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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第20章 神殿探しと龍の国
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魔の訪問 -20-02-

「あんたはまともそうでよかったよ。オレたちを見ると斬りかかってくる奴ばっかりでさ」


いつもの会議室にいるのはハルトとスズネ、エイダイ、エンマ。

そして、見慣れない男女が一名ずつ。


「まあ、そっちが戦う気がないならね。あんまり戦闘はしたくないんだよ、正直」


「あら、カナデさんたちが来たようですね」


ノックの直後すぐにカナデとシオンが顔を出す。

シオンはカナデ謹製の木刀(斬れる)を構え、そして、カナデは客人に向かいナイフを投擲した。

ナイフは男の頬を掠めて壁に突き刺さる。


「ハルトさん、止めないでくださいね?」


「いやいやいや、止めるよ?彼らは確かに魔人だけど、好戦的なタイプではないから!」


「やっぱり、斬りかかってくる奴いたよ」


魔人の男の方がやれやれとため息をつく。


「この場合ゼロアが悪いのでは?」


「何でだよ!」


「悪人顔だから」


優雅に椅子に腰かける魔人(女の方)がゼロアに言い切る。


「えっと、大丈夫?」


ハルトが一応、魔人を心配する。


「ああ、大丈夫大丈夫。ミスリルでも斬れないか……おわ!?血出てるじゃん!」


頬を撫でた手のひらを見てゼロアが驚愕する。


「そりゃ、色金と神鉄の合金だもの」


「さすがカナデさんです」


「ごめんね、この娘達最近魔人に襲撃されたばっかりで」


「はぁ……もう動いてやがったか。どうせクピディタスのトコの奴だろうけど」


「“魔王直属”とか言ってたけど、確か19位」


「うおっ!?ヴァリアーのオッサンかよ。よく生きてたな小娘ども。オレでも勝てるか……ぐふっ!?」


熱弁しようとするゼロアの腹に女魔人の拳が突き刺さる。


「そんなの後でいいから本題。私はアニマード。で、こっちがゼロア。魔王軍列席2位のゼリ様の臣下」


「ちなみにオレが23位で、コイツが55位だ」


「うるさい」


またもや腹に一発貰うことになるゼロア。


「それで、そのゼリ様の臣下とやらが何か用?」


カナデが怪訝な顔で問いかける・


「主の言葉を伝えると『私は魔人による太平などに興味はないので、魔王を駆逐して魔人の国の成立に手を貸してくれるのならば、魔王討伐に手を貸そう』だそうです」


「……本当に信用できるんですか?」


ハルトの方へと確認の視線を向ける。


「うん。盟約書ももらったしね。特に不利益もない。最悪ねじ伏せれば勝てないこともないし……」


さらっと最後の方に物騒な事を云うハルト。


「まあとりあえずあなたたちの派閥の魔人はこちらの味方になるってこと?」


「いや、それがそうもいかないんだよ」


「一部、バカな連中が突っ込んでくると思われます。ですが斬り捨てていただいて構いません」


アニマードがそう言い切るとさらに続ける。


「戦場に関してはゼロアの方が詳しいので任せます。その間にカナデさんに話があります。少々よろしいですか?」


「私はいいけど……」


シオンがしっかりとカナデの腕を取る。


「多分シオンは離れないよ?」


「構いません」


そういうとアニマードを連れて会議室を出、無人の執務室へと入る。


「改めまして、私はアニマード。“観測者”です」


「は?」

「え?」


「私は多次元の私と記憶を共有する能力があります」


「はぁ……」


「理解してますか?」


「えっと、唐突過ぎてなんとも」


「あなたたちの世界では「日向 楓音(ひゅうが かのん)」という名前です」


「……クラスメイトの?」


「はい、そうです。響さん」


「あー……その感じ何となく……ってことはホントなの?」


「心を読めるという可能性も……」


シオンは疑っているようだが。


「いや、解析で見る限りそんなことはできそうにないよ」


「とりあえず信じておいてください。話が進まないので」


「それで、何の話なの?」


「世界の話を少し」


「「………?」」


揃って首をかしげる2人。


「1つの世界とそれに付随する9つの平行世界。私はその10の世界のうち8つに存在しています」


「なんで8つ?」


「それはわかりません。ただ、(0)の世界に私がいないことは確かです」


「……それだけ?」


「どの世界でも大きな異変が起きています。原因は9番目の世界が神様に喧嘩を売ったことですかね」


「じゃあ、その世界のせいで私たちがこんなことしなくちゃならなくなってるの?」


「まあ、その世界の住人全てが悪いというわけではないんですが。そのせいで神様が不安定になっているのは確かですね」


「その話を私にしてどうしろと?」


「いえ、おそらく響さんなら他の世界にも行くかもしれないという私の予想です。もし、それが事実になれば、その世界のどこかにいる“私”を訪ねてください」


「あんまり、人の世界(いえ)に遊びに行くのは趣味じゃないんだけど」


「まあ、その辺は神のみぞ知るという事で」


「とりあえずそれは覚えておくとして、それで?」


「……これだけです」


「……なんで世界の話を、とか仰々しく始めたの!?」


「とにかく、一度戻りましょう」


「私もういいや。久しぶりに動いたから疲れた」


「私もです。謎の頭痛が」


「……えっと、お大事に」


扉を開き、会議室へと戻る一行。


「それじゃあ私は戻るね。まだ本調子じゃないみたいだし……あ、そうだ。スズネさんの武器あずからせてください。強化するんで。エイダイとエンマもついでに」


「了解しました」

「お、オレたちもいいのか?」

「ありがたい」

「……え?僕は?」


「まあ、錬金術使える術師が増えたことだし。カケルさんと……姉さんにも持ってきてって伝えておいて。希望があれば詳細はメールに。私はしばらく工房に籠るから。シオン、いこっか」


「はい」


シオンをとなってカナデが会談をおりていく。


「……強くなるのはいいんだけど、オレの武器も厨二な感じの能力着くのか……」


「あれはヨウジのせいだと聞いたが……」


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