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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第21章 魔の軍勢と立ち向かう者たち
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職人不敗 -21-08-

ズン、と巨大なものが結界に衝突する音がする。

スペーラの街は絶賛襲撃され中であるが、主要な戦力は出払っている。


「ヴィクター、あと何分もちそう?」


「正直20分もったらいい方だと思うぞ」


必死に結界を維持するヴィクターとその隣で腕を組んで立つヨウジ。


「こうなってくるといよいよ戦わないといけなくなるよね」


「とりあえずさっから極大サイズの炎弾打ち込んでくる奴をなんとかしてほしいな」


「そうかー……でも残念ながら戦闘力ないんだよね、僕」


「安心しろ、期待はしてない」


「だから頼もしい部下に働いてもらおうかな」


ヨウジが二度手を打つ。

溜息をつきながら歩いて来たレイとそれに引きずられるシェリー。


「全く、人使いが荒いわね」


「お金にならないことはしたくないんだけど?」


「レイさん、とりあえず先に行ってくれる?」


「しかたないわね……絶対カナデちゃんにモデルの仕事了承させてよ?」


「わかってる」


レイが結界の外へと走る。


「さて、シェリーにはこれを上げるから。現金ないからこれで赦して」


「剣?………ヨウジが打った“剣”!?」


「そうそう。貴重だよ?それなりのスペックだし。働いてくれるなら「行ってくるわ!」……よろしくー」


「アレで戦力になるのか?」


「アレでもレイさんは生産組最強と言われてたし、シェリーの方はオトハのギルドにいたわけだし」


「なるほど」



*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+



「来たか、冒険者!」


炎弾をバカの一つ覚えみたいに投げつけていた張本人の前にレイが立つ。


「残念だけど、私はただの職人よ」


「はあ?職人が何しに来たんだよ?この99位プラン様に勝てるとでも思ってんのか!」


「99位って底辺じゃない……まあいいや。カナデちゃんに来てもらう服のデザイン考えたいし、3分で終わらすわ」


レイが小型のナイフを構える。


「来いよ!」


手招きをするプランに向かってナイフを投げつける。

数十個投げたところで、投げるのをやめた。


「これだけ投げて、一本も掠らないってどういうことだ?」


「上手でしょ?」


「はははは、今度はオレの番だな!」


「いえ、まだ私の番よ?」


勢いよく駆けだそうとしたプランの脚が何かに捕られる。


「なんだ!?」


「私は職人なの」


プランの脚を捕ったのは糸だった。


「糸の扱いなら私の右に出る者はいないわ」


プランが辺りを見回すと地面には無数の糸が張り巡らされている。

先ほど投げたナイフに付いたものが複雑に絡み合っている。

その終端を握ったレイが糸を手繰る。


「綾取・嵐雲」


数十本の糸が複雑に絡まり、プランを縛り上げる。


「くそっ、このぐらい!」


引き千切ろうと力を入れると、その部分から自らの血が滲み始めた。


「あんまり動くとバラバラになるわよ?」


しかし、抵抗をやめることはできない。

レイが次の手を取ろうとしていることはわかっているからだ。


「綾取・火山」


糸に炎をが走る。



*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+



「へー、あんたが魔人ね」


「なんだ?この女」


プランの後ろで控えていた魔人の前に突如現れた女。

言うまでもなくシェリーであるが。


「なるほど、ベリアードさんね」


「なんだ、お前。戦う気か?」


「時にベリアードさん。お金は持ってる?」


「は?………今それ関係あるか?」


「あるある。それによって私()勝てるかどうか決まってくる」


「どういう事か全くわからん」


そう言いつつも懐の財布の中身を確認する。


「6万ギルってところだ」


「そう。私は今手持ちに8億ギルあるわ。つまり私の勝ち」


「はぁ?」


「称号〈富める者の余裕〉の効果でフィールドで所持金が一番多い場合全ステータスが1.5倍になる」


「なんじゃそれ……」


「さて、さっさと働きますか」


ポケットに手を入れたシェリーが一枚の金貨を取る。

指ではじき、自分でキャッチ。


「その金をどうする気だ?」


「こうするの」


風の魔法を使って加速し、弾丸として金貨を打ち出した。

しかし、その金貨を何のためらいもなく、真っ二つに斬るベリアード。


「《強欲なる判決》発動」


「なんだ!?」


「私の財産を破壊したため、その金額の10倍の支払いを命じます」


「はぁ!?」


「命で払ってね?」


瞬間、ベリアードの体力がきっかり10万減少した。

ベリアードは魔人の中でもかなり体力が多い方であるがそれでも10万を少し超えたぐらい。

魔王は1億あるらしいといううわさを聞いたこともある。しかし、アレは特殊だ。

自身のHPのほぼすべてを持って行かれ膝をつく。


「降参?」


近寄ってきたシェリーがベリアードの肩に手を置きながら尋ねる。


「まさか、」


「そりゃ残念」


シェリーが距離を取る。


「お前の金に触らなければいいんだろう?」


「まあ、そうだけどもう遅いよ」


「なにが……」


「窃盗の罪で、その金額の10倍の支払いを命じます」


その瞬間上着のポケットに1枚の水晶貨が入っているのが見えた気がした。


「さて、これでお仕事終了」


「速かったわね」


手早く処分を終えたレイがシェリーに近づく。


「まあね。でもこの技呪い系に耐性あるのには効かないんだよね」


「へぇ……つまり人型の奴にしか効かないってこと?」


「まあそういう意味じゃ対人戦は負ける気しないけど」


そういいながら二人は今頃ほっとしているか震えているだろう男連中の元へと戻るのだった。


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