光差す地下道 -22-07-
「うぉーっ!」
砂の中からカケルが這いだす。
「うぇ、ぺっ……ぺっ、くそ、口の中に砂が」
「口濯ぎますか?」
「え?ああ、ありがとう……って、アスカさんもイーリスさんも大丈夫っすか?」
「うん、とりあえず。腕掴んでもらってる間に魔法で砂防げたので」
「盲点だった!」
アスカから受け取った水のボトルで口を濯ぐ。
「思ったより広い空間ですね……」
見回りをしていたイーリスが戻って来ながらそう言った。
「少し探索してみますか?」
「そうですね、じゃあ西へ」
「ちょっと待ってください、なんですかその行動力……」
「こんなもんじゃないの?だって、念話使えないし、行けるとこまで調べてみた方がいいかなって」
「それはそうだけど……え?念話使えないの!?」
カケルもエイダイに向けて何度かトライするが失敗に終わる。
「何故?」
「圏外?」
イーリスが首をかしげながら返答する。
「それに、あそこ」
そういうと、奥の方を指さすアスカ。
「あんな感じで天井割れて光が差してるところがあるのでもしかしたら何処かいい感じのところで外に出れるかも……」
「もしかしたらこの洞窟というか地下道が直接神殿に通じてるかもしれませんし」
「じゃあ、行ってみよっか……」
女子二人に押し切られ、西へと歩き始める3人。
時折頭上から降ってくる砂を躱しながら進むこと10分。
巨大な砂の滝を発見する。
「ここで行き止まり?」
「あそこから外に出れそうですよ?」
「え?どうやって?」
カケルが尋ねると、イーリスが頷いて、魔法陣を展開する。
連続して起動したそれが弾けるとともに、砂の滝の中に石柱がせり出し、足場を作っていく。
「さて、行きましょうか」
「じゃあ、僕が先行するよ」
身軽にひょい、ひょいと石柱を昇り、地下道の外へ。
照りつける太陽がまぶしく思わず目をふさぐ。
どうやら砂嵐は去ったようだ。
「神殿、ありました?」
後から上がってきたアスカにそう尋ねられる。
「いや」
首を振る。
「そう上手くはいかないか……」
「とりあえず今日は撤退しましょうか」
「そうですね」
『おーい!聞こえるか!!!!!!』
「聞こえますよ、うるさいな」
『何だその言い種は。全然連絡よこさねーし』
「いや、なんか念話が圏外でつながらなかったんですよ」
『ねーよ!』
「嘘じゃないですって!」
『とりあえず一回帰ってこいよ。で、今どこにいるんだ?』
えっとですね……、といいながらカケルがマップを確認する。
「ん?」
『どうした?』
「ちょっと待ってくださいよ」
そういうと、まっすぐ西へと歩く。
10歩もあるかないうちに何かにぶつかった。
「あー、今西端にいます。思ったより砂に流されてたみたいです」
『なるほど。進めそうか?』
エイダイの言葉を受けて前方へと手を伸ばす。
見えないに何かに阻まれる。
「無理そうです。痛いです」
『アスカに全力で矢を撃って』
「アスカさん、あっちの方角に向かって全力で一発撃ち込んでくれます?」
「構いませんけど、イーリスとちょっと離れててくださいね」
カケルたちが離れるのを確認した後、矢を番える。
「神格発動」
アスカが魔力に包まれる、そんな風にカケルの目に映った。
「大弓・疾風」
真っ直ぐ吹く風を纏って進行方向えて矢が駆ける。
一瞬、壁の位置で止まったような気もしたが、空間に穴をあけて壁の向こうへと飛んで行った。
「通りました?」
「壁抜きました」
『おお、予想通り』
「でもすぐ塞がったので、通るのは無理そうです」
『カナデかシオンなら行ける気がするんだけどなぁ』
「とりあえず、それも含めて一度話し合いましょう。スペーラまで戻りますね」
『了解した』




