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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第1章 始まりの村と疾き獣
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仮想世界 -01-03-

『チュートリアルが終了しました。これより、あなたを【始まりの村】の転移門まで転移させます』


私がステータス画面を開いて頭を抱えているというのに、いつの間にか転移が始まった。

一度視界が真っ黒に塗りつぶされ、真っ白に埋め尽くされ、次の瞬間には、緑に囲まれた如何にもスタート地点の村という感じの景色が広がっていた。


「うわー……思ったよりもリアル」


体をぺたぺたと触ってみたが、今までやってきたVRのゲームよりもずっと現実らしい感じがする。視覚・聴覚・嗅覚・触覚すべてがこの世界に溶け込んでいる。


というか、あまり不審な行動をしていると目立つな……。種族が種族なだけにばれたらえらい目にあいそうだ……。はやくオトハ達と合流しよう。


メニューを開き、この村のマップを表示させる。酒場はここからすぐ近くらしい……というかあの人がやたら集まってるところではないかだろうか?


もしそうなら……うん。近づきたくない。私の経験から言うと、この場合近づいたら巻き込まれる。


水色の髪に蒼の瞳の姉(美女)と金の髪に翠の瞳の妹(美少女)は普段の数倍目立っている。何とか接触方法がないか探す。メニューを適当に探しているとメール機能のようなものが見つかったので、とりあえずウル(姉の方)宛てにメールを打つ。するとすぐさま返信が返ってきた。


『酒場の個室 3号室 PASS:kanade』


めんどくさいのはわかるけどもうちょっと気の利いた文面にならないものか……。

表示枠から顔を上げると二人は酒場の中に消えて行った。それに伴って人混みも解散していく。

酒場の方への注目が少なくなったのを見計らって酒場の中に入る。


いくつかの木製のテーブルとイス、5つほどのカウンター席のある狭い室内。しかし、店の奥にはやたらとしっかりした扉があり、魔法陣のようなものが刻まれている。


とりあえずその扉に触れると、部屋番号とパスワードを入力する表示が出た。


先ほどのメールのパスを入力し、決定を押すと扉が開き、中には姉と妹の姿が見えた。

このぼろい宿には不釣り合いすぎる設備だ……。


入口の酒場とは全く違う高そうなテーブルやソファ。そこに座るいつもとカラーリングの違う姉妹。


「遅かったわね。何してたの?」


「チュートリアルのあとボーっとしてて」


「確かにすごいもんねこの世界の実感」


そして、2人は私をじっと見つめると、


「……全然変わらないじゃん」


「髪の色ぐらい変えなさいよ……」


「あんまりカラフルにしたら目立つでしょ?」


「みんなカラフルだから黒の方が逆に目立つよ」


まあそういわれてみれば、若干浮いてるような気もしないことはない。


「で、種族は?ヒューマンで最強を目指すっていうのも面白いと思うけど」


「種族はなんかワルキューレっていう半神の種族」


「半神!?」


「……聞いたことないわね。天使系種族や半魔族、半龍族それと精霊系種族が上位種族とされてるけど、半神はどこに分別されるのか……」


「やっぱりレアなんだ……」


「レアすぎるから明かさないほうがいいよ、お姉ちゃん」


「変なギルドに囲われたりしたら、そこをいちいち滅ぼすのもめんどくさいから自重してね?」


滅ぼすって、そんな大げさな。


「まあ名前も名前なんだけど、能力がすごすぎて」


ステータスを可視化して二人の前に滑らせる。


「確かに……」


「ゲームバランス狂わせるね、この種族」


「まあ、私は二人ほど目立つつもりはないから、ひっそりとそろプレイをするよ」


「3日でトッププレイヤーになって出てきなさい」


ウル(静音)が割と真剣な顔で言う。


「いや……無理だよ?」


「三姉妹でトッププレイヤーになればそれはもう有名になれるのに?」


「そんなことしたら現実に響きそうなんだけど」


「まあ、とにかくしばらく一人で頑張って。私も音羽も御覧の通り人を集めまくるから」


「じゃあ、お姉ちゃん私たち先に出るから」


「がんばってねー」


2人が部屋を出る。たぶん外ではさっきみたいな現象が起きてるはずなので、少し待ってから外に出ることにしよう。


と、そこで視界の右上にメールのアイコンが出ているのを見つける。誰だろう?


『ウルさんからフレンド申請が来ています Yes/No』


『スクルドさんからフレンド申請が来ています Yes/No』


とりあえずどっちもYesを選んでおく。フレンド欄に追加された2人のプロフィールを見る。


どうやら、フレンドには大まかなステータス(種族・LV・HP・MP)がわかってしまうらしい。種族を隠したい私にとってフレンド登録は良く相手を選ぶ必要がありそうだ。


ある程度時間もたったので、私は冒険に出かけることにした。


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