男たちの午後 -07-09-
一応ツバサ目線の話です。
ツバサ・カイト・タツヤの3人は、昼食を食べ損ねたため早めの夕食(と言ってもまだ15時にもなってない)とここに来るまでに知り合った友人たち会うため酒場を目指していた。
そもそも昼食を食べ逃したのはタツヤがテンションあがりすぎて女子に引かれていたのを止めるためだ。2人の中では今日はタツヤに奢らせようという事になっている。
酒場に入ると既に2人が席についており、呑み始めていた。
「ヨウヘイはどうした?」
ツバサが自警団の制服を着た青年たちに尋ねる。
「さっき組合から集合かかって出て行ったぞ」
「というかリュウヤもシュンもまだ15時だぞ?酒なんて飲んで、お前らも緊急招集かかったらどうするんだ」
「うるせーよツバサ!お前たちと違ってオレたちは訓練で疲れてんだ!うちの馬鹿隊長1対10で組手とふざけたこと言うし…まあ勝てないんだけど」
シュンと呼ばれた方が文句を言う。
「で、お前らの隊はどうなんだ?今日初戦闘だったんだろ?ゴブリン一人何体倒した?うちは50体だった」
「うちは100だ」
「え?他の隊ってそんな感じなの?オレたちはアンデッドの巣窟に放り出されて端から端まで肝試しだったけど」
カイトが答える。
「はぁ!?何お前らそんな楽しそうなことしてんだよ!」
「楽しくねーよ!オレなんかボスにやられかけたんだからな!?カナデさんがいなかったらどうなってたか…」
タツヤが喚く。それをとなりのツバサが鬱陶しそうに見ている。
「…というかお前。隊長の事名前で呼んで怒られないの?うちの隊長は普通にキレるけど」
まあキレる意味も分からんけどな、というシュン。
「いや、カナデさんが名前で呼んでくれって。鼻血吹きかけたぜ…」
「なんてうらやま…羨ましい」
何で言い直したんだお前はとシュンに突っ込む。
「だいたいお前ら3人ずりーよ!7番隊は12人いて9人が美少女だろ!?オレたちなんか12人いて12人男だぞ!?」
シュンが叫ぶ。五月蝿いので黙らせる。
「ざまーみろ。俺なんか今日カナデさんのスカートの中を…」
「まさか…見たのか…」
今まで見たこともないような真剣な顔で達也を問い詰める2人。
「ああ…黒だった」
「君ら後でシズネさんにチクっとくからね?呪印でももらうといいよ」
「まったくカイトは…その時ちょうどいなかったからって僻むなよ」
カイトがおもむろにどこかに連絡を取り始めたが、そっとしておく。
「だいたいお前らのとこの隊長って強いの?」
「強いぞ?なあツバサ」
「ああ。あの人なら単騎で王国落とせる気がする」
「そんなに?」
大げさに驚愕しているシュンを無視して、リュウヤが話しだす。
「というかお前らどこまで行ったんだよ」
「どこって…メンシスまで」
「王国通れねぇのに?」
「そりゃカナデさんの魔法で5秒だけど?」
自分の事でもないのにタツヤが自慢げに答える。
「お前らの隊長って何者だよ…」
「そういえばお前らのとこ副隊長と隊長どっちが強いの?」
「ああ、確か魔法だけならシオンさんの方が上だけど、近接戦も合わせたらカナデさんの方が上って言ってた気がする」
「へぇー…ってツバサ。お前二人より年上だろ?なんでさん付け?」
「そりゃお前。カナデさんもシオンさんも可愛くて敬意を払うに値するからだ」
タツヤの思想は若干歪んでるが、一国の長を前にしてあれだけ毅然とした態度をとり、自分たちに有利な交渉をし、あまつさえあの強さを持つ人に敬意を払わないわけがない。
あの対談が終わった直後はオレでさえも気おされて喋ることができなかった。というかあの隊長に普通についていけるシオンさんもすごいと思う。
「おいカイト。さっきから何黙ってんだ?」
リュウヤがカイトに話しかけた時、コールが鳴る。自警団全体への指令だった。
用件は指名手配…タツヤを。
副団長の署名入りのメール?が届いた。連名でエンマ、オトハ、エイダイ、ヨウ、アンリの名前もある。
マジでチクったのかカイト…。うちの隊長がいかに重要人物かよくわかったよ…。
「エイダイ隊長。リュウヤです。タツヤ捕獲したので今から連れて行きます」
容赦なく捕縛する。捕縛の際はキクロ所長から配られた怪しい手錠を使う。何やら抵抗すると電流が流れるらしい。
連れて行こうとするのをいったん止めて、お勘定をさせる。といっても大したものは食べてないのだが…。
タツヤに金を払わせ、送り出す。裏切り者!とか叫んでた気がするが気にしない。
とりあえず店を変えてカイトと食事をすることにした。
翌朝。戻っているかタツヤの部屋を確認しに行ったところ、焼け焦げて帯電して光輝いているタツヤが氷漬けになって部屋の前に転がっていた。
一体何があったんだ…。
12/29 訂正
12/31 訂正




