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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第5章 墜天使と不死の森
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同じ立場から -05-04-

転移石の効果で王都へ飛び、整った石畳の上を歩く。

さっきの子からの連絡はまだない。特に礼などを期待しているわけでもないが、他のプレイヤーと仲良くなっておくのも悪くない。


暇つぶしに、スキルショップを覗き、《混乱耐性Ⅰ》を購入。

次は道具やでも覗こうかと思っていたところでフレンドコールが鳴った。相手はシオンと表示されている


『先ほどはありがとうございました。人目に付く場所は苦手なので、すみませんが酒場でいいですか』


「うん。問題ないけど」


『火鼠の宿の地下、個室100番。パスはSIONです』


さいわい火鼠の宿は昨日泊まったところなので場所がわかる。地下に酒場があるとは知らなかったが…。だいたい酒場なんてテンションくるってる場所に好き好んでいきたいとは思わないのだが…。

しかし、結構なお金がかかるのにわざわざ個室とは…。中に入ると銀髪の女の子が座っていた。


「わざわざすいません。外だと人が集まるので」


「アイドルみたいだね」


そんな人は身内に山ほどいるので、それぐらいなら気にしないのだけど。


「いえいえ、私種族が特殊なので…」


「そうなんだ…。私も同じだからわかるよ」


「一時期は姉とパーティ組んでんですが、ギルドに誘われて。今は一人でやってます」


「まあ私の場合は姉妹が二人ともトッププレイヤーだから…目立たないように努力したんだけど、ダメだったよ」


「私も似たような感じです。あっ…すいません。ちゃんとした自己紹介がまだでした。私はシオン、第一陣からで、種族はグリゴリです」


自分のステータス画面を見せながらシオンが言う。LV 35か…INT高いなぁ。


「そういえば、なんか聞いたことあるなぁ…一陣からのグリゴリの子がいるって」


アンさんだったと思うけど。


「あの男共がしつこくて一回はやめようと思ったんですが、なんか負けた気がするので」


「そうなんだ。私ナンパしてきたイフリート瞬殺してからあんまり男には声かけられないかなぁ。まあ可愛くないのはわかってんだけど」


瞬殺ですか…とシオンがつぶやく。


「そんなことないです。ベルさんはとてもきれいですよ?」


「ありがと。自己紹介するけど、私はベル。第二陣からのワルキューレ」


シオンに習ってステータス画面を見せる。


「第二陣ですか…。ちなみになぜソロで?」


「なんか私がいるとパーティー全員のステータス上がるみたいで、公表はよせと姉が」


「わたしも同じなので分かります」


「やっぱり仲良くなれそうね」


「ええ、そうですね。ところで《魔導術》ってどうやって取ったんですか?」


「たぶん全攻撃系系統魔法LV 50と《魔法術》だと思う」


「なるほど。やってみます」


「えっと。さっきも見たんだけど…大鎌なんて武器あったんだ」


「ドゥーロス山で龍に喧嘩売ったらくれました」


「なるほど…私の刀も同じ経緯だけど」


「そうなんですか」


スキルポイントを割り振り、無事に《魔導術》を手に入れたらしく、ありがとうございます、というシオン。


「このあとってどうするの?よければ一緒に」


「え…あの、自分で言うのもなんですけど、私結構有名なんで…」


「大丈夫。そういうの慣れてるから」


「そうなんですか…じゃあお願いします」


「…私はシオンの方が嫌がると思ったんだけど」


「いえ、ステータス見て。あと、第二陣でここまで強いってことは別に私の種族の効果目当てではないでしょうし」


「まあそうだけど…。じゃあまたあの森に行く?」


「是非。広域魔法で一掃できないほどに増えるので一人じゃきつかったんです」


「じゃあ行こうか」


「すいません。ちょっとスキル買いたいんでスキルショップ行ってもいいですか?」


「いいよ。もちろん」


宿を出るとさっきまで見かけなかったプレイヤーたちが増えていた。どうやら、いくつかのギルドが連合して一気に森を抜けてきたらしい。それを見たシオンは顔をゆがめていた。


