日本でも簡単に出来そうなものを2,3作ってきました。全部辛くないですから、好き嫌いの無いイマさんならどれでも食べられますよ。それから、はい、お箸。私は、このお箸を使います」 魔法のように、タカのデイパックから、色々なものが出てきた。その他にお茶の魔法瓶ポットもあった。イマに渡されたお箸は、割り箸でも、キャラクターものの安物プラスチックの箸でもない。黒塗り主体の、それでもかわいいお箸であった。先の処に少しキザキザが付いていた。タカは、何も塗っていない黒い箸を使っていた。イマは恐る恐る、まずはおにぎりから口を付けた。・・・おいしい。何にも無くても、おにぎりっておいしいのね。次に、半透明の春巻きのようなものに箸を付けた。中には、細切りにした様々な野菜と、やはり細く割いた鶏ささみらしいものが入っていた。これもおいしい。イマは次から次へと夢中で食べていた。その様子を、タカはにっこりほほえみながら見ていた。が、おかずを全部イマに食べられそうになって、慌てて「私も食べますよ」と箸を付けた。

イマ「わぁ、おいしかった。ごちそうさまでした。カナブン、このお箸だけど」「はい、今日の記念にイマさんにプレゼントしますよ。箸箱はこれです。お弁当のときとかに使って貰えたら嬉しいですね」「お家で使ってもいい?すんごくかわいいんだもん。しまっておいたらもったいないよ」「別に構いませんよ、もうイマさんのものですから。じゃあ、次は横浜に行きましょう」 横浜?行ったことがない街だ。イマはまたワクワクしてきた。

横浜付近までは電車だったが、元町・中華街という駅で降りた。そこからは基本的に歩きである。中華街を散策して、イマは早速豚まんを欲しがった。さっき食べたばかりなのに、すごい食欲である。タカに買って貰った豚まんをほおばりながら、関帝廟とか、知らない事を一杯教わった。次に元町の商店街である。イマの地元とは、かなり雰囲気が違った。おしゃれなお店が一杯だった。さすがに中に入るのは躊躇ったが、ウインドウショッピングを楽しんだ。

タカ「イマさん、私のプランでは、次は公園2つなんですが、どちらもかなり歩きますよ。どうしますか?」

タカが「かなり」というからには、イマはもうついて行けないと思った。「歩くんだったら、もういい。もう夕方だし。それより、晩ご飯食べようよ」「さっき豚まん食べたばかりじゃないですか」「関係なぁ~い!歩けばお腹は空くの!どっか、面白い処がいいな」「はい、ちゃんと用意してありますよ。じゃ、タクシーを拾って行きましょうか。歩いても行けますけど。イマさん、タクシーに乗ったら、また目隠しをして下さいね」でたなぁ、2つめのサプライズ。イマは楽しみにしながら目隠しをした。タカは、運転手にちゃんと事情を説明して、行き先を告げた。

タカ「はい、着きました。イマさん、降りられますか?・・・はい、大丈夫です。・・・運転手さん、ありがとうございました」タクシーが走り去る音がした。気のせいか潮の匂いがする。イマはドキドキしてきた。

タカ「はい、こちらへ・・・・そろそろいいですね。目隠しを取って下さい」 イマは待ってましたとばかりに目隠しを外した。意外な風景が広がっていた。石で出来た、周囲から階段状に深く掘り下げてある場所。その先は、海だ。

タカ「此処は、ドックヤードガーデンと言います。昔、此処で船を造っていたんですね。もう此処では船を造らなくなったから、公園みたいになってるんですよ。さて、あそこの店です。行きましょう」

タカは、予約してあった店の名前を見つけ、頼んであった外が見える席に着いた。もちろん、イマから海が見える方角に座った。「一応、簡単にコースを予約してあります。飲み物は、好きなのを頼んで下さい」タカからそう言われて、イマはメニューを見た。・・・ね。此処って、カナブンのお給料で大丈夫なの?イマは余計な心配をした。一番安そうなソフトドリンクを頼んで、タカと話した。「すんごく綺麗なお店ね。素敵な雰囲気。私みたいな小学生じゃ、不釣り合いじゃない?」「そんなこと、誰も気にしてませんよ。景色を見て、おいしいお料理が食べられたらいいんですから」 タカからは、するっとかわされた。やがて、順番に料理が出てきた。タカは「簡単なコース」と言ったが、イマにとってはフルコースである。ゆっくり過ごす時間を楽しみながら、食べた。名残惜しみつつ、店を出たイマが言った。

イマ「わぁ~、さすがに今日はもうお腹一杯。もう入りません。ねぇカナブン、そろそろ帰るの?」

タカ「いいえ、最後のイベントが残してありますよ。ランドマークタワーに行きましょう。すぐそこですから、腹ごなしに歩きましょう」すぐ、では無かったが、やがてランドマークタワーに着いた。最上階のスカイガーデンへ直行するエレベータに乗った。速い。けど、気持ち悪くならない。不思議なエレベータだなぁとイマは思った。最上階に着いて降りた途端、イマはタカに廻れ右をさせられた。

