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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第22章 砂漠の城と氷の帝国
232/307

オアシスに咲く花 -22-02-

本日の7番隊の訓練はアリオとグロリアの中間にある荒野で行われている。

荒野といってもどこかの女神が血を流し過ぎたせいでちょっとしたオアシスができている。

何があってここまでになったなのはわからないが泉までできている。

泉の冷たい水で顔を洗ったカナデがシオンから差し出されたタオルで顔を拭う。


「ここかなりいいかも。そろそろアンデッド狩るのも他の人たちがするようになったし」


「王国貴族派の騎士崩れみたいなのが出没するみたいですから気を付けないと」


「……そんな連中がいるならここ真っ先に狙われそうですけどね」


アスカが青い草の上に座りながら言う。

タツヤとカイトは水の流れる終端付近で水を跳ね上げながら遊んでいる。

他のメンバーもカナデが設置したパラソルの下や水辺で休憩を取っている。


「ここはそういう輩には見えない聖域みたいなものなんじゃないですかね」


「カナデさんとシオンさんの血肉でできてるならそうかもしれませんね……」


「だからこんなこともできるよ」


カナデが刀を抜き刃を地面に刺す。


「はっ!」


魔力を注ぐ。すると、


「きゃあ!?」


湧き出していた水の量が急増し一瞬、高い水の柱が立ち、虹を描く。

続いて他の場所から3つ水の柱がの昇る。


「……こういうことはあんまりしない方がいいんじゃないですか?」


「……うん、反省する」


カナデにそう言いつつ、シオンも魔力を注ぎ草木を増やしていく。


「やり過ぎですよ……すごく目立ちますよ?」


「じゃあ結界も張って行こうか」


「勝手にそんなことしていいんですか?」


「バレないようにするための結界でしょ?」


カナデが結界用の魔法珠を錬金術で生み出した石の塔に設置し五角形の結界を完成させる。


「よし」


「……ハルトさんに怒られる気がします」


シオンの言葉は流して、カナデが手を打ち視線を集める。


「そろそろ再開しよっか」


「カナデさん!」


タツヤが挙手。


「何?」


「暑いんで脱いでいいですか?」


「いいけど、その分防御下がること忘れないでね?」


「はい!」


タツヤが上着を脱ぎアイテムボックスに収納する。

それを見てツバサとカイトも脱ぎ、上半身は黒いシャツ一枚になる。


「これでいくらかマシになった」


襟元をパタパタしながらツバサがそう呟く。

制服の効果で温度の調整はされるらしいが限度がある。

スペーラの街の気温はまだ15度以上20度以下といったところだが、ここは30度を超えている。


「というかカナデさんもシオンさんも暑くないんですか?というかなんで汗かいてないんですか?」


不思議なものを見る目でナナミが2人を見る。


「いや、暑いよ?」


「ええ、暑いですよ?」


「あたしも脱ごうかな……」


そういうとマナミが上着を脱ぐ。


「えっと、私たちのは特別仕様だから汗とかそういうの掃ってくれるみたい」


「ずるいです」


ナナミが抗議する。

レイが本気で作ったこの制服(白)は製作に時間とお金と技術が必要なためまだ全員分用意されていない。


「じゃあ、私も脱ぐから?」


「カナデさん、その理論はおかしいです」


「まあ、なんでもいいんだけど。次は私とシオンとアスカVS残りメンバーね」


そう言いながらカナデが装備を変更していく。


「よし」


「よし、じゃないですって!?」


珍しくシオンが焦る。

カナデが着替えたのはショートパンツと上半身はセパレートタイプの水着。

髪はシュシュのようなものでまとめている。

それを見たカイトとタツヤが鼻血を流しながら倒れる。


「大丈夫だよ?怪我する気はないから」


「そういう意味じゃ無くてですね……男子もいるので目に毒というか」


「まあ別に減るもんじゃないし……まあ、さすがにちょっと恥ずかしいけど。あ、シオンの分もあるよ?レイさんに押し付けられたから」


「えっ、ちょっと待ってください。私も着るんですか!?」


抵抗するも笑顔のカナデに負け結局着替えるシオン。