「さっきまでいなかったのに…」


「《隠密》使ってみたら?」


「いえ、ここにたどり着くってことは割と高レベルだと思われるので、あまり意味はないかと…」


「まあ、何かあったら私も追い払うの手伝うから」


「…よろしくお願いします」


シオンを伴ってスキルショップへ入る。


「《武闘術》って使えますか?」


「私のは《舞闘術》に進化したけど、それなりに使えると思うよ?私だったら刀で間に合わない奴に蹴りとか入れるから、そこに補助が付くからダメージも増えるし」


「なるほど…で、どうやったら取れるんでしょう?5000Gで情報を買います」


「んー…《蹴り》《打撃》《回避》だったかな?3000Gでいいよ」


「さすがにただにはならないですか。《魔導術》の分も合わせて6000G払います」


「じゃあ遠慮なくもらっとく」


結局私の勧めた3つと《幻覚耐性Ⅰ》を購入していた。


「石化耐性なんてどこで買ったんですか?」


「なんかあやしいNPCから買った」


「えー…?騙されてないですかそれ」


MMOの醍醐味ともいえるパーティープレイ(2人だけだが)をお互いに楽しみながら、歩るいていたところ、聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。ナンパ師・グレンだ。


「そこの君たち。オレとパーティー組まない?オレ、あの【紅巾】の一員なんだぜ?」


「なるほど。こういう分をわきまえない奴が絡んでくるのか」


「はい。そうです」


「おい。無視とはいい度胸だな!」


「まあ、コイツぐらいだったら瞬殺できるんだけど、それよりもっと面白くなる方法があるんだけど」


「それは少し興味がありますね」


フレンドリストからカルラさんを選び、コールする。


『どうした?お前の姉も妹も見てないぞ』


「いえ、ちょっと【紅巾】を名乗る男にナンパされてて困ってるんです」


『ほぅ…わかった、王都だな。すぐ行く』


「おい!黒髪の方!よく見たら、オレを汚い方法で殺した奴じゃないか」


汚い方法とは失礼な。


「何やったんですか?」


「『レディーファーストだ』とかキメ顔で言ってたから、その顔にアクアブレイド叩き込んだ」


「ふふふ…もうあの時とは違うぞ。ブレービス洞窟をも単独突破できるようになったのだ」


「あそこの洞窟って設定上かなり問題が合えると思うんですけど。魔法撃ったらゴブリン全滅しますし」


「あー私も思った」


「だからさっきからオレを無視…」


ぎゃーぎゃーうるさいバカの背後に、謎の威圧感を放つ男が立つ。顔は少し厳つい感じもするが、十分に美形だといえる。


「…グレン。お前、何をやっている」


「は!?団長!?いえコイツが生意気だったもので」


「昨日振りです。カルラさん」


「おう。ちょっと待ってろコイツ〆るから」


「ななな…なんで!?一体どういうご関係で!?」


コイツビビりすぎだろう。どんな目に合わされたんだろう…。半分姉のせいだし、少し哀れんでおこう。横からシオンが小声で質問する。


「どういう繋がりなんですか?」


「うちの姉の…知り合い?友人?」


「どういう関係だ、と言われてもな……んー……妹だ。じゃあ、俺はコイツを処分してくる。ウルによろしく言っておいてくれ。ああ、シオンもまた」


ずるずると引き摺られていく、哀れな男を見送る。


「シオンもカルラさんと知り合い?」


「姉がウンディーネなもので。イフリートのカルラさんとは何かしら縁が…」


「え?シオンのお姉さんってもしかしてゼオンさん?」


「!!ええ、そうです」


「そうなんだ。私の姉さんがウンディーネのギルドのトップやってるから」


「ウルさんの妹さんですか。となると…」


「ん?どうしたの?」


「いえ。なんでもないです。そろそろいきましょう。」


私たちは悲鳴が聞こえた気がする方向と違う方の門を目指して歩き出した。


ベル

種族ワルキューレ**

LV33

HP439 (351)

MP458 (325)

STR235 (123)

CON185 (99)

INT154 (124)

AGI175 (117)

DEX137 (113)



シオン

種族グリゴリ*

LV35

HP330 (300)

MP594 (400)

STR137 (70)

CON68 (30)

INT188 (151)

AGI84 (80)

DEX65 (60)




12/28 訂正

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