タカ「さて、最後の目隠しです。・・・いいですね。ではこちらへ・・・この辺で良いでしょう。はい、外して下さい」

・・・・イマは絶句した。綺麗。すんごく綺麗。キラキラしてる。あっちも、こっちも。わぁ。

その様子を見ていたタカは、連れてきて良かった、と思った。イマの目がキラキラと輝いている。暫く、イマをそっとしておいた。イマが納得するまで見せよう。

だいぶ時間が経ってから、ようやくイマは辺りを見回して、タカを見つけた。

イマ「カナブン、綺麗だよ。ほんとに綺麗。連れてきてくれてありがとう!」

タカ「そう言って貰って、こちらも嬉しいです。準備したかいがありました。・・・・さて、イマさん。そろそろ帰りましょうか?」

イマは、本当に名残惜しみつつ、エレベータのドアが閉まるまで景色を見ていた。


イマにとって、帰りはあっという間だった。途中で寝てしまったのだ。タカは、乗り換えの際に起こそうとしたが、なかなか起きないので諦めてデイパックをお腹側にして、イマをおぶって乗り換えていった。

最初にイマをおぶった時、タカはイマの胸の微かな膨らみにドキッっとした。そして、イマがとても愛おしくなった。

イマは、私が護る。タカは、このときはっきり決意した。

イマの最寄り駅に着いた時には、さすがに起きて貰わなければならなかった。

タカ「イマさん、イマさん、起きて下さい。・・・はい、此処がどこだか判りますか?あなたのお家のある街の駅ですよ。しっかりして下さい。立てますね?はい、じゃあ改札まで歩きましょう」

イマはよろよろとしていたが、やがてちゃんと目が覚めたようだった。駅?私のうちの?まるで魔法みたいに着いちゃった。

タカ「じゃあ改札まで。それともお家まで送りましょうか?」

イマ「ううん、大丈夫。商店街は未だ明るいし、もうしゃんとしました。今日は本当にありがとう、カナブン。とぉ~っても楽しかった。また遊んでね」

タカ「はい、また遊びましょう。では、気をつけて」

タカが改札から心配そうに見送る中、イマは自分の言ったとおりしゃんとして歩いていった。程なく自宅に着いたが、未だ両親は帰っていないようだった。イマは母から借りたカギを2つ取り出して、家に入った。ダイニングの明かりは付いていた。きっとお母さんの仕業ね、泥棒よけの。おっと、じゃあまたカギをかけておこうっと。じゃ、お風呂に・・・なんか疲れたから、今日はもういいや、寝ちゃお。イマは最後の方は、殆ど夢の中であった。そのまま寝てしまっていた。


深夜、両親が帰ってきた。カギを確認して、寝室を確認して、イマがちゃんと帰っていること、但し着替えも何もしていないことを母親は確認した。父親は酔っていた。帰りの道すがらと同じ小言を繰り返していた。

父親「なんだよぉ、折角の機会だからお偉いさんと話してみたら、みんなイマと例の金澤君の話ばかりじゃないか。イマを褒められるのはともかくだ、何で金澤君がセットで話に出てくるんだよぉ。全く」

母親も、同じ慰めを繰り返していった。「だから、いいじゃありませんか、イマのことを知ってらっしゃるということは、あなたのことも決して忘れていないということなんですから。カナブンさん、いえ金澤さんのことは、今晩は忘れましょ。はい、お着替えになって。イマはもう眠ってますから、出来るだけ静かにお休みになって下さいね」

父親は、言うなりに着替え、早々に床についた。母親も着替えたが、今日イマはどんな体験をしてきたのかしら、と考えながら、そこら中に散らばっているイマと父親の着るものと荷物を片付けた。


翌日、日曜日。イマは朝から夢中になって母親に昨日の事を話した。母親は、洗濯や掃除をしながら、ちゃんと聞いていた。聞いている証拠に、絶妙な合いの手を入れながら。本当に素敵な日を過ごしたのね、イマ。今度カナブンさんにはちゃんとお礼をしなくてはならないわね。

母親は、丁寧な感謝の手紙を、研究所気付けでタカに送った。イマの携帯にメモリされていた住所が研究所だったからである。タカは内容を見て、恐縮した。かえって気を遣わせてしまいましたかねぇ。また今度、こんな機会があったら、もうちょっと工夫しましょうか。タカは、敢えて手紙の返事は書かず、イマの家の留守電に手紙が届いた事とお礼を吹き込んだ。そういえばお母さん、昼間働いてるっていってましたね、イマ。今度はもっとお金のかからないことにしましょう。タカは、頭を研究に切り替えた。


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