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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第8章 フロール王国とセカイの新参者
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魔法珠を作ろう -08-05-

騎士団惨殺事件(他の冒険者の間ではこう呼ばれていた)から一夜明け、この世界に閉じ込められてから8日。ここでの生活にも若干複雑な気分になるが、慣れてきた。

とりあえず自警団の本部に行こうとしていたところ、所長(キクロ)から呼び出しを受けて、そのまま研究所に行くことになった。


「はやかったじゃないか。実は、昨日受け取った魔法珠をいろいろ調べた結果わかったことがいくつかあってね」


なるほど。自慢するために私は呼ばれたのか。


「クロエとヴィクター、ゼオン・シオン姉妹も呼んでいる。全員揃うまでもう少し待ってくれ」


全員集合だったらしい。キクロに着いて第1研究室に入る。中では既にヴィクターさんが待機していた。というか灰になっていた。たぶん昨日会議のあと朝まで付き合わされたんだろう…ご愁傷様。


10分ほどで全員揃い、キクロが生き生きした表情で話し始める。


「まず、この魔法珠についてだけど、魔力を流すとこれに記録していた魔法を起動するらしい。カナデ君が鹵獲したこれには、たぶん生活魔法の一種だと思われる《拡声》の魔法が記録されている」


「質問です。その魔法珠自体に魔法を上書きすることはできないんですか?」


「いい質問だシオン君。結論から言うと、できなかった。昨日の夜ヴィクターにひたすら魔法を掛けさせていたが、相変わらず声を大きくすることしかできない」


それでヴィクターさんは灰に…。こちらの世界で魔力を使い切ると凄まじい虚脱感に襲われるとか襲われないとか…。


「いろいろな文献を調べた結果、この魔法珠に魔法を上書きすることはできないらしい」


「そうなんですか…作り方さえわかれば、結界の強化などに使えたのに」


「いや、作り方はわかるのだが…素材が集まらない」


「ちなみにその素材とは?」


一応聞いておくことにした。


「精霊系のモンスターから獲れる精霊の核、さらに悪霊の核、魔素の結晶の3つだ。精霊の核は精霊の湖で暴れてたやつらから買い占めたから2000個ほどストックがあるが、残り2つが…」


悪霊の核というと、ゴーストとかファントムとか倒したときに大量に落としていくあれか。魔素の結晶はまだ発見されてないのか…今度情報売りに行こう。


「キクロさん。私、両方持ってますよ」


「よくやった!では早速」


「…なぜ私に精霊の核2000個を送りつけるのですか?」


「それは君にしかできないからだよ」


「と言いますと?」


「文献によると高位のドワーフが、ほぼ奇跡ぐらいの確率で発現する錬金術のスキルでしか作れない、と」


「それでは1つ当たり1KGもらいます」


「それぐらいなら問題ない」


「魔素の結晶については今製法を道具部門に1MGで売りつけたので、そっちから買ってください。悪霊の核は1つ1KGで私から提供します」


「…少々高すぎやしないか?悪霊の核も他で仕入れるという手もあるわけだし」


「私を含め12人が持っているでしょう。ただし、私とシオンで1000、残りは合わせても100いかないと思われますが」


ホントは私個人で1000ぐらい持ってるけど。


「わかった。その条件を渋々飲もう」


渋々って言ったよこの人。さっそくある人物に連絡を取る。


「誰に連絡を取っている?」


「アイテム取引について、契約と諸々を取ってもらうために」


「毎度!カナデの周りには儲け話がたくさん転がってくるね」


ドアを開けて一人の女性が飛び込んでくる。


「シェリーを呼びました。とりあえずこの契約を認可して」


「御了解」


金融的な取引が行われるとき、シェリーの署名は絶対の効果を持つ(自称)。


「じゃあとりあえず魔素の結晶の精製から」


手元にある大量の骨とかを全て加工する。これだけでほとんどMPがなくなったが魔素の結晶を700個ほど確保できた。


「とりあえず500ぐらいでいいですか?」


「十分だ」


「じゃあ1M+50KGよろしくお願いします」


「待て。なんか増えてるぞ」


「魔素の結晶の代金です。シェリーの見積もりでは1つ100G程度で売られるかと」


渋々お金を送信するキクロ。いいじゃないか、どうせ自費じゃないんだし(税金もとってないのに支給される謎の研究予算から出ています)。


ポーションを飲みほし、魔法珠の精製に取り掛かる。一度に30近くのMPを消費する…これ思ったより時間かかるな…。


20個ほどでMPが尽きたのでポーションを飲みながら、とりあえずその20個をキクロに手渡す。


「これがカラの状態の魔法珠か…それではシオン君に働いてもらおう」


「私ですか!?」


その間にも私は黙々と魔法珠を作り続ける。ポーションの飲み過ぎは体に悪いです。


「昨日の攻撃では、魔術師がいなかったが、次はあるかもしれない。有事の時により強力な結界…と言うより防衛手段が欲しい」


「ワープゲートですか?」


「そうだ。あの魔法を敵の魔法を自動で反射するように設定して…」


なんか、向こうは向こうで盛り上がってるけど…なんだろう。話全く聞いてなかった。

100個目を作り終えた時LVアップした。戦闘せずにステータスが上がるってなんか気持ち悪いなぁ…。


シオンが魔法陣を展開し、その中央にキクロさんが今作ったばかりの透明の魔法珠を置く。魔法珠はその魔法陣を吸収していった。そうやって使うのか…合成魔法を記録しとけば起動時間の短縮になりそうだ。



500個を作り終えるころには12時を過ぎていた。またお昼を食べ損ねた。

他のメンバーはいつの間にか解散したようだったが、キクロは何かしらやっているし、シオンは私のとなりで灰になっていた。戦闘中はMP吸収で常に回復しているのでMP尽きる感覚を味わったのは初めてだったらしい。


とりあえず500個の魔放珠を手渡し、シオンを担いで研究所を出る。

ポーションの飲み過ぎで胃が荒れてそうだ…。


100個ほど多めに作っておいた魔法珠に何を記録するか迷いながらギルド方面へと向かった。



―――――――――――――――――――――――――

LV 43→46

《幻覚耐性Ⅱ》→《幻覚無効》

《魅惑耐性Ⅱ》→《魅惑無効》

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