回避不可 -10-07-
『おはようございますカナデさん』
『おはよーシオン。開いてるから入って』
「シオンさんって毎朝起こしに来るんですか?」
アスカが質問する。
「朝弱いんだよねー私。朝ごはんは昨日ロブさんから材料貰ったからそれで作るね。シオン手伝って」
「カナデさんの手料理楽しみー。昨日のお菓子もおいしかったけど」
「そうだねー。あ、私も手伝います」
そういうとモエは台所へと入っていく。
「アスカもイーリスも同い年だよね?もっとラフに接してくれていーよ?」
「なんか複雑な気分になるのでもう少しこのままでお願いします。じゃあ私イーリス起こしてきますね」
そういうとアスカは客室の方へ消えた。
「イーリスさんまだ起きてなかったんですか?」
「2回起こしたんだけど……今三度寝中」
「カナデさん、シオンさん、今朝の献立はなんですか?とりあえず今作ってるだし巻きはわかるんですが」
「お味噌汁とご飯と、あとは大根?とナス?のお漬物と焼き海苔?かな。で、メインはサバ?の塩焼き。あとロブさんからもらったきんぴらごぼう?みたいなのもあるよ」
「やたらと疑問符ばっかりで怖いんですけど……」
「モエさんは料理はよくするんですか?」
「お母さんのいないときとかは。お兄ちゃんにも食べさせないといけないし」
「お兄さんいるの?」
「はい。エンマが私の兄です」
「「!?」」
似てなくはないけど……ホントだろうか……。
「イーリス無理やり起こしてきました……って、どうしたんですか?カナデさんもシオンさんも」
「いや、気にしないでちょっとびっくりしてただけだから」
「アスカさん……私の方が年下なので“さん”付けはやめてほしいんですが。呼び捨てでお願いします」
「呼び捨てはなんかね……それに年下って言っても一つしか変わらないし……じゃあシオン“ちゃん”で」
「……やっぱり“さん”でいいです」
広いと思っていたテーブルも5人座れば思ったより狭くなる。
「あ、そういえば……イーリス日本食大丈夫?」
「え……たぶん大丈夫だとは思いますが……」
「これぞ日本食みたいな朝食だもんね」
「これがそうなんですか」
「いただきまーす……久しぶりだなぁお米の朝ごはん」
モエとシオンはもぐもぐと咀嚼をしている。ちょっと小動物を彷彿とさせる。
イーリスは以外にも箸を使いこなしている。どこで身につけた能力だろう……。
『カナデちゃん!』
「レイさん!?びっくりさせないでくださいよ……おはようございます。どうかしたんですか?」
『おはよう……ってこれから寝るんだけどね私。出発までに時間あるならちょっと組合いに寄って欲しいんだけど』
「徹夜までして何作ったんですか……」
『とにかく来てね!』
一方的に念話は切れた。仕方ないなぁ……。
「レイさんから呼び出しですか?」
「うん。ちょっと行ってくる」
「私は先に集合場所に行ってます」
前回の反省から着いてこないことを選んだらしい。
「じゃあ、長引くかも知れないから先に出るね」
「食器は洗っておくので置いておいてください」
「ありがと」
転移を使い組合の防具Ⅱ種(服飾)部門とかかれた階に降り立つ。
「レイさん。来ましたけど……ってハルトさんまで何やってるんですか」
「それなりに警護の雰囲気を出そうと思って」
「いらない気を回さないでください」
「じゃあ警護中はこれ着てね」
渡されたのは上下濃紺のスーツと踵の低いパンプス。
「意外とまともだ……」
「全員分あるから持って行って……あと私服警官みたいなことするんでしょ?このとっておきの私服セットも持って行って」
「あ、ありがとうございます……」
「警護用の制服だからねコレ。各隊でネクタイとラペルピンが違うから」
渡されたネクタイは紫。ラペルピンは羽根の形をしていた。
「どうしてここまでこだわるのか……」
「いいから着替えて」
「ああ、やっぱりそのパターンですか」
もう抵抗は無駄だとわかり始めたのでおとなしく着替える。
「うん。完璧」
「えーっとそろそろ行ってもいいですか?」
「うん。じゃあみんなによろしく」
意外とすっと解放してもらえたのでまっすぐに集合場所へ向かう。
「カナデさんまた着替えたんですか」
「うん。例のごとく全員分あるから」
「でも、今回は割とまともですね」
「警護用制服だって」
「これで並んで歩いたらすごい威圧感ですね」
「それが目的じゃないかな?」
全員受け取り、順次着替えていく。
「あ、A班はこっちの服着てね。B班はスーツでいいけど」
「えっと、これは?」
服を受け取ったマナミが首をかしげる。
「レイさんデザインの服一式。まあ動きやすさ重視の最悪戦闘もできる格好になるけど」
「レイさんのデザインですか!?やった!」
マナミとリゼットはテンション急上昇。やはり彼女のデザインは人気があるらしい。
マナミとイーリス以外も押し寄せてキャーキャー言っている。その隣でツバサがすでに疲れた目をして立っている。
「えーっと……じゃあ今から行ってくるけど、配置よろしくね」
「「「「「「「「はい、わかりました」」」」」」」」
すぐに3人を連れてメンシスに飛んだ。




