友好式典 -09-07-
現在時刻は午後2時半。
式典の開始は3時からで、その後パーティーのような流れになっている。王侯貴族の皆様が考えることはいまいち理解できない。
「こんなゆっくりでいいんですか?一応国家間の正式なものだからもう少し早めに……」
「大丈夫だよカナデさん。僕もカナデさんもオトハもエンマも日本人でキクロはあれでもドイツ人だから時間には割と厳格だけど、彼らはそうでもなさそうだし」
「さらっとオレを抜かしたね」
前を歩くハルトをにらむヨウジさん。
「キクロさんがドイツ人ってことに驚きを隠せないんですが……」
何はともあれ出発。とりあえず全員正装(私はギルド用の制服、ヨウジさんは組合仕様。あとは自警団の制服)でぞろぞろと転移門に向かう。
「とりあえず武器はしまってね?どうせすぐ出せるし」
「ハルトが武器持ってるとことか見たことないんだが。武器持ってるのか?」
エンマがハルトに確認する。
「ちゃんとヨウジが作った武器持ってるよ」
ということは変な武器か。剣とかではなさそうだ。
「そうだ。皆さんに緊急脱出用に転移珠創っておきました。一人一個しかないですが」
「なるほど。昨日シオン君と研究室に籠っていたのはそれか」
「使い方は転移石と一緒です」
「さすがおねーちゃん」
「これは便利だな」
「じゃあ準備も終わったし行くよ?」
空間の波に飛び込み一瞬で景色が変わる感覚。こちらに来てから何度目だろう。
グロリアの街の中央に位置する転移門に到着すると、眼前では騎士団が部隊を展開していた。
「歓迎ですよねコレ」
「違ったら街ごと消すから手伝ってねエンマ」
ぶっそうなことを言っている妹を無視して、話の分かりそうな人を探す。
案の定、隊長格の男が一人前に出た。
「私はフロール騎士団副団長ラルフ・フロールです。僭越ながら城まで案内させていただきます」
この人は王族なのではないだろうか。そんな人が「僭越」とかそこまで偉ぶってるつもりはないんだけど……。
初めて歓迎?される形で王城の門を潜り、広間に通される。赤のじゅうたんがひかれ両脇には頭の固そうな大人たちが並んでいる。
「お主が自治領の代表か?」
「ええ。そういうことになっています」
「わざわざ呼び出してすまないな。ただ一応形だけ宣言を行うならわしなのだ」
私たちと貴族連中を無視して二人だけで勝手に話が進んでいく。
マジで何しに来たんだろう。
その後30分ほどかけて話をし、出番なく式典は終了した。気分的には校長先生のお話を聞かされる学生の気分だった。
「この後は食事を用意させている。準備ができるまで部屋を用意させているのでそちらで休んでくれ」
その一言で解放された私たちはまた案内をつけられぞろぞろと移動する。
私とオトハは男子人と別れ別室に入った。
「あなた方がスペーラの代表さん?こんなにかわいらしい人たちが来るとは!無能騎士は鬼だバケモノだといっていたのに」
部屋の中で待っていたメイドさん。テンションは高めである。
何だろうこの人レイさんと同じ感じがする。
「自己紹介が遅れました。わたくしメイド長を務めさせていただいておりますレオナ・ディシピーナと申します。本日はお二人の御着換えの手伝いをさせていただきます」
「自治領副代表のオトハ・ヒビキです」
「ギルド副代表のカナデ・ヒビキです」
「まあ!お二人は姉妹なの?でもエルフで…」
「まあいろいろ事情がありまして」
「そうなのですか。それにしてもお二人ともほんとにお美しい!ラルフ様が一目惚れされたというのも納得できます」
「え!?何その話!?」
オトハが食いつく。
「サイフラでの戦争で指揮を執る鬼のような強さの女隊長って聞きましたが」
「……あの戦いってお姉ちゃんだよね指揮執ったの」
「そうだっけ。気のせいじゃない?」
「ふふふ。それではドレスの方は……お持ちでない場合出席はご遠慮願いますが。装飾品などはお貸しできますが、ドレスに関してはお貸しすることができませんので」
「え!?」
一応、国王主催の正式なものなので、とレオナさん。用は息子の嫁探し?
「……どうする?レイさん呼ぶ?」
「いや……」
「オトハ様はどのようなものをお持ちに?」
いくつか操作してをして昨日の緑のドレスに着替えるオトハ。
「素晴らしいドレスですね!それはどちらのお店で?」
「うちの職人の力作です。でお姉ちゃんどうする?待ってる?」
「いや、オトハを一人で行かせるのは心配だしなぁ……仕方ない」
以前入手した黒のドレス(戦闘用)を選択する。華美な装飾はなく、どちらかと言うと大人っぽい雰囲気を作る。体のラインがやたらはっきり出る点や、やたら広く開いた背中、レイさんが大好きなスカートのスリットなどかなり苦手な設計だが、この際仕方ない。(シオンにさすがにブーツはどうかと……って言われたので)一応レイさんに用意してもらっていたパンプスを選び、一括装備する。
「うわぁ……お姉ちゃんなんでそんなの持ってるの」
「え?似合わない?」
「いやいや超似合ってるよ?綺麗すぎて男共に見せたくないよ、うん」
「大変よくお似合いですよ?」
ならいいんだけど。
「でもお姉ちゃん背中だいぶ開いてるけど……」
「そうね……下着とかどこいったんだろう」
「さあ?わかる?レオナさん」
「いえ……お二人が使った魔法?も初めて見ましたし」
「「あー……」」
急にオトハから念話が入った。
『え?こっちの人ってアイテムバックから装備とかできないの?』
『まあメニューいじってる人なんて見たことないしね』
『ちょっとやらかしちゃった?』
『大丈夫でしょ。全部魔法でごまかせるから』
『なるほど。便利だね魔法って』




