頂上対談 -09-09-
「ライナルト王、本日はお招きいただきありがとうございます」
パーティー会場の奥の小部屋。そこで二人の男が話しをしている。
「うむ。お前は若い割にはしっかりしているな。今日来た貴族たちもかなり優秀な者ばかりだ」
「失礼ですが、僕たちの国では上下関係は基本的にありません。いえ、もちろん組織間での上下関係はしっかりしていますが、種族や位での上下関係を作るなんて、そんな浅ましいことはありません」
「浅ましいだと……!?」
「私たちの国は絶対的な能力主義ですし、能力があるものは自然と敬われるものですよ。うちの領内に入った瞬間に一般市民も王族も貴族も、あなたたちが下等種族だと罵る様な人たちも同等の扱いをしますので覚悟してくださいね?」
ライナルトは渋そうな顔をした後、ハルトに尋ねる。
「そういえば、今日来た者たちの中にもさまざまな種族がいるようだが……」
「ハイエルフや半神、半魔族までいますよ。まあ詳細は本人のプライバシーに抵触するので、知りたければ本人に尋ねてください」
「……わかった。しかし、お前らは強いな、強すぎる。それを交渉材料にすればよい物を、なぜそうしない?」
「あのですね、力で国交するぐらいなら、わざわざ条約なんて結びませんよ?この際だから、はっきり言っておきますけど、今日ここにやってきた6人で十分世界と喧嘩ができます。交渉するぐらいなら潰した方が早いんですよ?」
「つまり、お前らの目的はこの大陸を支配することではないと?」
「まあ、この世界のオウサマたちなら領土拡大とか狙うんでしょうけど、僕たち、いや、僕自身は全く興味ないですね。あの街さえ保証してくれれば、特に戦争とか起こすつもりもありません」
「では、何が目的だ?」
「まあしいて言うなら、安っぽい言葉ですが『世界平和』?」
「……私が知る以上特に戦争も起きてなかったと思うが」
ライナルトは首をかしげ、髭をかく。
「……魔王」
「?!」
「そろそろ復活するそうですよ?」
「どうしてそんなことを知っている……」
「まあ啓示があったとでも言っておきましょうか……。僕たちの目的は、そこの『門』を開き、大陸の西側の魔王領にて、魔王を討つことです」
「確かに、お前たちの力なら魔族にも太刀打ちできるかもしれん。しかし、城に伝わる伝説によると、あれを開けるには女神たちの許可がいるとか」
「現状、手掛かりがあるのは、フロール領のフロス神殿。そして、メンシス領のフーロル神殿ですね。近いうちにフロス神殿には向かいますが、女神様はいらっしゃるのでしょうか」
「わからんな。ただ、いるとしたら、神殿奥の神域と呼ばれる場所か……」
「心に留めておきます。それではそろそろ帰ろうかと思います。さっきから仲間がまだかとうるさいので」
「そのような声は聞こえないが……念話でも使っているのか?」
「一応、領内の人間ならほとんど使えると思いますが。あ、そういえば、5日後に領地内でお祭りやるんですけど、来ませんか?」
「友人を誘うような感覚で誘われてもな、私はこれでも一国の王なのだが。まあ、一度お前たちの技術、魔法、戦力を見てみたくもある……宰相に相談しよう」
「近衛とかたくさん連れてこられても、宿泊施設は自力で探してもらうことになりますよ?最小の護衛でお願いします。後ですね、メンシスの教皇殿と、予定ではマーレの首相もお誘いする予定なので、ちょっとしたサミット状態に……」
「さみっ…と?」
「大国のトップを集めた会議のようなものの事ですね……まあ、歓迎の準備はできているのでどうぞお越しください」
そういうとハルトは扉を開け、ホールに戻った。
ライナルトも一つため息をつくと、ホールへ向かうことにした。




