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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第26章 支配者たちの円舞曲
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終焉の楽園 -26-06-


カナデ率いる7番隊は、マクロファー領を出発した後、各班と別れてリビード領の方向へと移動していた。

陣形は、前を走るのはカナデ、殿はシオン。真ん中には一番索敵距離の広いアスカが配置されてる。

そして、アスカが何かに気づき、指示をする。


「カイト、右から……いや、これは」


「囲まれてるね」


「どのみち結構いいところまで来ていますので、ここですべて制圧して拠点を作りましょう」


「アスカ、数は?」


「獣型が12、それと人型が1」


「魔人?」


「いえ、リビングアーマー?みたいな感じですね」


「とりあえず、倒しましょう」


シオンが刀を抜くのに続いて、カナデ以外全員が武器を構える。


「行きます」


シオンの指示で一斉に魔物へと斬りかかる。

魔物のレベルは高いが所詮魔物。サクサク斬り伏せ、3分ほどですべて片付く。


「お疲れ様、ナナミとモエでリビードの方に偵察行ってほしいんだけど大丈夫?」


「いってきます!」

「任せてください」


2人が姿を消し、足音だけが走り去っていく。


「シオンは、こっち側をお願い」


そう言いながらタクミに書いてもらった配置図を渡す。


「いや、カナデさん。これ仮の拠点のレベルじゃないですよ」


「いいからいいから。みんなは交代で警邏と休憩をお願い」


はーい、という声が上がり何人かが立ち上がり、残った半分が岩の上に座り込む。


「しかし、何にもありませんね……獣の骨がたくさん転がってるのは若干気悪いですけど」


タツヤが呟き、隣に座っていたマナミが頷く。


「まあファンタジーって感じはするけど、体にいい空気じゃないよね……」


「カナデさん、こっちはこんな感じでいいですか」


「いいね」


「……イーリス、なんかちょっと目を離した隙に立派な建物が二つ建ってるんだけど」


「相変わらず無茶苦茶ですね……創造魔法でしたっけ」


「アレ魔法なんだ……」


もう一棟家を建てたカナデが、荒野の土を錬金術でタイルに変えていく。

シオンはいつもの結界用の石を設置するために歩いている。


「はやいなぁ……ツバサ、カイト、出来たっぽいぞ」


『はやっ』

『ちょうどモエとナナミも戻ったようだ』


タツヤが目を離した隙にカナデは噴水らしきものを仕上げ満足げな表情をしていた。


「さすがにここまで魔力使うと疲れるね」


「カナデさん、余計なもの作りすぎです」


「でも遊び心はいると思うよ?……っと、念話だ」


『カナデ、こっちは終わった。イラムを封印、制圧完了だな』


「了解です。こっちはいろいろ準備しているので楽しみにしててください」


『おう、話が終わったらすぐ戻る。座標はカケルの方に送っといてくれ』


「わかりました。あと、一応なんですけどハルトさんから交渉をどうやってやったかの記録を取れと言われているのでそっちの方もで適当にまとめて送ってください」


『わかったカケルにやらせる』


「イラムの方終わったって、そうですか。早いですね。こっちは結界の発動完了です」


「ありがと、シオン……あ、オトハ今着いたって」


『カナデさんですか、アルガンディ制圧完了しました』


「了解です。イラムは終したようです。グリティアは今着いたと連絡が」


『はい、わかりました。次の指示を待ってください』


「わかりました――これでアルガンディも終わりっと」


「マップ的にはあと三つですね」


「そうだね。といっても、魔王以外は割と交渉成立するみたいだからすぐ終わるよね?じゃあ一応オトハにも伝えとくかな……オトハ?」


『なに?』


「一応報告なんだけど、イラム、アルガンディ共に制圧完了。詳細はメールで送るから」


『おっけー、私たちは今着いたところだから』


「時間かかりそう?」


『すぐだね、うん』


「拠点の方は問題なく設置できたから」


『りょーかい、座標はルイにも送っておいて』


「大丈夫だとは思うけど、気を付けてね」


『うん、ありがと、おねーちゃん!』


オトハとのやり取りが終わるとほぼ同時に、結界の中へツバサたちとモエとナナミが戻る。


「それじゃあ、オレたちは一応外を見に行ってきます」


「うん。お願い。終わったら今日はもういいから。それで、どんな感じだった?」


モエとナナミに視線を向ける。


「ここからかなり近いですね。正直焦りました」


「一応城壁の様なものがあって、大砲みたいなのもあるかもしれません。こっち側には設置されてませんでしたけど、それらしいものを設置できるような形をしていました」


「なるほど……人口とかは?」


「マクロファーよりも多いかもしれませんが、戦闘員はそう変わらないかと。王都から民が流れてるようで、兵士たちの会話にそんなものがありました」


「なるほど……って、門の所まで行ったの?」


「というかすぐそこですよ?」


モエが指差しながら言うとカナデがマップと照合しながら確認する。


「ほんとだ、なんか予定より大分近づいてるね」


「気づかれてないなら問題ないのでは?」


シオンの発言に心配そうにしていた面々も納得する。


「そうだね。じゃあ、―――オトハ?終わったの?じゃあ、こっちに――え?ゼリさんは残してきたの?どういう事情?」


オトハと会話するカナデの声を聞き、シオンが呟く。


「何か問題が起きたんでしょうか」


「どうでしょう。でも、オトハさんとルイさんがいますから大丈夫だと思いますけど」


「そうですね、でも気になりますね」


「気になる?」


「あ、カナデさん。何か問題でも起きたんでしょうか?」


「いや、オトハ曰く、ゼリさんがグリティアさんを口説き落とすのに時間かかりそうだから、ルイさんと数人残して先にこっちに合流するって」


一堂が一斉に首をかしげる。


「どういう事ですか?同盟得られてないんじゃ……」


「いや、そっちは印貰ったみたい」


「どういうことですか?」


ますます理解できずに悩むシオンたち。


「うん、ゼリさん、グリティアさんに求婚したらしいんだ」


「……そっちの意味での口説き落とすでしたか」


「オトハの見立てではいけそうみたいだけど、まだ混乱してるみたいで……あ、そういえばあったら紙に刻印あげてほしいって」


「……なんかシェリーさんから似たような企画が届いてました。姉さんと一緒に恋が成就するスタンプラリーみたいなのする気みたいです」


「まあ、それは私たちが去った後だろうから神官さんたちに任せるしかないね。それじゃあみんな夕食の準備をしようか」


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