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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第28章 戦士たちへの鎮魂歌
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断つ刃 -28-02-


「効果範囲強化を使えばこのぐらいならなんとかなりそうです」


最前に降り立った、シオンが刀を構える。


「すみません、皆さん。カナデさんの介抱をしていたら遅れました。ですが――」


刀身が白く輝き、横一線に刃を振るう。

そして、


「行けますね」


しっかりと裂けた結界を見てシオンは確信した。


「亜空斬、参ります」


先ほどよりも強い光を放つ刃が、幾度も結界を引き裂き、正面に大孔を開けた。


「それではどうぞ」


「……お、おう。撃て!」


一瞬茫然とするも、エイダイの号令で徐々に修復されつつある大孔を抜けて魔法が城へと降り注ぐ。

極大の爆発を2,30回繰り返したのちに派手な音と共に城が崩落を始め、結界も消えていく。


「お疲れ様でした」


「いいタイミングだったよ、シオンさん」


「そうですか?」


「おう、それじゃあ瓦礫の中から魔王探すぞお前ら」


「「「「「「「「「「「「「「「おー」」」」」」」」」」」」」」」


適当な返事が返ってきたところでエイダイが率先して中へ入っていく。


「で、カケル。どんな感じだ?」


「ええ、ゼリさんの言ってた通り、中には生命反応はありませんね……え?まったく0?」


「は?それはどういう事だ?」


エイダイがカケルの発言に反応し、聞き返す。


「ええっと、一応、魔王ならボスマーカーぐらい出てもいいと思うんですけど……」


「おい、ハルト!魔王いないみたいだぞ!」


「なんだって!?」


「しかし、他の街は直前まで我々が完全に抑えてましたし……」


「いや、転移かなんか使ってギリギリになって逃げたのかもしれない……」


「おーい、こっちの方に転移陣っぽいのあるぞ」


西の方の瓦礫の下を掘っていたヨウが声を上げる。


「それで逃げたのか?」


「「解析します」」


シオンとスズネが前に出ると、その魔法陣を読み取る。


「行先は……ゼリ領です。ゼリさんの屋敷につながってると思われます」


「不味いね」


「はい、あまり良い状態ではないですね」


「悪いけど全員西に向かって走ってもらうね」


「マジか」「またか」「またマラソン?」

「誰か転移できるやついねーのか?」「この転移陣使おうぜ」

「走るの飽きた」「移動ばっかりだな」


「いいから速く。ゼリ領が占領されるとまずい。というか今はゼリさんも派手に動けないから」


「おねーちゃん、行こう!」


「ええ!行くわよ!」


オトハとシズネが先陣を切り駆けだす。

それに1と3番隊が続く。


「オレらはここに残るわ」


「悪いねエイダイ。任せた。スズネ、行こう」


「私も同行します」


ハルトとスズネ、それにシオンが続く。


「さてと、オレたちは一度戻るか。エイダイ、他の班に警戒呼び掛けてくれ。ゼリの転移門直しちまったからどこへ行かれるかわからない」


「そうだな。ヨウは急いでデヴァ―スまで戻ってくれ。ああ、タローは半分連れてリビードからアルガンディ方面に」


「任せろ、行くぞタロー」


「仕方ないな」


いつになく真面目に職務を全うするヨウがタロウたちを連れて東へと向かう。

そしてエイダイは各班への通達を開始し、カケルは隊員を班分けして、魔都の巡回に当たらせた。


「ここにきて、こんなにごたつくとはな」


背後の元・魔王城、現・スクラップを見ながらエイダイが呟く。


「魔王ならどっしり構えていてほしい物ですね」


「さて、いよいよカナデがいないのが痛くなってきたな」


「だいぶん戦力裂かれてますし。おそらく瞬間火力ならカナデさんが最強ですもんね……」


「気絶時間はそれほど長くないと思うが……念のために情報送っておくか」


「あとでシオンさんに怒られても知りませんよ?」


『こちらハルト、全員ざっくりでいいから報告上げてくれ』


『こちらはもう少しでゼリ領に到着します。入り次第情報を送りますが、いつ魔王が逃げるかわからないので、完全に討伐が終わるまで全地域警戒はとかないでください』


『オトハです。一応、天界の方は封鎖してあるからそっち方面には逃げられないと思う』


『シオンです。朔夜を使いに出して星影に連絡を取りました。冥界の方は封鎖済みです』


『はあ、城爆破で終わると思ったんだけどな』


『ハルトさん、前見て走ってください、って』


念話を終了し、一応警戒をしながら後の事を考える。


「オレたち無事に帰れるよな?」


「あんまりフラグになること言わないでください」


「リビード制圧してからまだ30分ぐらいしかたってないんだが、今ニージェルにいるだろ?テンポ良すぎて現実味がねーよ。罠かもって言われたら疑わないぞ?」


「それはそうですけど。もうオレたちはここで待機するぐらいしかできることないですよ……」


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