表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第6章 繋がるセカイと囚われの冒険者
54/307

常夜の丘 -06-07-

この国では、原因はわからないが、日が昇らない。常に空には月が輝いている。

街は暗いのかと思っていたが、至る所にある街灯によって明るく照らされていた。どうやらこの街灯は、魔法によって光っているらしく、スペーラの町にも同じようなものがあったなぁと思いながら街を一回りする。


途中、お昼ご飯として、ミートパイのようなものを買った。日の昇らないこの国では、農作物が貴重で、小麦は基本的に薄く延ばして何かを包む形でつかわれるらしい。

一食分にしてはやたらとボリュームがあったそれを食べ終え、時間を見ると、この街に入ってから、1時間ほど経過していた。


「そろそろ転移門つかえるだろうか…」


「聴きに行ってみましょう」


ということで、西門を目指す。街の南側は港になっているらしく、今も船が入ってきていた。聞くと、あれは南の方の国、トニトルからの船で主に農作物を輸入しているらしい。


西門につくと、近くにいた兵士にエルバートさんはいるか尋ねる。話しかけられた兵だけでなく、何故かほかの兵士たちもそわそわしていた。どうしたんだろう…。


「すまんな。まだ、許可が下りなくて。役所の連中は手続きがなんだと面倒だ」


「どこの国も一緒ですね」


これからどうしようか…と思っていると、シオンがマップを開いて思案顔をしていた。


「どうかした?」


「いえ、このノクト墓地っていうところはなんなんですか?ただの墓地なのに世界地図に載ってるなんて」


エルバートさんに質問をする。


「ああ、そこは高位のアンデッドが多数出ることで有名だ。命が惜しけりゃいかないほうがいいぞ。オレたちだって〈戦士の加護〉で戦いで死なないからって行きたくはないところだ」


やはりこの世界の兵士は全員〈戦神の加護〉を得ているのか…。プリマでいろいろ消し飛ばしたときに、何人か殺っちゃったんじゃないかと結構不安だっただけど、これで一安心だ。


「カナデさん。せっかくだから行ってみましょう」


「そうね。何か面白い物があるかもしれないし」


墓地に向かおうと歩き出すと、エルバートさんをはじめ何人かの騎士に止められた。


「やめとけ。女子供だけで行くようなとこじゃねぇぞ」


といわれても、二人とも彼らの倍は強いので、特に問題はないのだが。


「気にしないでください」


「いや気にするだろう!どうしても行くというならせめて護衛に何人かつけるが、あんまり気分のいいところじゃないぞ」


「私たちより弱い護衛をつけてもらっても足手まといになるので結構です」


シオンがカナデの言わなかったことをはっきりと言う。


「なんだと…お前らさっきから聞いていれば生意気な!」


騎士のうち一人がカナデに掴みかかろうとするが、その前に、シオンの大鎌によって腕を落とされる。血が吹き出し、悲鳴を上げる騎士。


「カナデさんに触れないで下さい」


大鎌についた血を払い、その騎士の眼前に刃を突きつける。


カナデは一つため息を着くと、シオンを落ち着かせ、魔法で腕をくっつけてやる。


「じゃあ私たちは墓地を観光してきますね」


シオンの手を引いて先に進む。

ノクト墓地は森と街の中間地点にあり、かなり不気味な雰囲気を醸し出していた。

スケルトンとファントムがうようよいる。


「あんまり広くないし、真ん中まで行って一掃しようか」


「そうですね」


シオンが一歩踏み出そうとした瞬間、脚を掴まれ転倒した。


「シオン!?」


見るとそこら中から人型の手が湧き出している。

カナデは刃を抜き、シオンの足首を掴んでいた腐肉を断つ。


「何これ…ゾンビ?」


出ていた手がゆっくりと土の中から起き上がり、大量の死体(ゾンビ)が二人を取り囲んだ。


「なにこのホラー映画みたいな状況」


「とりあえず焼きましょう」


黄泉送りの炎クリメイジョン・フレイムで片っ端から焼殺していく。

肉の焼ける酷い臭いがしたが、気にしてはいられない。


10分ほどかけて、全滅させると、辺りには灰と骨片が散らばっていた。

とりあえず価値のありそうな素材は全て拾っておく。


その時。灰の中からゆっくりと何かが立ち上がった。


「まだいたのか…」


「スケルトンですかね…」


立ち上がったスケルトンは…ドレスを着ていた。あの業火の中でよく燃えなかったな…と思う。

HPは30%ほど減っている。しかも魔法を使ってくるようで、地面に大量の魔法陣が描かれ、そこからスケルトンが召喚された。


「厄介ですね」


「なんか召喚してきたし、こっちもあの人たちを召喚しようか」


呼び出され天界の師団はスケルトンの集合体を圧倒し、どんどん駆逐していった。

その間にも、骸骨女王はスケルトンを増やしていくが、ついに何人かの戦士が剣戟を浴びせる。

効果切れと共に、散る師団。


骸骨女王のHPは既に10%を切っていた。追い込みをけるように、光系の呪文を連発するシオンと、すでに残り少ないスケルトンをひたすら斬り伏せていくカナデ。すでに勝負は決着していた。

シオンの放った光とともに【重ね・白夜】で止めを刺す。


灰になっていく骸骨女王のいた場所に宝箱が落ちる。例の如く2個。


「ボスだったみたいだね。ファントムより弱かった気がするけど」


「開けてみましょう」


シオンが宝箱の一つに手を伸ばし、開く…なんと宝箱はミミックだった!

カナデがすぐさま抜刀し叩き割る。


「びっくりしました…」


「大丈夫?…もうひとつの方も一応開けとく?」


「私攻撃の準備してるので、どうぞ一思いに開けてください」


シオンはびっくりしたのが恥ずかしかったのか、少し顔を赤くしている。今ならアンさんの気持ちもわかる気がするが、ぐっと我慢する。


「じゃあ開けるね」


ミミックだった!ということはなく、中に入っていたのは…


「ドレス?」


黒と赤のドレス・その名もブラッディメアリ…世界的にこれはありなのか…。もう1着、白黒のドレス・モノクロコード。どちらもCON以外のステータスがかなり上がるアイテムだったが、


「こんなの着て戦えって?無理でしょ」


「一応もらっておいたらどうですか?能力は高いようですし」


「うーん…着ないと思うけどなぁ…この白黒の方はシオンにあげよう。似合いそうだし」


「ありがとうございます…でも、着ませんよ?」


さらに箱の奥から何かを取り出すカナデ。


「何かあったんですか?」


「水晶貨が入ってた…綺麗ね」


1つの水晶を削って作ったと思われ、継ぎ目もなく、この暗い中でも何故か輝いて見える。


「3枚あるけど、山分けね」


カナデは財布から白金貨を取り出し、水晶貨一枚と共にシオンに手渡す。白金貨なんて入れた覚えはないのだが、この財布、勝手に両替までしてくれるらしい。一体どういう仕組みだ。


「そろそろ帰らないとね」


「転移門どうしますかね」


「まあ転移(トランジション)使えば帰れるし」


そういうと、荒れた街道の方向へ歩き出した。


カナデ

種族ワルキューレ**

LV40

HP545 (371)

MP613 (365)

STR269 (146)

CON222 (121)

INT193 (146)

AGI209 (139)

DEX178 (136)

スキルポイント0

所持金230214 G



シオン

種族グリゴリ*

LV41

HP418 (348)

MP728 (449)

STR173 (101)

CON121 (61)

INT243 (182)

AGI118 (112)

DEX99 (92)

スキルポイント6

所持金215841 G


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