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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第21章 魔の軍勢と立ち向かう者たち
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月の双刃 -21-03-

ハルトから報告を受けてすぐにメンシスへと入ったのはシオン。

そして7番隊居残り組の面々。


「ツバサさんはマナミ、タツヤ、ミサキ、イーリスを連れて先に北へ、カイトとナナミは西側を一度確認してから北へ、モエさんは私と一緒に神殿へ」


「わかりました、行くぞ」


ツバサに続いて4人が走る。同時にカイトたちも西側の門へと向かう。


「私たちも」


「はい!」


シオンの転移で神殿前に飛ぶ。


「これは……」


一面を埋め尽くすアンデッド。


『こちら北です。総数5万ほどで、騎士たちはかなり疲弊しているのでもう少し戦力が欲しいです』


『西です。こっちは大発生はしていませんが誘発されたアンデッドが押し寄せているので片付けてから北に合流します』


「わかりました。こちら東、神殿ですが数は10万。それと魔人が一人」


『……っ!?』


「こちらは何とかするので安心して戦ってください」


「ええ!?」


「大丈夫です。朔夜!」


「はい」


シオンの隣に黒龍が立つ。


「焼き払いなさい」


「了解しました」


すぐさま龍の姿となり、溜めの動作に入る。


「今のうちに魔法を、可能な限り広域で」


「はい!」


2人が魔法陣を展開し始めると同時に黒龍がブレスを放った。

凄まじい爆発を伴いながら左から右へと敵を消していく。


粛清の雨(パージ・レイン)!」


偽善の施しヘパクレシィ・チャリティ


軍勢のほんの一区画を覆ったモエの魔法に対して、全体を覆うかなりの規模を見せるシオンの魔法。

光が降り注ぎ、次々と滅されていく。


「こんなもんですかね」


「今5000は確実に倒しましたよね……」


「そうですね。さて、もう少し経験値を稼いできましょう」


シオンが刀を抜く。


「東将軍マクロファー様が配下、レスペルだ」


特に偉ぶった様子もない接しやすいタイプの人間……もとい魔人だった。

しかし、戦闘力はこの大群のなかの有象無象とは比較にならない。

腰に太刀を佩き、腕を組んで立つ。


「53位ですか。まあまあですね」


「そちらは闇の女神様とお見受けするが、どうだろう我々に手を貸してもらえないだろうか?」


「……別にこの世界を守るとか守らないとかには特に興味ないのですが」


「ふむ」


「カナデさん以外に従う気はないのです」


言い切った。


「交渉決裂か」


「そのようです。50番台の魔人ですとそこそこ強いようですね」


「そちらこそ、あの数の魔物を一気に倒すとは」


「相手にとって」

「不足無し!」


お互いの刃が衝突し、火花が散る。


「それよりもどうでしょう、あなたがこちらに着くなら私から口添えをしますが」


「なるほど、こんなところで死ぬのも面白くはない……私が負けた時にはお願いしよう」


「でも負ける気はないようですね」


「そうだな」


「それはこちらも同じです」


シオンが二刀目を抜く。


「二刀流か」


「襲・木賊!柳!」


シオンの刀が光をベースにした魔力を纏う。


「まあ、刀を抜いた以上私に負けることは許されません」


「師匠の教えか?」


「近い物はありますが、違います」


レスペルの攻撃を涼しい顔で躱しながらシオンが言う。


「負けたらカナデさんに顔向けできませんから」


「お前がそこまでこだわるカナデさんとやらに会ってみたいものだ」


「ええ、跪かせて会わせてあげます」


唐突にシオンが踏み切り、レスペルに飛び込む。


「何!?」


「朧月」


レスペルの腹と胸に斬撃が走る。


「うぐぁ!?」


「次行きますね」


シオンがレスペルに対してかなり優勢に動いているように見えるが。

残されたモエと朔夜はそうでもなかった。


「えっと……そろそろ黒龍さん私休んでいいですか」


「さすがにこれを一人で相手するのは……」


魔物の大群は止まらずにこちらに向かってくるが、シオンが巻き込まれないようかなり余裕をもって場所を開けなければならない。


「とりあえずアレが終わるまで耐えるしかないですかね」


打ち合いは続いているが、余裕そうなシオンに対してボロボロのレスペル。


「そろそろとどめですかね」


「くっ……」


「どうしますか?こちらに着きますか?」


「まだ、決着はついてない」


「いや、これ以上やると殺しそうなんですけど……」


「そうか、ならばここで折れよう。私の負けだ」


「それで、この大群は……」


「下がらせよう、お前ら戻れ……ん?」


「全然言う事聞いてませんけど」


「何?……負けた将のいう事など聞く価値なしだと!?」


「完全に舐められてますね……」


「えっと、シオンさん。終わったんですか?」


「終わりましたが、終わってないです」


「どういう事ですか……」


「すぐ片付けます……閃華狂奏!」


シオンの光を纏った刃が閃きながら魔物の群れを駆け抜けていく。

ここでの速度が今までの戦闘の中で一番速かった。

レスペルは唖然とし、モエと朔夜も苦笑いを浮かべる。


「さて、魔人を倒せなかったので経験値は少ないですが、帰りましょうか」


「この人連れて帰るんですか?」


「一応は」


「すまない、面倒を掛ける」


「モエは先にスペーラに戻ってください。で、」


レスペルの手首に手錠をはめる。


「一応、危険はないという説明を行うまではこのままでお願いします」


「まあ構わないが……」


「こっちとしても魔人を殺したいわけではないのです。その辺はわかってください」


それでは、というと魔法陣の中に詰め込んだ二人を送った。


「さて、こちらは終わりましたが」


『北です。カイトも合流してます。こっちもそろそろ終わるので終わり次第帰ります』


「了解。スペーラも襲撃されてるみたいですから先に帰ります」


『わかりました』


シオンが帰ろうと魔法陣を展開し始めるとカナデからの念話が入る。


『シーオーン!』


「どうしたんですか?」


『どうしたんですかじゃなくて……なんかスキルポイントが3000ポイントぐらい入ってきたんだけど!?』


「……いま魔人と戦ってモンスターを50000ほど潰したのでそのせいかも知れません」


『いや、確実に原因それだけど……』


「80を超えたあたりから必要経験値が跳ね上がったので微妙なところで打ち止めになりました」


『いくつ?』


「99です」


『……私も軍勢狩りしようかな』


「なんかすみません……カナデさんのレベルは」


『81かな』


「今すぐ下げます」


『ええっと、どうやって?……まあ、すぐ追い越すと思うよ。なんか私、必要経験値が低いみたいだから。それに、今から大仕事があるしね』


「気を付けてくださいね」


『わかってる』


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