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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第24章 戦士たちの奏鳴曲
267/307

廃都の勇士たち -24-07-

大陸西側。

ハルトは門を出てすぐの場所にあるピジェット山に陣を構え、さらに西にあるフロール王国の旧都であったデヴァ―スの街を見下ろしていた。

既にエイダイを筆頭に攻撃を仕掛けている時間だ。


「こちらハルト、調子はどう?」


『こちらヨウ。デヴァ―ス正面で交戦中、今のところ問題はない。敵兵もそんなに数はいないし、練度も低い。全員生かして捕えているけど』


「ああ、そんな感じでいいよ。エイダイは?」


『こっちは城壁ぶっ壊して中に急襲したんだけど、ハズレ引いたな。ちょうど正面に行く途中の部隊にあたった……うお、あぶねェ』


「わかった。とりあえずこっちもそろそろ動くね」


ハルトがサインを出すと、スズネが指示し待機していた7番隊が動く。


「前線に通告。これより7番隊が、目標地点を襲撃する」


『りょーかい!いっちょ、派手にやってくれ!』


『たぶんそっちには強めの魔将がいるから気を付けてな』


「そっちの方にはいないの?」


『なんか先陣切って突っ込んできた93と94を秒殺した記憶がある』


『こっちも81位の奴斬ったわ』


「なんで君たち事後報告なわけ?というか殺したの?」


『力加減難しいんだぞ?』


『でも油断するとやられるんだよなぁ』


「そう言われてもね……はぁ、スズネそっちは?」


「はい、7番隊全員潜入成功です。ツバサさんが指揮を執りますのでそちらに指示をお願いします」


「わかった。さて、全員聞け、一般市民には攻撃を自衛行為以外で加えないように、魔将の方もできるだけ確保してくれ!」



*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+



「こちらツバサ、7番隊潜入成功しました」


カナデから託された不思議アイテムで気配を消し、街の中へと入った。

4人ほど欠員がいるがそれでも十分過剰戦力の7番隊である。少数精鋭が望まれるこのような仕事は御誂え向きだ。


『目標地点は視えてる?』


「リゼット、どうだ?」


「はい。目標の時計塔までは300メートルほどです」


「とりあえずまっすぐ抜けるぞ」


ツバサの指示で一気に塔との距離を詰める。


『こちらエイダイ、敵の掃討が終了。ツバサたちの援護に向かう。あと65位のババア封印した』


『こちらヨウ。こっちはもう少しだな。あと85位のなんとかって奴封印した』


『君ら、交戦する前にちゃんと報告してよ』


ハルト達の方は順調らしい。

ならばこちらも結果を出さなければ。


「カイト、あと何秒で効果切れる?」


「15秒です」


「なら計画通りに、派手に行くぞ」


剣を抜く。

あと10秒以内に姿は敵に確認されるだろう。

しかし、塔の扉は固く閉ざされ、警備として兵が立っている。


「ミサキ、リゼット。ぶち破れ!」


「りょーかい!」「はい!」


剣を構え、ミサキとリゼットが加速。兵士ごと扉を切り開く。


「タツヤ、確認」


「敵数5、うち一人は魔将!」


「1と3で対応、残りは続け!」


カナデがいれば、すぐに殲滅して進むところだが、自分たちの力がそこまでに足りているとは思わない。

最初にアンデッドのなかに放り込まれたときの班分けで指示を出す。

カイト、ナナミ、マナミ、タツヤによって一瞬開かれた道を残りの四人が駆け抜ける。


「モエは先行して確認、リゼットは後ろと連絡を頼む」


「任されました!」「了解です!」


階段を駆け上がる。


『こちらヨウ。正面鎮圧完了。追加で2名封印。塔の方は大丈夫か?』


「ツバサです。4人が33位と交戦中」


『ハルトだ。33位となると相当強いけど大丈夫?』


「大丈夫です。カナデさんより弱いなら負けはありません」


『モエです。塔最上階にて目標の装置を発見』


「こちらでも確認。モエと合流しました。それと25位確認。これより交戦に入ります」


『大丈夫か!?』


「余裕です」


ツバサが剣を構える。

その横からモエとミサキが飛び出し急襲。

巨大な体を持つ猪と豚の中間の様な見た目の魔人に先制してダメージを刻む。


「思ったよりたいしたことないかも」


「見た目通り鈍重だから」


「オレが抑えるから、その隙に削りきれ。どうせすぐにエイダイ隊長たちが来るし、出し惜しみは不要だ」


「あいあい」


モエの短刀が冷気を放つ。


「行くぞ」


名乗らせる暇も与えず、魔人へ凄まじい攻撃の連打を浴びせていく。

ツバサ含め全員近接タイプだが、リゼットは魔法もこなすし、そもそも全員が相当な速度を持っているため、相手の大ぶりな攻撃など敵ではない。


「これなら全然カナデさんの方が怖いね」


モエのすぐそばを大斧が通り、大きく床を抉るが、顔色一つ変えず、隙を攻める。

カナデやシオンほどレベルが高い訳ではないのでそこまで威力の高い技が撃てるわけでもないが、塵も積もれば、という言葉通り着実に体力を削っていった。


「無駄に体力が多いのが難点ですね」


「ミサキ、攻撃を併せろ。床をぶち抜いて一階まで落とす。モエとリゼットは残って装置の方を頼む。タツヤ、そういう事だからなんとか躱せよ!」


「「「了解」」」『まったく、無茶するなぁ』


既に床は斧の振り下ろし攻撃でボロボロ。

攻撃を集中させれば容易に抜けることだろう。


魔力を込めた一撃をミサキとタイミングを合わせ床に叩き込む。

その瞬間モエとリゼットは壁際まで走り、崩落を回避した。


約20メートルの落下になるが、このぐらいならまだ怖くない。


強化された肉体で、上手く着地する2人と、巨体をうまく捌けずズシンと重い音を立てて瓦礫に埋まる魔人。


『こちらモエ。装置を破壊しました』


『ご苦労様。魔人は?』


「こちらツバサ、今から止めを刺します」


瓦礫に埋まる2人の魔人に全員で魔法を叩き込んだ。


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