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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
終章 勇者たちの終楽曲
301/307

取り戻す栄華 -Fin-01-

※次回:3時間後


魔王討伐の翌日。

タクミを筆頭として街の改修が進められ、元デヴァ―スの街は復興を遂げていた。

街の中央には巨大な城が築かれ、街自体も元の大きさの1.5倍に拡張。

さらに、各領から住民たちを移住させ、また、東大陸からも移住者を募るなどして復興を進めていった


「ありがとう、ハルト君」


「いえ、おきになさらず」


「しかし、ほとんど終わってたとはいえここまでの規模に仕上がるとはね」


「ゼリ領、クピディタス領、イラム領は完全に破棄したようですがそれでいいんですか?」


「正直住めるような環境ではないからね」


「そうですか。まあ、神殿が復帰したのでしばらくすればいくらかよくなるとは思います。それでは盛大にパレードでもしましょうか」


「本当にいいのかい?」


「いいんですよ。僕らの祝勝会も兼ねてますし」


「しかし、あまり時間はないのでは?」


「大丈夫です。まだ丸1日以上ありますから」


「……ならばお願いしよう」


「その代わりと言ってはなんですけど」


「なんだい?」


「魔国を早く安定させてくださいね」


「それはもちろん」


「それじゃあ、これをお渡ししておきます」


ハルトが装飾の入った大きな布を取りだしゼリに手渡す。


「これは……旗か」


「ええ、以前のもののデザインを少し変えて。それで国名はどうするんですか」


「魔国シークエスト。王になれなかった友の名前からとった」


「……なるほど」


「何が起きたのかはわからないが、私は狂わないようにしないと。そのためにも、支えてくれる者たちが必要だ」


「ゼリ、ここにいたか」


ゼリとハルトが話していた城のテラスにマクロファーが顔を出す。


「そろそろ時間だぞ」


「ああ、行くよ。しかし、本当によかったのかい?シルバを神殿に置いてきて」


「ゼメーラもついてくれている。それよりも、お前たちが封じた者たちはどうしている?」


「ああ、彼らなら今一人ずつ封印解いて、状況説明して、希望者はここに……来た」


眼下にある大広場にカナデが将たちを引き連れて現れる。


「カナデさん、こっち」


ハルトが手を大きく振りながら声をかける。

それに頷いたカナデは転移でハルトの背後へと移動し、


「一応全員連れてきましたよ」


「よく応じたね」


「既にこっちで働いてもらってるのを合わせても50人ぐらいか。ずいぶん減ったね」


「早々に封印技術を確立できればよかったんだけど、それ以前はあんまり応じてくれる人も少なくて」


「何人かはスペーラに残ること決めちゃってるし」


「それだけあそこが住みよい街だという事だ。お前も王ならばアレを越えて見せろ」


「それは難しいよ?かなり」


「ハルトさん」


スズネの声に振り返ると、スズネとドレスアップされたグリティアの姿があった。


「うん、綺麗じゃないか」


「ほんとに言ってるの?」


頬を赤く染めながらグリティアが問いかける。

それに大きくうなずいたゼリはグリティアを抱え上げると、


「下に竜車を用意しています」


スズネの声に頷いてそのままテラスから飛び降りた。


「無茶なことするなぁ……」


「これが終わればとりあえず魔国も落ち着きますかね?」


「まだまだだろうね」


「そうですか」


「まあ、元々ここに住んでなかった人の方が多いだろうし、仕事見つかれば自然と生活はついてくるかもしれないけど」


「ゼリがいつの間にか龍国から技術支援を取り付けていてな。それが来ればいくらか産業も増えるだろう」


「なるほど、さすがだね」


竜車の周りには数人の将が警備についており、これから市中を周るらしい。


「ハルトさん、私はこれからメンシスに」


「わかった。ステラ教皇によろしくね」


「はい」


一足先にメンシスに行っているシオンを追って転移するカナデ。

他のメンバーもそれぞれ各国へ挨拶へ行っている。


「僕らはゼリさんが戻ってきたら王国だっけ?」


「はい、ライナルト王が直接話をしたいと」


「まったく、こういうことは確かに僕の分野だけど、最後の最後まで休めそうにないね」


「結局最後まで戦闘では役に立たなかったんですからこれぐらいはやってください」


「厳しいね」


すでに竜車の姿は遠く、見えなくなっているが、民が道へと出てゼリに期待の声を上げているのはここからでもわかる。


「この国は大丈夫そうだ」


「……君の目から見て一番危い国はどこだ?」


「火の国フランマ。あそこの王はあんまり賢くないし、王国の後ろ盾があるからって若干調子に乗ってるから気を付けてね」


「了解した。逆にほかの国は?」


「メンシス、ヤマト、マーレはトップがまだ若くてしっかりしてるから問題ないだろう。王国は今の王の苦労を見てるから大丈夫だと思う。龍国は閉鎖的な国だから大きく干渉いない限りは敵になるようなことはないと思うよ。獣国と帝国は革命が起きたところだから安定しているとは言い難いけど、落ち着いたら問題はないと思う」


「大変参考になった」


「これでも人を見る目はあるんだよ?」


「我々も君に認めてもらえるような国を作っていきたいと思う」


「期待してるよ。マクロファー宰相」

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