「私、胸無いのでこういうのは……」


「それでないなら私とかイーリスとかはどうなるんですか!」


シオンに抗議するのはモエ。え、私も!?といいながらおろおろしてるのはイーリス。

おそらくFはあるカナデとBないしCのシオン。どちらも腰が細いのでかなり目立つが。


「この二人には勝てる気がしない……」


「というか、君ら大丈夫?ツバサも意識飛んでない?おーい……」


男子メンバーの安否を確認して回るナナミ。

ついでにリゼットも気絶する。


「……カナデさん、とりあえずこの4人寝かせてきます」


「女子が鼻血ながして気絶って不味いよ、リゼット……」


アスカがリゼットを抱えパラソルの下へ。

男衆もパラソルの下に適当に投げ捨てられる。


「今度からその格好は男子のいないところでお願いします」


そう言いながらミサキが寝ている4人の方に防護の魔法をかける。


「人数減ったし、ハンデは私たち3人は魔法禁止ってところでいいかな。私とシオンは一刀だけで」


「魔法禁止ですか……そうなると属性矢が撃てなくなりますね……」


アスカが弓を抱きながらつぶやく。


「私たち勝てるのかしら……」

「さあ?この条件でアスカがこっちで4人生きてたら勝てたと思うけど」

「アスカのひきょーもの!」


「なんで私が責められてるの!?」


「あ、アスカ。神格も使用禁止ね?」


「え?」


「まだ使って見せたことありませんでしたっけ?こうなります」


シオンが神格を発動させる。

すると、アスカ、カナデ以外のメンバーが驚いた顔をしながら膝をついた。


「全開にすれば強制的に平伏ぐらいまで持って行けます」


「何それ、こわい」


「魔物に使っても若干ひるむぐらいなんだけど、スライムとか全く知能がないような奴らなら全速力で逃げていくよ?」


「アスカずるーい」


「なんで私だけ……まあ、納得はするけど」


そう言いながらアスカがカナデ達の後ろに下がる。


「とりあえず私とモエで死ぬ気で2人を抑えるからナナミとイーリスは魔法、マナミはアスカをなんとかして」


ミサキが指示を出す。


「なんとかって……」

「私とミサキさんの負担大きすぎません?」

「大丈夫です、回復しますから」

「うわぁ、イーリス。それ嬉しくないかも」


全員が武器を構えたのを確認してカナデとシオンも刀を抜く。


「それでは始めましょう」


シオンが一歩前に出る。

それと同時にアスカとマナミがそれぞれ鏑矢を放った。


高い音が響くと同時に3人の姿が消える。

嗅覚で追えるのはモエのみ、モエが指示を出しながら攻撃を回避する。


「ミサキ、右側にいるよ!」


「どっち!?」


「わかんない!だって同じ匂いするんだもん!」


ミサキがモエに指示された通り右側を向く。

知覚系のスキルは取ってないが、こんな訓練ばかりしているため7番隊の対人戦闘技術はめきめき上昇している。


足元を見つめる。

足元は乾いた土。足跡は残らない。


「イーリス!」


「了解です!《マッドプール》発動します!」


広範囲にわたって黄の魔法陣が広がり足元が泥沼と化す。


「そこだ!」


ミサキが足音を見つけた。

その方向へと切り込む。


「ナイス連携!」


それを刀で受け止めたカナデが剣を弾く。


「機動力も削げますしね」


「それはどうかな?」


カナデが懐からカードを取り出す。


「なんですか?それ」


「さて、なんでしょう。シオン!解禁」


「わかりました!」


シオンの声が響く。どこにいるかはわからない。


カナデが飛び上がる。

そして着地する地点へカードを投げ込むとその地点が凍てつく。


「機動力はこれで確保できるかな」


「魔法使わないんじゃなかったんですか!?」


「これ魔法じゃなくて符術ってスキルよ?」


カナデが手に持ったカードをミサキに投げつける。


「コストパフォーマンスが悪いし、出力微妙だけど、使い方次第ではすごく使えるんだよね」


ミサキの目の前でカードはファイヤーボールよりも一回り小さい火球に変化した。


「さて、ツバサたちも起きたみたいだしここからが本番かな?」


カナデが笑みを浮かべる。


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