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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第4章 森と王都と蟻の騎士団
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たぶん最強パーティー -04-06-

今、私のとなりに張り付いているのはトッププレイヤーと名高いスクルド。これは皆様知ってのとおり実妹です。反対側には実姉ウルとゼオンさん。

私の後ろでは何故か大剣の戦闘法について語り合っているエイダンともう一人。さらにその後ろにアンさん(何故か暴走気味)とそれをなだめるリリーさん。

周囲のプレイヤーから「なんだあのパーティー…王都でも陥としに行くのか!?」という声が聞こえる。どうしてこうなったのかは少し前に遡る。


昨日の街道事件について話したところ「お姉ちゃんたちだけでそんな楽しそうなことしてずるい!」とお叱りを受けたので、今日はスクルドもつれて森でやってみることにした。姉さんのギルドを主体に私とスクルドが加わる。余談だが、アンさんは何故か泣いて喜んだという(私がログインした時には既にリリーさんになだめられていた)。


この目立つメンバーでプリマでスクルドの合流を待っていると、どこからか現れたエイダンが面白そうだからぜひ合流したいといってきたのを、姉の独断で許可した。その直後に合流したスクルドと軽く揉めたのは言うまでもないが、割愛する。


酒場にて一旦集まり、軽く説明やアイテムの補充などをしている間に私はひたすらグリーンポーションを+つくり、姉さんに渡す。そろそろ出ようかというときに、エイダンが「トモダチも行きたいって言ってるんだけど、いい?」と言い出し、姉といくつか話をしたのち同行の許可が出た。


その後、酒場を出たエイダンがいきなり10mほど蹴り飛ばされ、そこに立っていたのは赤髪の男だった。


「いきなり何すんだ!カルラ!」


「さっきまでヨウと一緒にいてな?エイダンが女6人のパーティーで浮かれてるって教えてやったら一発殴って来いと」


「蹴っただろお前。あの野郎…よし、カルラ。あいつに次会ったらこんがり焼いといて」


「わかった。で、お前がベルか」


「ええ、まあ」


「ウルとよく似て美人だな」


姉さんが顔を赤くしていた気がするけど見なかったことにする。するとスクルドが「私は?」という振りをした。


「お前はまだガキ「うっさい、エイダン!」ごめんごめん冗談だって!」


カルラの背はエイダンよりも高く、体格も良い。顔もかなりいい方だと私は思う。姉曰く、近接だけなら圧倒的にスクルドより強いとのことで。


「で、狂戦士の笛の効果ってどれほどのもんなの?」


「数匹呼び寄せられるか、大群か、超大群か」


「ほどほどって言葉知らないのかね」


「とりあえずやってみますね」


笛を取り出したリリーさんが思いっきり笛を吹く。人間?(よく考えたらヒューマンはいない)には聞こえない音のようだが、半龍のエイダンは聞こえたらしく耳をふさいでいた。


「また、そんなに思いっ切り吹いたら…」


木の上から、

土の中から、

茂みの中から、

森の奥から、


ぞろぞろとモンスターが集合してくる。


「ほら言わんこっちゃない」


「蜘蛛が80ぐらいいるかな?あとは蟻が100ちょいと熊が6頭…もはやバグじゃんこの数」


「各自倒して行って。普通に囲まれたから倒しきるまで死ぬなー」


「姉さんたちが言ってた合体魔法っての試してみようかな」


「俺も見てみたい」


「同じく」


「じゃあ《二重起動》ファイヤーケージ!セイクリッドレイン!「浄化の焔(プリファ・フレイム)」!!」


白い炎が虫たちの体を焼き、食らいつくす。


「これって二つの魔法陣を重ねないと合成されないのか、今まで損してたなぁ」


「スクルド、いいから戦って。全然余裕ないから」


「ごめん」


「私前に出るから魔法撃って」


刀を構えて走りながら叫ぶ。


「アレやるの?わかった。カルラ!火の上級魔法でも超級魔法でもいいからベルの前に打ち込んで」


「ん?よくわからんが了解した。ただ少し時間かかるぞ」


カルラさんが魔力をためている間、近接戦を続ける。[赤火][黒鋼]で強化し、[旋風]で周囲の敵全てを斬り刻んでゆく。エイダンは今、熊3匹を一人で相手するというギリギリの戦いをしているので、できれば助けてあげたい。ゼオンさんと姉さんは氷魔法で前衛組の補助を、リリーさんはひたすら回復魔法を続けている。


「行くぞ!超級火魔法・炎龍の爪!」


まるで龍の爪痕のような5本の閃撃が走り、火を噴きあげる。20mほど先まで直線状を焼き尽くしているように見えるけど…。


「[重ね・火焔]!からの《神速》!」


火を纏った刃でモンスターを斬りつけながら、間を素早く移動してゆく。エイダンの背後から噛みつこうとしていたブラウンベアーの胴体を焼き斬り、重ねの効果が切れた。


「すごい!斬撃に属性を与えてるの?」


「そうみたい。とりあえずスクルド、前衛代わって」


「りょーかい。私の華麗な槍裁き見せてあげる!」


槍と雷を使い、モンスターを裁いていく妹を見送って、魔法を用意する。刀スキルしか使っていないのでMPの残りは特に問題がない。ということで大技を


「光系統上級魔法・黄金の十字架(ゴールデン・クロス)!!」


十字状に走った光の道が、魔を砕く光の刃を噴きだす。

強いんだけど…効果範囲がなぁ…。


「そろそろ片付いたか?」


「8人も組むと経験値の入りが少ないなぁ」


「少し回復したらボス行ってみる?」


「ボス戦でこれ使ったらどうなるんでしょう…」


「やってみる価値はある」


「おい、エイダン。生きてるか?」


「おう、何とか。ベルちゃん悪いけどグリーンポーション+分けてくんね?」


「わかりました」


「料金はなんか素材でいい?適当に送っとくわ」


「いいから早く回復して。あとこれ試供品のヴァイオレットポーション」


「なにこの禍々しい液体…20本もくれるの?」


「大丈夫だよエイダン。ベルちゃんの作るポーションは何故か美味しいから」


「これ何味?ブドウとか?」


「レモン?」


「この色でか!?カルラ!お前MP減ってんだろ?これを飲めよ!」


「うぐ…わかった。………」


「どうだ?」


「うまいぞ?」


「マジかよ」


「しかもこの回復量はなんだ…55%!?」


「まあベルちゃんだから」


12/15 一部修正

12/28 訂正

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