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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第24章 戦士たちの奏鳴曲
265/307

羅刹と夜叉 -24-05-

カナデとシオンが迫りくる鬼たちの群れに視線を向ける。

その瞳は金色に輝き、龍眼へと変化していた。


「ふふふ、シオン。折角だから、とっておきを全部使ってみようか」


「私は構いませんが……」


直後、カナデとシオンの周りの大気が三度揺れた。


「神格による神気の発動、さらに覇気と龍気を上乗せしています」


「シオンさ……シオン、解説ありがとう。敵全体のステータスが下がったのはこちらでも確認できました。それと大半が気絶していますね……」


「後ろに残ってるのは私とアスカさんでなんとかするので、お二人は前をお願いします」


「任された」


「カナデさん、どちらが多く討てるか競争しましょうか」


二人が群れに飛び込むと同時に前で二人の瞳の効果に晒された敵が消滅する。


「なんだ、全然手応えないね」


「カナデさん、なんかクエスト出てますよ?!」


「クリア報酬はスキルか……ちょうど空きがあるんだよね」


「防衛系のクエストで、ヤマトの城下町の損壊20%以外かつボスの討伐、らしいです」


ヤマト(ここ)にくるとやたらと特殊なクエスト踏むんだよね……」


目の前の敵を斬り飛ばしながら、カナデがため息をつく。


「!……カナデさん、第3波、きます」


「シオン、魔法待機」


「わかりました」


シオンが起動状態に入ると同時に、カナデがさらに前へと飛び出す。


「明確な属性の弱点がないから、魔法を上乗せしても対してかわらない、ということは」


二刀目の鞘を払う。


「双刀発動。シオン、あと何秒?」


「16秒です」


既に第3波の大群は目の前のまで迫る。

しかし、カナデの放つ気はその進軍を躊躇わせるほど重く小鬼たちの体にのし掛かる。


「5……4……3……2……1……今!」


シオンのカウントに合わせてカナデが後方に大きく飛ぶ。


シオンの背後にはいくつもの魔方陣が描かれ、それぞが膨大な魔力の塊を吐き出し、鬼たちを滅ぼしていく。


「アスカ、残るのはたぶんボスだから、頭やっちゃって」


「おまかせあれ」


アスカが弓を絞る。

すでに背後の生き残りたちは片付けられ、未だに結界で守られている。


「視えた」


アスカの周りに神気を纏った風が紡がれる。


「神弓一矢」


アスカの手から矢が放たれると同時に、高音の空を裂く音が響き、次の瞬間、遠くに見えていた妖鬼の首から上が爆散した。


「よし」


「あー、残念。まだ体力残ってるみたい」


「嘘!?」


頭を吹き飛ばされた反動で仰け反っていた体をゆっくり起こすと、かなりの速度でこちらに駆け出した。


「イーリス!」


「はい!」


鬼の群れを縫ってこちらへと走る妖鬼。

しかし、その足下は轟音をたてて砕け散る。


「やった!?」


「まだです!」


一度、土と岩石の間に埋もれたものの、一瞬で復帰する。


「バケモノ?」


「カナデさん、そのコメントは後で自分たちに返ってきますから控えましょ、う!」


距離を詰められ、シオンがその拳を刀で受け止める。


「頭生やしてから出直してください」


その細身の体からは想像つかないような剛力で押し返され、よろけたところに2度斬撃が走る。


「アスカさん!」


「りょーかいっ!」


シオンが声をかけた瞬間にアスカが矢を放つ。

矢は真っ直ぐに胸を貫き、残りの体力を削りきった。


「さて、そろそろ帰ろうか」


「え、カナデさん、いつのまに大群片付けたんですか?鎧大鬼(アーマーオーガ)とかもいたと思うんですけど」


「それなら私とイーリスでなんとかなったけど」


「「…………………………」」


「とりあえずクエスト報酬も出たし、また囲まれる前に逃げるよ」


カナデが転移の魔方陣を開いたため、急いで中へと入る。

イーリスが結界を解くと、兵士たちがこちらへ向かってくるが、それよりも速く転移が発動した。

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