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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第23章 氷の意志と砂の覚醒め
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女神の帰還 -23-09-

「隊長!砂漠に突如神殿らしき建造物が出現したそうです」


「はぁ!?マジかよ」


砂漠を見張っていた部下からの連絡を受けエイダイが急いでそこへ向かう。

アリオの街を経由して言われた場所へと部下を引き連れて戻る際中にこちらへ向かってくるカケルを発見した。


「お前、なんでこんなところにいるんだ?」


「ああ、転移失敗しまして。街まで戻ればよかったなぁと思いながら歩いてるんです。イーリスさんならちゃんと神殿まで送り届けましたよ?」


「念話で連絡ぐらいしろよ……というか、その神殿が出現したらしい。ついてこい」


「はい!?というか、僕ここまで歩いてきたばっかりなんすけど!?」


帰りたがるカケルをひっとらえて足場の悪い砂の上を走ること10分。

砂漠の真ん中に極大の溝ができ、その向こう側にもはや見慣れた形の白い神殿があった。


「ほんとに出てきてやがる……」


「地下で見た奴と同じなので、間違いないかと」


「ほんとだ、誰か出てきた」


「アスカさんですね。あと、風龍」


アスカがこちらを確認するとふわりと風に乗り、溝を飛び越える。

その際、スカートが浮いて下にいた2番隊の男衆がその中を見ようとしたが、その前に眉間を撃ち抜かれて消滅した。


「お疲れ様です」


「お疲れ様はいいけど、自然な流れで射殺するのやめてくれない?」


「つい」


「つい、じゃなくて。まあ、いいけど。それで、肝心の地のペアはどうした?」


「ああ、結界を解く前に、地続きになってるこの砂漠と西大陸を割って海にするそうです」


「無茶苦茶言ってる自覚あるか?」


「まあ、慣れましたね」


「だよな。じゃあ、ハルトへの報告はまかせるわ。オレはその大陸割とやらを見に行ってくる」


「頑張ってください、隊長」


「お前も行くんだよ!」


「マジですか」


またもやカケルは捕縛され砂の海を引きずられていく。


「じゃあ、ちょっとスペーラまで送って」


「あ、自分。転移使えないです」


「えー……」


「そんなにがっかりされても、無理なものは無理です。自分以外を飛ばそうとするとなんかうまく調整できなくて途中でバラバラになったり……」


「わかった、わかった!アリオまで背に乗せてくれる?」


「それなら、お任せください!」


龍の形になった嵐の背に飛び乗ると、指示を出す。

それと同時に周囲の砂を巻き上げながら嵐が羽ばたき、浮上した。


「速い!」


「速さには自信があるんです。まあ、人を乗せるとなるとあんまり速度は出せないんですけど」


「そうなんだ」


「はい、覇龍に追い回されているうちに速くなりました」


「……なんか聞かない方が良かったかも。ゴメン」


あっという間にアリオの門が見えはじめ、嵐が減速し始める。


「門の前に降ろしてくれればいいから。あとは帰っても大丈夫」


「わかりました」


門の近くで止まり、空中で何度か羽ばたいたのち、ゆっくりと垂直に降下する。


「ありがとね、ラン」


「はい、御用があればいつでもお呼びください」


そういうと、まっすぐ自分の神殿の方へと飛び去って行った。

その速度は、先ほどアスカを乗せていた時の数倍速いように見えたのでやはり気を使われていたようだ。


「でも、カナデさん、割と本気でスピード出してる星辰の背に立ってたりしてたなぁ。あれぐらいできないとダメなんだろうか……ん?」


門の中の住人たちからの視線が自分へと集中している。


「あ、考えもなしにやっちゃった」


『アスカさん。こちらは完了しました』


「イーリス?私は今アリオにいるけど」


『こちらは2番隊のみなさん連れてスペーラに向かいますね』


「うん、じゃあ。私もすぐ帰る……といいなぁ」


何故か増える野次馬達。


「さすがに龍に乗って街に来るのはダメか……」


混乱のせいで兵たちも集まり始めている。


「これぐらいなら走り抜けられるかな?」


少しスカートが気になるが、仕方ない。

門の中へと向かう。


身分証の提示を求められたが、ややこしくなるので無視。

あとでカナデさんに言って謝りに来よう、とそう決めた上で全開に加速する。

最早、ここまで来ると身を隠すことはできない。

人混みの上を飛び越えながら、まっすぐ門へと走る。


この程度の数、苦にもならない。


「お騒がせして申し訳ありません」


転移門の前でそういうと、門の中へと飛び込んだ。

そして、スペーラの転移門から出た瞬間、加速を殺し切れず前にいる人物の胸に埋まった。


「お帰り、アスカ」

「お疲れ様です、アスカさん」


「ただいま、戻りました。カナデさん、シオンさん」


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