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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第8章 フロール王国とセカイの新参者
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第一次サイフラ戦役 -08-02-

書きあがったので投稿します。


それでで皆様よいお年を。

『どんな感じ?』


ハルトからの念話に答える。


「数は300いかないぐらいですね。一人だけ騎乗してます。うちの隊員は…あ、到着しました」


『魔法で一掃とかできる?』


「平原が焼野原になりますがそれでいいなら」


『わかった。今回は近接だけで頑張って』


とだけ言って、念話は途絶えた。


「というわけで全員魔法禁止」


「え!?それはちょっと…」


メイン武器が杖のナナミとイーリスが抗議する。


「じゃあ二人は今回は回復中心にやって。下級の魔法なら撃ってもいいけど。あと向こうの剣と鎧はミスリルとか結構高級品かも知れないから、鹵獲したらインゴットに加工してあげるから頑張って集めてね。というか組合から集めるように圧力かかってるから」


わかりました、とうなずく隊員たち


「カナデさん。騎乗した人がこっちに来ました。たぶん投降しろと言われると思いますけど」


馬に乗り、白銀の鎧を着た金髪の青年が2人の部下を率いてやってきた。


「私はあのアジェール男爵家のフォルクハルト・アジェール。騎士団2番隊隊長だ」


「私はカナデ。カナデ・ヒビキ。自警団7番隊隊長です。本日はどういった御用で?」


「我らが王国の領地を侵犯しておいて、どういった御用で、だと?すぐさま投降を命じる」


「この街に住む50万の住民を全員とらえれると御思いですか?それに…たった300人ほどで私たちを越えられるとでも?」


「お前たちこそたった12人でどうするというのだ」


「1人でも多いぐらいなんですけどね。まあ存分に手加減してお相手させていただきます」


「ふん。その余裕もどこまで持つかな」


そういうと後ろに下がっていった。


「如何にもって感じの貴族でしたね」


アスカがカナデとシオンの方を見ながら言うと、


「シオン…これってどのタイミングで攻撃していいの?もう行っていい?」


「落ち着いてくださいカナデさん。あのボケの首を落とすのは私です」


何やら不穏な会話が聞こえてきた。


「カナデさんとシオンさん舐めるように体見られてたからね」


となりですでに弓を構えて照準を合わせていたマナミの言葉になるほど、と答えるアスカ。その隣ではリゼットとタツヤが尋常じゃない殺意を出していた。


フォルクハルトが陣に戻り、剣を上げると同時に騎士たちが一斉に動く。


「じゃあ多く倒した上位3人には私が今朝焼いたクッキーをあげよう。がんばってね」


カナデさんの手作りクッキー……と隊員全員が心の中で復唱し、一斉に武器を手に走り出した。


「みんな気を付けてー…ってシオンも!?」


後からゆっくり行こうかと思っていたカナデだったが、この勢いだとで出番なく終わりそうなので、参加しに行くことにした。


「じゃあ2人とも。たぶん大丈夫だと思うけど回復だけしてあげてね?」


「「わかりました」」


人間の限界を超える速度で一気に敵との距離を詰める。


2振りの刀を抜き、大きく円を描くようにふるう。


斬りかかる騎士の剣を右で受け、左の剣で相手の利き手を落とす。血しぶきをあげて苦しむ騎士に止めを刺す寸前、赤いエフェクトを出して消えていった。これが強制転移か…。


右から、左から襲い掛かる剣を両手の刀で抑え、弾く。首を狙った一撃をしゃがむことで回避する。空を切った剣を思いっきり蹴りあげ、バランスを崩したところを股から首へと裂く。



その女は踊るように戦場を駆け。両手の刀は朱色の弧を描く。


その隣では銀の髪をなびかせ、光を反射しない黒の刃が紅を散らせる。


その部下たちはと言うと、各々一騎当千の強さで、遊んでいるかのよう笑いながら戦う。…なぜか仲間同士で戦っているようにも見える。


フォルクハルト・アジェールは周りを見渡した。部下たちの姿はない。

彼が最後に見たのは自分の体を貫く矢だった。


「やった!大将討ち取った!」


はしゃぐアスカとそれを悔しげに見つめる他のメンバー。


戦場となっていた平原には敵の姿はなく、血と鎧の破片が散らばっていた。


「これだけ血を流したらいくらなんでも死ぬんじゃ……」


「…やり過ぎた感はありますが、大丈夫だと信じましょう」


「そうね。ナナミ。この辺り一面軽く焼いといてくれない?このまま放置したらヤバそうだし」


「はい。わかりました」


「さて、いったん帰りましょうか。汚れ払いの魔法で血は落とせるけど。何となくシャワー浴びたいし」


『そろそろ終わった?』


スペーラの門に向かって歩き始めた7番隊の元にハルトから念話が響く。


「はい。ちょうど今終わりました。鹵獲物はインゴットに加工してから組合に売りに行きます」


『よろしく。あと、16時ぐらいから報告もかねて会議室集合で。今回はシオンさんも同伴してね』


「了解」「わかりました」


平原を焼き終わったナナミが合流し、カナデに話しかける。


「そういえば上位3人は結局誰に?」


「あ、そうだったね。鹵獲した剣の数で比べようか…ちなみに私は68」


「13です」「私も13」


手を挙げたのはモエとミサキ。


「オレは22だ!ツバサとカイトは?」


「31だ」「28だった」


「私は大将合わせて5…弓じゃきついわ」


アスカの言葉に頷くマナミは4。

悔しがるタツヤの後ろにいるリゼットは33と好成績でますます悔しがるタツヤ。

イーリスとナナミは互いに3ずつ。


「で、シオンは?」


「59です」


「じゃあシオンとリゼットとツバサにあげよう。試しに作ってみただけだから味は保証しないけど」


報告が届き、王宮を震撼させることになったこの部隊は、楽しげに自分たちの街に戻って行った。



12/31 訂正

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