ドレスアップ -09-06-
「そういうわけだから明日の警備はよろしくね」
「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」
明日の式典によって主力が居なくなるので警備を固めるように伝える。ほんとは行きたくないんだけどなぁ。
「式典って何するんですか?」
アスカが質問する。
「さあ?私もよくわかってないんだ。そういえばアスカ、学園で弓の講師に選ばれてたよね?頑張ってね」
「はい!ありがとうございます」
「じゃあこれで解散になるんだけど、男子でじゃんけんで負けた一人もしくは全員この後私と来て」
「ああ、レイさんの呼び出しですか。結局行くんですね」
「私は着ないんだけどオトハがドレス作ってもらったから見に来てって」
「ドレスですか?カナデさんも着るんですか?」
「いや、私はギルドの代表だからギルド用の制服着ていく」
「決まりました。カイトがいきます」
「わかったじゃあついてきて。シオンも来る?」
「着せられそうになったら逃げますからね?」
カイトとシオンを連れて、組合の本部へと向かう。自警団の本部から2区画南の建物。どうやらカイトは初めて入るようで若干緊張していた。
「私もここ初めて入ります」
「そうなの?といっても私もあんまり来ないけど」
「シェリーさんと仲良いみたいですけどこちらに遊びに来たりとかは?」
「シェリーは基本的にギルドにいるからねー」
ああなるほど金庫の前から動かないんですね。と妙な納得をするシオン。
「で、オレは何で連れてこられたんでしょうか」
「レイさんが夏用の制服作ったからモデル拾って来いと」
「うわー……隊長も着るんですか?」
「いやわたしは「カナデちゃんせっかく来てくれたんだから来てこうよ」着るらしいよ。はぁ……」
「カナデさんお疲れ様でした。じゃあ私は先にか「水牢!」わわわ……」
宣告通り脱走を謀ったシオンを水の牢屋で捕縛する。全身ずぶ濡れだし着替えたほうがいいかもよ?
「さあシオンちゃんもカイト君も着替えてー」
渡されたのは以前より露出度高めの制服だった。
「レイさんまだ冬なんですけど……ノースリーブはちょっと」
「似合ってるよ?」
「うん。似合ってる似合ってる。ちょっとこっちに笑顔」
カメラ?を構えたシェリーが目の前に現れた。
「トレーディングカードでも作ろうかと思って」
「せめて言い訳をしてください!」
シオンが猛抗議する。
「【夏服】カナデ……レアリティはエクストラレアとかで100万枚に1枚ぐらいで封入する。うん、売れるね」
「勝手に売り出さないでくださーい。え?聞いてる?シェリー?」
「どんな感じのカードゲームになるんですか?」
カイトが食いついた。
「今組合の暇してる連中に作らせてるんだけど、実際の人物の能力値に比例させて使える魔法カードとか武器カードとかを決めて戦う?みたいな。細かいことは組合の下っ端連中が模索中」
「それだとカナデさんとか最強じゃないですか」
「だから代表組は強すぎるからレアリティ上げまくって当たらないようにするんでしょうが!」
でしょうが、じゃないよホントに。
「地味にやってみたくはありますけどね」
「もう結構写真は集めたから「いつの間に!?」あとは売り出すだけ。お祭りまでには完成させるよ」
「頑張ってください」
「いや頑張らないでください!」
「カイトくんも能力値反映させると強すぎるんだよねぇ……7番隊なんなのホントに」
「できればあきらめてください。今日も速やかに退散してください」
シオンも目立つの嫌い派だったね。そういえば。
「いや、まだオトハのドレス姿撮ってないから。シークレットレアにするんだ」
そういいながら私たちと一緒にレイさんの私室に入る。
落ち着いたグリーンのドレスを着た音羽はいつもより大人っぽく見える。
もはや忘れていた事実だが、一応エルフ(厳密にはハイエルフ)の妹は、いつもの快活なイメージ(※姉たちの前だけ)とは別の神秘的な雰囲気を纏っていた。
というか異種族的な美しさってほとんど反則でしょ……。
「どう?お姉ちゃん」
「うん、似合ってるよ。シェリー、その写真姉さんに一枚あげといて」
「了解ー」
「カナデちゃんホントに着ないの?イメージはできてるから2時間で作るよ?」
「結構です」
スキルを使わずに2時間とか無理に近いような。そんなところに能力を発揮せずとも……。
いや、着せられるのが嫌なだけなんだけど。
「とりあえず用件は終わったのでかえりまs」
腕を掴まれた。がっしりと。
「他の制服もちょっと試着してくれない?」
「いいです!ホントに!っていうか組合も魔研もほとんど制服着てないんで夏服とかいらないと思いますよ?」
なんとか振りほどき、出口方向に走る。神速起動した気がするけど気のせいだな。
露骨に落ち込んで見せるレイさんを置き去りにシオンを連れて組合の本部を出る。
「初めてレイさんに強気に出ましたね」
「いつまでも着せ替え人形はちょっと」
「そういえばカイトさん置き去りにしましたけど」
「……まあいいでしょう」
あの子なら何とかするよ、たぶん。
「カナデさんのドレス姿も見たかったんですけどね」
「部屋でこないだ拾ったドレス着てあげるから」
「部屋で着る分にはいいんですか?」
「なんかあの……異常なレベルの興味を持った眼がニガテで」
「まあ気持ちはわからないことも……この後どうしますか?昼食の後とか」
「軽く魔研に顔出して、いくつか転移珠創るかな。一緒に来る?」
「それでは、お供します。何パターンか試してみた合成魔法も記録しておきたいですし」
「へー、あとでちょっと見せて」
「構いませんよ。大規模な魔法はカナデさんか私しか使えませんから」
「神々の黄昏とか?」
「あれは四重起動の予定だったのにカナデさんが勝手に五重にしたからです」
「そうだっけ?」
というか四重でも十分超破壊ぐらい起きたと思うんだけど。
「まったく……私も早く三重起動を会得して六重の完全な黄昏を撃ちたいですね」
「もう1系統足したら対魔法性能持ちの城壁消し去る程度じゃすまないと思うんだけど……」




