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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
終章 勇者たちの終楽曲
302/307

友への信仰心 -Fin-02-

※次回:3時間後

※本日2本目です。


「あ、カナデさん。お疲れ様です」


「シオン。それにみんなも待たせちゃってごめんね」


「いえ、大丈夫ですよ」


「そう?とりあえず中央神殿の方にいこっか。ステラも忙しいだろうから」


「まあ、あの人なら平気で仕事サボって出てきそうな気もしますけど」


アスカの言葉に全員が目線を逸らす。


「えっと、この街もなんかずいぶん発展したように思えるんだけど」


「結構スペーラの方に職人派遣したりして技術を得てたみたいです」


「さすがだねステラ」


「それを習って他の国も技術者を派遣していたようですけど、そろそろ時間切れですから」


「そうなってくるとメンシスに比べてかなり出遅れることになりますね」


「私たちが帰った後もひと騒動在りそうですね」


「まあ、そっちの方は頑張ってもらうしかないね」


「さて、それでは」


来るたびに警備の人間が変わっているのは、毎回対応を間違えてクビにされているからなのか、単純にタイミングが悪いからなのか。


「ステラに会える?」


「えっと、あの、お名前は?」


「ああ、どうしよっかな――アルモが最後の挨拶に来たって伝えて」


「………え?あの、ちょっと確認を取ってきます!」


「エルバートさんに相談するといいよ」


慌てて奥へとと走り去る後姿を見送る。


「門前払いよりはマシですね」


「まあ、アポなしだから仕方ないよ」


「お土産とか用意してなかったけど大丈夫かな」


「いつも持ってきてましたっけ?」


数分その場で待っているとエルバートを連れた先ほどの若い兵士が戻ってくる。


「お待たせしました」


「あ、エルバートさん。わざわざ来てくれたんですか」


「ええ、どうぞ中へ。ステラは既に部屋で待っています」


「どういうこと?」


「一応、神託が使えるので、女神の動向はわかるとか」


「……神託ってどういうシステムなんだろう」


「プライバシーが……」


「はは、まあとにかく待ってるみたいだしいこっか」


エルバートに続いて何度目かのステラの執務室へと入る。

既にヴェラが茶の準備を進めており、かなり狭いがテーブルが置かれ、一応隊員分の席が用意されていた。


「こんにちは、ステラ。ご機嫌いかが?」


「今日は良い。仕事がなければなお良い」


「そっか、それは重畳。それで早速お話なんだけど」


「ちょっとまて、ヴェラ、ヘルガ。茶の方を急いでくれ」


「わかりました」


てきぱきと茶と茶菓子が全員に行きわたり、ステラが構わないと合図をする。

カナデは茶に口を付けながら、


「要件2つあるんだけど、わかってるよね?」


「神殿の事と女神様方が戻るという話だろう?」


「そうそう、まずは後の方から、明後日の日没頃には私たちは元の世界へと戻ることになると思う。だから混乱が起きるかもしれないっていう事だけは伝えておこうと思って」


「そうか。残念だ……樹の女神―――シルバ様はこちらに残ってくださるのだろう?」


「うん。彼女はこの世界の出身だからね。あとは、龍たちと後任の管理者に任せるから、これがその後任のリストね」


カナデから書類を受け取りそれを見る。


「わかった。こちらとしてもフォローできることはできるだけしていきたいと思う」


「ごめん、よろしくね。それと、それに引き続いてもう一つの方の話なんだけど」


「ああ、既にシェリーとゼオンから話はきいている。ちょっと待ってくれ」


そういうと、ヴェラに机の上の書類を取るように頼むと、


「巡礼スタンプラリーだったか?まあ、正直どうかとは思うが、女神様方が良いというなら」


「スタンプの台紙はとりあえずスペーラ神殿、フーロル神殿、フロス神殿の3か所のみで販売しようと思ってる。特殊な紙で簡単には破れない、押されたスタンプが消えない、全部集めるとランダムで女神様からの言葉が浮かび上がる、っていう仕様みたい」


「ランダムと言っても」


「なんか1人15種類ぐらい考えさせられたからコンプリートは難しいんじゃないかな」


「その製造はスペーラが一手に引き受けるとして、他の神殿にメリットはあるのだろうか?」


「転移門が使えるならまだしも、最初はみんなかなり長い旅になると思うから道中の街で宿泊したり、買い物したりするでしょう?直接的な利益がなくてもかなりお金がまわると思うよ。それに、一度訪れれば転移門が使えるようになる人も多くなるだろうし、都市間の交流が増えるかもね」


「なるほど、一理あるな。では、各神殿への司祭の派遣なんかはこちらに任せてくれ。送られてきた書類にもあったが、そちらの管理人と一度顔合わせをしてた方がよさそうだしスペーラに派遣する準備もしないといけないが、さすがに西大陸まで行ってくる者がいるかどうか……」


「ああ、大丈夫。そっちは魔人の人からよさそうな人を見繕ってもらってるから。あとスペーラとヤマトの方は心配しなくていいよ」


「ヤマトは誰を祀っているのだ?総合的にざっくりと全員みたいな扱いだった気がするのだが」


「向こうの皇様が是非って。私用の神殿を建ててくれるみたい」


「……それはまた豪胆だな」


「上手く事が進めばヤマト煌神殿とアカントス神殿かアルブル神殿にもスタンプシートを置いてもらう予定だからそっちも頑張ってもらわないと」


「あまり外に出ないヤマトの住民と魔人を強引にでも移動させ、見聞を深めさせるためか」


「そうだね。まあヤマトの技術水準は他より少し高いからそういう必要もない気がするけど」


「難しいだろうが、私は支持したいと思う」


「ありがと、ステラ。じゃあ、最後になったけど、今までお世話になりました」


「ありがとうございます」


「いや、待て。頭を下げないでくれ。兎に角、私もカナデやシオンたちと出会えてよかったと思うし、女神様と友達で実際話を交わしたなんて教皇としてはこれ以上ない名誉だろう?」


「ふふ、そうだったね」


「ああ、そうだとも」


カナデはたちあがり、それに続いて全員が部屋を去る準備を済ませる。


「じゃあ、また会えたら」


「ああ、ありがとう」


そういうとカナデ達は転移でその場から消失した。


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