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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第8章 フロール王国とセカイの新参者
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王の苦悩② -08-04-

フロール王 ライナルト・フロールは悩んでいた。


件の土地へ差し向けた部隊は予想通り全滅し、全員が神の加護によって国に戻った。

騎士団の受けたダメージは予想よりも遥かに大きく、利き腕や足を欠損したまま帰ってきたものが多かった。魔法を使えば何とかできないこともないが、完全に復帰するにはしばらく時間がかかるだろう。


魔法で治癒させられるといっても、癒しの魔法を使えるものなどほんの一握りだけだ。今回戦場に向かった282の兵のうち270人が先に述べたような重傷を負った。

1日に治療できるは10人ほどだろう。手足を失ってから期間が空きすぎると、リハビリに大きな時間がかかる。どうしたものか…。


さて、フォルクハルト・アジェールが言うに、相手の部隊はたった12人だったという。

我が国の精鋭はその12人に5分ほどで全滅させられた。しかも指揮を執っていたのは女だという。

にわかに信じがたい話だが、フォルクハルト自身が撮影した映像記録の魔法珠で確認したところ、そこに移っていたのは女の指揮官だった。


長い黒髪をたなびかせ、不思議な形の片刃の剣を使う。


我が国の兵士の攻撃を余裕の表情で受け止め、一瞬で戦闘不能にしていく。

口元に笑みを浮かべながら、一騎当千の勢いで兵を切り捨てる。

その姿は踊りでも踊っているかのように優雅であった。


実際、我が妃にかなわないにしても(一応こう言っておかないと後が厄介だ)かなりの美貌。ラルフも気に入った?のか?一応敵なんだがなぁ…いらぬ悩みを増やしてくれるな。


予定通り負けたので、ここで条約でも結ぼうかと思っていたが、無能貴族(あのバカ)共はまだ戦争がしたいらしい。


こんなことで有能な兵を消費してはきりがないので、やりたいなら私兵を出せ、と言っておいた。正式な騎士や神殿で祝福を受けたものでない限り、戦神の加護は得られない。


つまり私兵は死ぬ。


こうでも言っておけばもう収まるかと思いきや、金を出すから兵を貸せとぬかす輩が現れた。


フレデリック・アジェール。フォルクハルトの父親で、アジェール家の現当主であるこの男は、何としてでも功績を上げたいらしい。


仕方がないので3番隊の騎士と数名の魔術師を貸してやる。

フォルクハルトは軽くトラウマになったようで同行しないらしい。


魔術師が数人入ったぐらいでひっくり返る戦況ではないが、勝てる気でいるらしい。

アジェール家は代々無能だったが現当主がここまで無能だったとは。一応騎士団の隊長を務めるフォルクハルトの方が遥かに賢いだろう…。


次の戦いが終わったら、城に代表者を呼んで適当に話をつけようか。


はやく隠居したいなぁ…。


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