忙しい一日【組合編】 -07-04-
自警団本部から3区画ほど南に行ったところに商業・金融組合の本部がある。
商業用の区画と職人さんたちの店が集まる区画の真ん中にある。
時間は意外と余裕があったが、玄関をくぐったところで待ち構えていたレイさんに捕獲され、また着替えさせられた。
ただ、今回の物は意外と普通だった。曰く、他の部署のをこだわってたら、自分のところに回す余裕がなくなったそうだ。長袖の上着とスラックスという完全にスーツだったが、上着にはまたきれいな刺繍が入っている。
ベースに緑。こっちの部署は緑か…と思っていたら、なぜか金の刺繍がされた上着を着たシェリーが入ってきた。
「あ、これ?なんかウチの制服だけ金にしてくれた」
どうやら、金融部門だけらしい。
この後、ツナギとかも着せられそうになったが、全力でお断りした。
「というか。カナデはどこ部門の部長なのよ?」
シェリーに聞かれた。
「錬金術…」
「なにそれ…金作れるの!?やってみて!」
と、手に黄銅貨を握らせる。そんなのできるわけが…できた。
綺麗な金貨になっていた。ただ、模様が違うので認められないだろうが。
「とりあえずその辺で売ってみたら?それとも戻す?」
「いや…ホントにできるとは」
「私もできるとは思わなかった…ポーションしか作ってなかったし」
「もったいない!銅のインゴット買い取って、ミスリルのインゴットにして売れば儲けられるのに!」
ははは…お金に困ったらやるよ。とだけ答えておく。というか金貨創るので500ぐらいMP使ったからたぶんインゴットとか無理。ミスリルなんてもっと無理
総勢5000人以上からなる(多さにびっくりした)組合では多すぎて全員集まると無理なので、代表者のみの集合だ。そのあと各部門の組員を集めて、部長が会議の結果を伝えるらしい…といってもうちの部門私一人だけど。
武器Ⅰ種部門ロランド
武器Ⅱ種部門ヨウジ
防具Ⅰ種部門ロイド
防具Ⅱ種部門レイ
装飾部門ニコル
道具部門ケント
建築・造船部門タクミ
調理部門ロブ
金融部門シェリー
錬金術部門カナデ
軽く自己紹介だけをして、各自情報交換みたいな時間になった。
でも特に交換する情報もない。シェリーがいつの間にか消えていたので、私も帰ろうかなぁと思っていたところに声がかかった。
「あの…錬金術師なんですよね?」
「え…あ、はいそうですね」
「グリーンポーションより良いポーション知りませんか!?」
先ほどケントと名乗っていた道具部門部長の男が話しかけてきた。何故か半泣きである。
ちょっと待ってください、と言うととりあえずグリーンポーション+をだして手渡す。
「+!?」
大げさな男だ…。
「えっと…研究データ買取という事で10KGでどうでしょう…」
「100KGでどうでしょう」
とりあえず値段を釣り上げてみる。
「せめて30KGで」
「部門でお金出してあって買ったらいいじゃないですか…100KGで」
もう少し粘ってみよう…。面白そうだから。
「それなら…でも50KGで」
「だめですね500KGで」
「上がった!?」
「あーでも、もしかしたら作れない可能性もあるのでここは250KGにしましょう」
これでも提示価格の25倍だ。別に売れなくても困らないので気にしない。
「100KG出しますから!これ以上は無理です!」
「まいどありー」
差し出された水晶貨を受け取り、レシピを教える。
「ギルの実、ですか…」
「そう。やってみて」
すぐに料理部門のおっちゃん(確かロブさん)の所に行き、ギルの実を分けてもらい実験する…失敗したようだ。すごい落ち込んでる。
「そりゃおめぇ、料理用のアイテムを道具に加工できる分けねえだろ。せめて調理スキルが必須だ」
「え!?そんなの聞いてませんよ!?」
「だって私も知らなかったし」
そろそろ魔研の顔合わせの時間なので抜けようかな…。落ち込んでいるケントをロブさんが慰めている。なんか悪いことした気分になってきた…。
というか私の作るポーション全部食品使ってる…っていったらますます落ちこんだ。
罪悪感と臨時収入を得て組合の本部を出る。次は魔研だ。
01/13 訂正




