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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第21章 魔の軍勢と立ち向かう者たち
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最強の女神 -21-06-

「長老!森の魔物たちが!」


「なに!?急いで 防衛を……」


「いえ、それが数が凄まじく……自分で見ていただいた方がはやいかと」


村の結界の境界へと向かうと、すでにかなり軋んでいる結界が目に入る。


「なに……」


「このままでは後数時間で崩壊するかと……」


「そうか……この数では撃退は難しいか?」


「無理ですね」


「すぐに神殿の方へ皆を逃がせ」


「はい!」


エルフの青年が村の方へと走っていく。


「さて、こちらもせめて強化を……」


結界が大きく揺れる。


「ん?」


結界が大きく軋む。


「……全員、下がれ!」


結界を維持しているエルフたちをさがらせる。

その瞬間、村の正面結界にに大きく亀裂が入る。


「お邪魔しまーす」


その亀裂から結界が崩れ去っていく。


「あんたが長老?オレはトレルク。魔王軍11位だよ」


「ま、魔王軍」


容姿からは年齢が推測できない魔人であるが、雰囲気的にはかなり若いように思える。

少なくとも300年近く生きている長老よりは若いだろう。


「で、さ。あんたらこっちにつかね?ヒューマン狩りやろうぜ」


「……………」


「何黙ってんの?エルフって虐げられてんじゃなかったっけ?」


「……断れば?」


「断らないでしょ?」


「…………………………」


「…………………………」


お互いにらみ合う。

トレルクの後ろには数万の魔物の軍勢。

こちらの後ろには民が。

断ることなどできる状態ではない。


「……わか「まあ、待ってよ。長老」!?オトハ様!?」


「ん?あんた誰?」


「誰でもよくない?それより何しに来たの?帰ってくれるなら生かしてあげるけど」


「何言ってんの?このお嬢ちゃん……ねえ、誰か……あ、コイツら会話できねーや」


後ろの魔物に話しかけたあと我に返るトレルク。


「で、なに?」


「まあ、いいか。全軍、圧殺しちゃえよ。もうめんどくさいし」


「なっ……」


結界を失った里は周囲から魔物がなだれ込もうとしている。


「これでは村がっ!」


「ははは、何言ってるの?」


魔物たちは光の障壁に阻まれる。


「私がいるのに負けるわけないじゃない?」


オトハがわざとらしく指を鳴らすと無数の魔法陣が展開され、吹き出した輝く炎に魔物たちの大半が焼き尽くされる。


「はぇー……お嬢ちゃん強いじゃん」


「次はあなたね」


戟を向ける。


「上等!」


剣を抜いたトレルクが黒い魔法陣を大量に展開する。


「お姉ちゃん直伝、」


オトハが戟を構える。


「魔法陣砕き」


トレルクの展開した魔法陣が片っ端から砕けていく。


「……何したの?」


「ヒ・ミ・ツ」


戟を一度くるりと回すと、トレルクへと一直線へと駆ける。


「魔剣解放!行くよ」


トレルクの剣とオトハの戟がぶつかる。

高い音が響く。

何かを削る様な。


「オレの剣はソードブレーカーだよ?」


「へぇ……でも私の刃は絶対に砕けないから」


オトハが力を込める。

ピシッ、っと音がする。


「次打ち合ったら砕けるんじゃない?」


「試してみる?」


お互いに後ろに下がり、再度ぶつかる。

ギィン、という音が響く。


「砕けろ!」


「ないない。ないよ、それは」


金属が砕ける音が響く。

魔剣の剣先が宙を舞う。


「ね?」


「嘘だろ……」


「ほら、隙あり」


腹へと戟が突き刺さり、傷口から煙が上がる。


「ぁぎ!?」


「特別製なんだよね、私の戟」


無理やり戟を引き抜き、傷口を突く。


「ぃぃっ!?」


「11位だっけ?本気出せば?」


傷の度合いからみるともはや本気を出せる状態ではないのだが。


「なんだこれ、傷なおんねーぞ……?」


「そういう仕様だから、じゃあね」


戟の刃を首に掛ける。


「おいおい……お嬢ちゃん名前は?」


「油断してるからやられるんだよ」


腕に力を込め、振るう。


「ええ!?まだHP残ってるの!?」


崩れる体に追撃しながらオトハが驚く。

数度、本気の攻撃を打ち込むと、完全にHPが削りきれる。

実はこちらのMPもかなり減っているのだが。


「ふぅ、しぶとかった」


地面に戟を突き刺し、腕で汗を拭う動作をする。


「オトハ様……」


「ん?どうかした?それより怪我人は?」


「いえ、特には」


「そう。じゃあ私残りの魔物かたすね」


オトハが地面に差した戟を抜くと、脚に力を込める。


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