表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第21章 魔の軍勢と立ち向かう者たち
228/307

女王の旋風 -21-09-

「どうしよっかなぁ……」


魔人を目の前にしてもハルトは呑気にそんなことを言っていた。


「キクロ、何分もつ?」


「30秒ですかね!」


「ははは、冗談が上手いなぁ」


「魔法メインの後衛型のなのに前線に放り込むとか正気の沙汰じゃないですよ?」


「気のせいじゃない?」


空を見上げる。


「どうにかなんないかなぁ……」


「まったく、しっかりしてください」


「そうはいってもスズネ……え?どこから?」


そう言いながら周囲を見回すと前方を超高速で黒い影が通り過ぎて行った。

その影に轢かれた魔物が吹き飛び、空間ができる。

その方向から歩いてくる人影が1つ。

銃口をこちらに向け、放つ。


真っ直ぐに飛んだ銃弾は魔人の左胸を貫いた。


「さて、勝ちましょうか」


「ありがとう、これで勝てるよ」


胸から血を流し、うずくまる魔人アルトリウスがこちらを睨む。


「一人増えたところで……かわらっ!?」


よろよろと立ち上がろうとした魔人の両膝を容赦なく撃ち抜くスズネ。


「何してるんですか?さっさと終わらせますよ。あ、街の方にはカナデさんが行ってくれました」


「そ、そう。うん、キクロさっさと片付けよっか……」


「……そうですね」



*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+



死屍累々のフランマ外壁で戦う3番隊。

城から派遣された騎士たちが多く倒れ、実力数段上の彼らですらかなり限界を迎えていた。


「ヤバいぞコレ」


「次の波は耐えられないな……」


「困ってる?」


「ええ、それは……ってカナデさん!?」


「半分ぐらい減らしたらいける?」


「ええ、それならなんとか……」


「じゃあ今見えてる分は全部倒すから今から回復しときなさい」


「え!?そんな無茶な……」


カナデが二刀を抜き、魔力を通わせる。


雰囲気が変わる。


場が静まる。


「桜花狂奏応用編・水麗天奏」


トップスピードまで加速したカナデが魔物の群れに突っ込み、大きく群れが割れる。

必死に戦ってきた彼らの比にならないスピードで敵を駆逐しつくす。


1分と掛からないうちに宣言通り視界の敵を殲滅しきったカナデが刀を鞘に収める。


「じゃあ、次行ってくるね。頑張って」


カナデ手を上げる。

その瞬間視界から消える。


「えええ!?なんなのあの人!」


「すげぇ……さすがオトハ隊長の姉……」


「しかも美人だ」


「それ今関係ないだろ……」


「しかし、8000はいたのに綺麗さっぱりだな……」


「まあ残りぐらいなら余裕だな」


隊員たちが立ち上がる。



*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+



一方、星影の上のカナデ。


「次はアリオの方?」


「うん、お願い……ってなんか変な称号出てる……そしてなんか《二刀流》が進化してるし……」


「あなた、思ったより焦ってないのね……」


「まあ、なんとかするでしょ。それよりスキルポイントどうしよ……余る」


「贅沢な悩みね……あと3分ぐらいで着くわよ?というか転移した方がはやくない?」


「道中ヤバいとこ見つけたら降りる気だから」


「なるほど」


「このヤバい色のスキルクリスタルを使ってみようかな……」


七色に明滅するクリスタルを持ってカナデが迷う。


「何しようとしてるかわからないけど、私の背の上で爆発とかやめてね?」


「大丈夫、爆発はしないと思う」


「すごく不安」


クリスタルを使用すると光が噴き出す。


「えええ……予想外」


「なんのスキルだったの?」


「なんかスキルクリスタルがいっぱい出てきた。錬金術で複数合成してたみたいな感じ……」


「へぇ……っていわれてもわかんないんだけど……」


「符術ってなんだろ……」


「精霊術みたいなものなんじゃないの?」


「それは巫術じゃないかな。とってみよう……シオンに怒られるかもしれないけど」


「自由ねぇ……もう着くわよ」


「なんか武器の類なのかな……」


アリオ上空で街を見渡す。


「こっちは大丈夫そうね」


「義兄さんが指揮執ってるみたいだしね……でもなんで砂漠の方から敵来てるのかな?」


「あっちの方に神殿があった気もするけど……」


「そうなの?」


「でもずいぶん前の話よ?2万年ぐらい」


「でも一応調べてみる価値はあるよね、じゃあ次はグロリアの方に転移して」


「了解」



*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+


「やっべぇぞ、これ。おいタロウ何とかしてくれ」


「無茶いうな!というかなんでこっち側の敵激増したんだよ!」


「知らねーよ!オレがモテるからとか!?」


「じゃあ死ねよ、もう。めんどくせーよお前」


「辛辣だな!」


「マジで余裕ないんだって!」


「じゃあササッと片付けるから退いてて」


「カナデさん!?まさしく女神の如きとう!?「黙ってろ!」


タロウがヨウを引きずってカナデの後ろに下がる。


「じゃあもう一回応用編行こうかな。迅雷烈奏!」


抜いた刀に纏うは、蒼い雷。


先ほどよりも速く。

凄まじい威力の攻撃が次々に魔物たちを薙ぎ倒していく。


「うわー……さっきよりもステータス大分上がってるから……」


「あー、そういえばそうだったね。レベルまた上がったし」


「とどまることを知らないわねー……」


涼しい顔で帰ってきたカナデといつの間にか現れて隣を歩く星影。


「なんか思ったより少なかったからやりがいがない……」


『こちらエイダイ、フロス神殿でちょっといろいろあって洞窟潰れてゴーレムがわらわらでてきてヤバい』


「何やってんのあの男……」


「どうしたの?」


「次フロス神殿」


「頑張るわねぇ」


両手を振るヨウに見送られながら転移する。


「うおおおおお、ヤバい!!6体は無理!」


転移してすぐ叫び声が聞こえた。


「はぁ……星影、私この後倒れると思うから部屋まで運んでね」


「え?うん」


「氷の神刀」

「神刀・絶空」


一閃。


一瞬で6体すべてが真っ二つになった。


「強ぇ……」


足元で群れていたゴブリンもただの氷塊になっている。


「じゃあ、お休み」


カナデは意識を失う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