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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第10章 冒険者の街とお祭り騒ぎ
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市街観光 -10-09-

「お久しぶりですステラ教皇」


「ここは素晴らしい街だな。部屋も気に入ったぞ」


「それは良かったです」


迎賓館の二階部分にあるパーティールーム?には巨大なテーブルが置かれ、調理部門のメンバーが料理を並べていく。


本日の昼食はロブさん特製のパスタシリーズ。今回はラザニアのようだ。

客人に出す料理としては正解なのだろうか……?


「そういえば毒見とかはしないの?」


「神殿にいるときはじーさんれんちゅがうるさいからやっているが、まあ大丈夫だろう。私を暗殺して得があるとも思えんし」


「まあ、さっきフロールの鼠を捕まえましたがね。万が一毒にあたってもイーリスとカナデがいるので何とかなります」


「それは頼もしいな」


イーリス(回復)と私(舞による解毒、回復も可能)便利な護衛だ……。


「この後は発注されている分の装備一式の確認もかねて、一度商業組合に案内します」


「よろしく頼む」


主菜の皿が下げられ、私製作のデザートが並べられる。


「デザートはズコットとティラミスですか」


「今日の昼食はイタリア料理って聞いてたから。モンブランでもよかったんだけど栗がなかなか難しくて」


「ズコットってなんですか?」


アスカが小声で質問する。


「半凍状態のケーキみたいな感じ?まあ食べてみたらわかると思うけど」


「カナデさんなんでも作れるんですか?」


「複雑な味の奴はこっちでは再現しづらいかな」


ステラは大変気に入ったようなので、あとでヴェラさんにレシピを渡しておこう。


「じゃあカナデさん。後はよろしく。僕は港で仕事があるので」


そういうとハルトはホールを出て行った。あの人はあれで忙しいらしい。


「じゃあ組合に行きましょうか」


迎賓館を出て、西へ2区画進んだ北側に組合の本部がある。玄関では既にヨウジさんとレイさんが待っていた。


「どうぞ中へ」


中へ入ると私が一度もはいったことのない部屋へ通された。

ここは確かまともな方の武器部門のエリアだった気がする。


「とりあえず剣から見てもらいますね。ミスリル製で鞘は革で数は既に100用意してあります」


エルバートさんが剣を見る。どうやら御眼鏡にはかなったようだ。


「これは鋳造ですか?鍛造ですか?」


「……まあ最後の方は鍛造だけど、ミスリルからその形にするのはスキル……じゃなくて、魔法だな」


ロランドさんが無理やり何とか答える。スキルで大方の形ができるという説明はかなりしづらいが、この世界は大体『魔法』で片付く。便利な世の中だ。


いつの間にかロランドさんとエルバートさんは語りに入ってしまい、こちらの方に全く反応を示さない。

どうしたものかとため息をついて後ろを見ると、レイさんが何故か入口から覗き込み、手招きをしている。


『どうしたんですか?』


『是非ステラちゃんに着てほしい服がね?』


『教皇ですからあんまり露出系の奴はやめてくださいね?国際問題嫌ですよ?』


『わかってるって』


仕方がないのでレイさんについていくことにする。エルバートさんは動かしようがないのでカイトとタツヤに見させておく。まあそのうち我に返るだろう。


ステラと一行を引き連れて4階にあるレイさんの部屋へ向かう。


「お久しぶりですステラ様」


「ああ、調印の時に来ていたな確か」


「レイと言います。私は服を専門に作っています」


「なるほど、カナデの衣装がコロコロ変わるのはお前の仕業か」


そうです彼女の仕業です。


「それでですね。こんなものを作ってみたので、よろしければ納めください」


レイさんが取り出したのはステラが来ている法衣に形や配色は似ているが所々に彼女らしい凝ったつくりの織り込まれた法衣だった。


「これは……なかなか素晴らしい」


侍女二人も納得の出来の様だ。


「防弾防刃耐魔法の能力のある法衣です。たぶんその辺の暗殺者程度の刃なら通しません」


CONの増加量が100以上もある……なんだこのハイスペック。


「カナデの剣ならどうだ?」


「カナデちゃん全部装備してSTRどれぐらい?」


「408です」


「貫通しますね」


「カナデは敵に回さないようにしないとな」


ステラが笑いながら答える。……これ笑いごとかな?


「他にもいくつか服を作ってあるのでどうぞ見て行ってください」


「大きさとかは大丈夫なのか?この法衣は恐ろしいことにぴったりだったが」


「前回お会いした時に目で測りましたから」


もしかしてそんなスキルがあるのだろうか……。それともこの人の固有スキルだろうか……。


シオン+他2名が自分も洋服を見たくてうずうずしているので行かせてやることにする。

シオンは私に似合いそうな服をいくつか持って来たがすべてハンガーに「K3」のラベルが貼ってあった。よく見ると「O3」や「S2」「S3」のラベルの付いたハンガーもある。

おそらく3は私たち3姉妹だろうから、S2はシオンかな。どこかに「Z2」のラベルがあれば確定だ。

ただし、自分をモデルに服が作られていると気づきたくなかったので、このアルファベットの謎も気づかなかったことにする。


2時間が経過したころに、カイトたちから連絡が入り、エルバートさんが合流した。

レイさんはすぐにエルバートさんの採寸を取り騎士服をデザインし、布を選び、糸を選び、作成した。この間5分。


どうやらステラの新しい法衣(決定)に合わせたデザインにしたらしい。スペーラ滞在中はそれを着ることを命じられたエルバートさんは若干哀れだった。


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