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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第28章 戦士たちへの鎮魂歌
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不死の呪い -28-04-



「エンマ、行くわよ」


「ああ、任せろ」


シズネとエンマが飛び出していく。

シズネの手には短剣、周囲には無数の魔法陣が浮かび、一つ弾けるごとに地面を大きく抉り取るような威力の水流が発射されていく。

一方のエンマは、青い炎が噴き出す双大剣を手に、まっすぐ魔王へと距離を詰め×字に斬撃を加える。


高威力の攻撃を連続して喰らってよろめく魔王に後ろに回り込んだシズネの一閃が首を通る。


「獲った!?」


「まだです!」


一瞬落ちたように見えた首はいつの間にか元通りの位置に復元されている。

シズネに注意を促しながら、懐に入り込んだルイが燃え盛る剣で魔王の身体を迷うことなく両断する。


「敵体力残り35%!」


スズネのアナウンスと共に、体勢を整えたシズネが魔王の両手両足へと無数の斬撃を走らせる。


「オトハ!」


「待ってたよ!」


光の吹きだす双戟を手にこちらへと走るオトハ。


「来い!」


「わかった!」


しゃがんだエンマの身体を踏み台にして、大きく飛び上がると、その双刃を肩に食い込ませ、まっすぐ地面へと振り下ろした。


「残り5%!」


「まだ残ってるの!?」


オトハが振り向きながら驚く声を上げた瞬間に、銃声が3発響き、よろめいていた魔王の頭を吹き飛ばした。


「これで0です」


「さすがスズネ……」


「何か問題がおありですか?」


「いや、特に……じゃあ、撤収「まだです!」え?」


地面に崩れ落ちた魔王の身体に向かって刀を構えたシオンが走り出す。

そして、その転がる亡骸に向けて斬撃を放った。


「ちょ!?」


「いえ、シオンさんが正しいです!総員攻撃再開!敵体力残り63%!」


「なんでそんなに回復してるの!?」


「いいから連撃を浴びせて一気に削りきるよ!」


そう叫びながらハルト自身も魔法陣を展開すると風の刃を魔王に向けて放った。

ゆっくりと立ち上がろうとしていたところに魔法が殺到しよろめく。

しかし、そこへ容赦なくシオンの斬り上げが命中し、仰け反ったところへさらに近接攻撃が続く。


「完全に削りきれてなかったのでしょうか?」


「そんなはずはないと思うけど……念のため手は打っておこうか」


「それでは私も攻撃に参加します」


6発分の虹色に輝く弾丸を装填し、狙いをつける。


「全員離れてください!」


6度銃声が響き、6度魔王の身体から血飛沫が上がる。


「魔弾発動!」


そして、魔法陣が開き、魔王の身体を焼き尽くすように光の柱が撃ちあがった。


「体力0%確認、しかし、攻撃は続けてください!」


力なく崩れ落ちる魔王の身体へとオトハ、ルイの攻撃が決まる。

関節はあり得ない方向に曲がっているし、部位欠損もかなりみられるが、


「……回復していきますね」


「倒すの無理じゃない?」


「欠片も残さないように消し去るしかないのでしょうか」


「ごめん、口を挟むけど。それ一度私がやったんだよね……」


ハルト達の背後に控えていたゼリが小さく手を挙げながら申告する。


「……どうやって倒すんだよ」


「とりあえず、封印してみましょう」


「封印符全部使えば行けるかもね。おーい、そんな感じで!」


「了解です!」


シオンが起き上がろうとしている魔王に向かって符を放ち、封印を施そうとするも、

符がその体に触れた瞬間に黒い炎を上げて燃え上がる。


「封印無効?」


「そんなの初めて聞いたんだけど!?」


「ずいぶん好き放題やってくれたようだが、次はこちらだ」


「うわ、ヤバそう。全員防御!」


ハルトの号令で一気に後ろへ下がり、全員で渾身の防御魔法を発動させる。


「敵魔法まで15秒!敵体力78%!」


「ちっ、かなり回復されてるね」


「攻撃来ます!」


黒と金が入り混じったような魔力の塊が視界を塗りつぶす。

前方から防御が砕ける音が連続して響いていく。


「残り防御16枚です!」


「直撃はまずいよね?」

「とりあず10枚足すわね」

「追加します!」


10秒ほど耐えると視界が開ける。

背後のかなりの範囲が消滅しているところを見ると直撃していれば即死だっただろう。


「敵体力100%、戦闘続行です」


「うわー、どうなってんのこれ」


「神剣を使うか?」


「待ってくれ、エンマ。長期戦になると思うから今欠けられるのは正直痛い」


「わかった。しかし、攻撃をさせるとまずい」


「こっちが死なないためには絶えず殺し続ける必要があるみたいだね」


「私も手伝いましょう」


ゼリも何やら複雑な魔法陣を発動させると魔王に向けて放った。


「おおお……」


「すごいですね」


命中したのは右腕だったが、そこにあったはずの腕は完全に消滅していた。


「この調子で削れば!」


「いえ、ダメそうです」


「えええ!?」


スズネの指さす先を見ると黒い靄が集まり、右腕を形作っていった。


「嘘だろ……」


「さて、どうしますかね」


「この調子だときついよ!さすがに回復しないと、技も撃てないし!」


「もう少し、もう少し頑張ってくれ!」


「何を根拠に?」


「さてさて、ラスボスは不死身と来たか。RPGの定番っちゃ定番だが、さすがに厄介だな」


「どうでもいいから行くぞエイダイ」


背後から突如現れた2、4、5、6、7、8番隊の面々。

一斉に攻撃の態勢に入るとかわるがわる攻撃を浴びせ続けた。


「的が小さいから面倒だな」


「なんか魔神に変身とかしてくれた方が楽だな」


「遅いよ、エイダイ」


「うるさいな。全員かき集めるの大変だったんだぞ?あ、ゼオンは研究棟の連中連れていくから少し遅れるってよ」


「わかった。さて、ここからは根気がいるよ」


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