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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第20章 神殿探しと龍の国
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覇ノ咆哮 -20-06-

飛び出したカナデが目指す場所は眼。

この刃をもってしてもあの鱗を裂ける気が全くしない。

ギリギリまで近づき、高速で左へ回り込む。


左肩?を蹴って頭へと飛び上がる。


「甘いっ!」


横に大きく薙がれ、バランスを大きく崩す。

右手の刀を地面に投げ捨て、何とか頭にしがみついたが、この広くはない場所で星影は宙返りを行う。


「ちょっと……!?」


堕ちないように思わず左手の刀を突き刺す。

思ったよりもすっと刃が入る。

カナデも驚いていたが、星影も驚いていた。

動揺したのかかなりの力でカナデを振り払う。

そして、刀ごと地面に叩きつけられる。


「いったぁ……」


「こっちの台詞よ……」


咽喉から血を流しながら星影が睨む。


「そこまで斬れると思わなくて」


「そうねこれは予想外だわ」


立ち上がったカナデは土埃を叩くと投げ捨てた叢雲を地面から引き抜いた。


「さて、とりあえずそれ治す?まだやるんでしょ?」


「そうねぇ……」


返事を待たずカナデが星影の治療を始める。

その時に小瓶に3つほど血を回収したのは秘密だが。


「さて、それでは改めて」


カナデがある程度距離を取ると今度は星影の方から動いた。

攻撃方法は単純に圧倒的質量とスピードからの突進。


「わ」


ギリギリのところで躱しながら走り回る。

丁度周りで見ていた竜の背を駆け上がり、こちらへ突っ込んでくる星影に向かって飛び込んだ。


「!?」


突進する星影の頭を余裕の表情で足場とし越えていく。

そして背の方へと飛び込む。

捻りを加えながら回転し、その背に交差した斬撃を加えた。

龍の背から激しく血が噴き出す。

HPで言えば此処までで10%ほどしか減っていないし、すぐに回復しきるため全く通用していないが、武器のせいか外傷が治る様子がないためかなりダメージを負っているように見える。


「そんなに強かったかしら?」


「人は日々成長するもの、よっ!」


星影の牙を両刀で受け止め弾き返す。


「あなた星辰なら普通に倒せるんじゃないかしら……ね?」


ドゴン、という音を立てて空から人型の何かが飛来する。


「………なにあれ?」


「さあ?私に聞かないで」


砂埃が晴れると人型の何か―魔人が勝手に話しはじめた。


「魔の眷属たる龍たちよ。魔王は目覚めた。さあ、共に人間どもを駆逐するぞ!」


とりあえず小物のようなので無視してカナデと星影は撃ち合いを再開する。


「さすがに爪や牙は斬れそうにないね」

「女神などという矮小な存在よりも、その力を我が主のために振るうといい」


「あなたがスキル使ったらどうなるかわからないけどね」

「さあ龍たちよ、私に続くがいい!」


「どうなると言われても、バラバラにしたいわけじゃないしね……あと、これでも使ってるし」

「……聞いているのか?」


「へえ……でも本気は出してないんでしょ?」

「なんなのだお前らは……」


「聞け――――っ!!」


魔人が大声で叫ぶ。


「我が名はガラン。クピディタス様の配下。80位だ」


「あのね」


「なんだ小娘」


「うるさい」


カナデの銀閃が八度ほどガランの体を通過する。


「なんかしらけちゃったしお開きにしましょうか」


「そうね。背中治す?」


「別にいいわ。服従のしるしにつけておいてあげる。でもお互い手加減なしでやりましょうね?」


「……そんなにバトルジャンキーだったっけ?あとやる時は壊れる物がないところでね?」


刀をしまい。人型に戻った星影と共に呆然としている長老の所へと歩く。


その背後では魔人がゆっくりと灰になっていった。


「……アレに何したの?」


「特に何もしてないけど……まあ80位って言ってたし弱かっただけでしょ?」


「それもそうね」


その主従の会話に長老が口をはさむ。


「あれは一応竜と同等クラスのレベルはあったぞ?」


「一瞬で沈んだのに?一回鍛え直した方がいいんじゃない?」


星影が呆れた、という表情で言うと長老が口を引き攣らせた(様に見えた)。


「とりあえずここは通っていいってこと?」


「どうぞお通り下さい」


「今度は星辰……無天龍も引き摺って来るね」


カナデの言葉に長老の顔が固まる。

カナデと星影が暴れたせいで地面はガタガタで岩壁は穴だらけだし、妙に綺麗に切り込みが入った部分もある。

殺気というかそんなものに中てられて失神している竜もいる。


「まあ今度は暴れないようにするから」


「それがいいわね。あと魔王側に着いたりしたらこの谷ごとブレスで消し飛ばすからね」


星影の本気の言葉に意識のある竜たちが身を震わせる。


「さて、これで龍人の街へ向かえるわけね」


「その前にカナデに何か贈らないと」


「え?」


「試練に打ち勝ったら何かプレゼントをしないとダメなのよね……何か欲しい物は?」


「…………すごい強いスキルとか?」


「大雑把な希望ね……相当レベル上げないとつかいにくい微妙なスキル3つと、異常に強いスキル1つどっちがいい?」


「あれ?割と無理難題を吹っ掛けたつもりだったんだけど、ホントにスキルくれるんだ……。まあ、その選択肢なら前者かな」


「まあそういうと思ってたけど。ちなみに私に勝った人間は貴方が初よ」


「あれって勝ったのかな?」


「でもカナデ無傷でしょう?」


「まあね」


《龍気》《覇気》《蛇眼》とかいう見た目からしておかしいスキルを手に入れることとなった。


「ちなみに異常に強い方って?」


「《宵の暁》っていうすべてを有耶無耶にして無効化するスキル」


「……それはすごい。けどさすがにそれは……」


『か、カナデさん!?なんか突然スキルレベルが跳ね上がって、見覚えのないスキルがいくつか増えたんですけど!?』


「あ、シオン。ごめんいろいろ戦ってたらそうなった。レベルもまた随分上がったし、魔人も倒したし」


『魔人ですか!?』


「とりあえずハルトさんに報告しといて80位倒したって」


『了解です。とりあえずこのスキルはこちらでも検証しておきます』


「よろしくね」


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