表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第20章 神殿探しと龍の国
211/307

繋がるチカラ -20-01-

「本当に大丈夫?」


カナデがシオンの右目を見つめながら問いかける。

朝のカナデのベッドの上であるが当たり前の用にシオンがいる。


「大丈夫ですって。もう三日たってますよ?……というか近いです、照れます」


「嘘ついてない?」


「大丈夫です。カナデさんだって倒れたんですから……」


「私の事はいいんだけど……体おかしくなったりしてない?変なもの入れたせいで」


「変なものって……あ、でも薙刀が使えなくなりました」


「……え?それはどういう……」


ベッドからするりと降りると、手に薙刀を持ち、何度か振って見せた。

しかし、スキルが働いている様子はなく、シオン自身も薙刀に振られているような感じである。


「こんなかんじです」


「スキルはどうなってるの?」


「えっとですね……」


虚空でいくつか操作した後、自分のステータス画面をこちらに向ける。

スキルの項目に書かれているのはすべて《******》。


「……バグってる?」


「そのようです。でも魔法は使えるんですよね……カナデさんの方はおかしくなったりしてませんか?」


「確かめてみる」


自分のステータスを開く。

レベルが随分上がったせいか大量のスキルポイントが入っている。


普通の二倍ほどの。


「……いやいや、おかしい」


「何かありましたか?」


「スキルポイントが倍ぐらい入ってる」


「それはいいことなのでは?あ、カナデさん余ってるスキルクリスタルありますか?使えるか試してみたいんですけど」


「あ、うん。あるよ。いっぱい。これ全部振りきったらいくつか消えそうだから状態異常耐性をもっと増やそうかな……」


カナデが並べたスキルクリスタルを二人で物色しながらいろいろ試していく。


「……ダメですね。使えません」


「こっちは有り余り過ぎて《多重起動》《広域化》《時間延長》が最大になったよ。あとは、古代魔法がまとまって《古代魔導術》になって……それを最大まで上げたのと……」


「すごいことになってますね……」


「《錬金術・極》っていうのが出たのと、状態異常がついに全部無効になった」


「……おめでとうございます。でもなんでスキルポイントが倍に?」


「……………もしかして、シオン。ちょっと振ってみて」


アイテムボックスから木刀を取り出してシオンに渡す。


「わかりました……えい」


見えない何かに補助されたシオンの刀は壁に深い傷を作る。


「……え?」


「やっぱり」


「えええええ?!つまりそういう事ですか?」


「そうみたいね。三日間寝てただけだから気づかなかった。そうと決まれば武器新調しないとね」


「ちょっと待ってください…………!?」


シオンがこちらにステータスを向ける。伏せられていた部分が見えるようになっている。


「……さっき私がした変更も反映されてるねぇ」


カナデの物とまったく同じスキル構成、レベル。


「……ということは私のスキルポイントはカナデさんに流れるんですね」


「なんかごめんね?」


「いえ、構いませんが……とりあえず武器の調達と、刀の扱い方を教えてください」


「任せて」


シオンにしてみれば半端にカナデを目指したスキル構成よりもこちらの方が遥かに強いのでうれしかったりするのだが。


「〈切れない絆〉って称号のせいかな……コレ、効果書いてないし」


「そうですね」


しばらくぶりに外へと出る。思ったよりも体のダメージが抜けず、昨日まではぐったりだった。シオンも本調子とはいかず、時々めまいのようなものを感じたらしい。

今朝起きた時点ですっかり元に戻っていたが、スキルが変動していた故の障害だったのだろうか?

街へ出るのももちろん久しぶりで、知り合いから駆けられる声に返事をしながら目的地へと向かう。

昨日の夜にハルトから呼び出されていたのだ。


「それにしても用件なんでしょう……きゃっ!?」


突如、カナデの視界からシオンが消えた。


「え?!シオン?……って、わっ」


カナデも何者かによる強引な転移を受けて視界が代わる。

見覚えのある風景と、嫌な予感。

化粧台の上では黒猫が欠伸をしている。


「……とりあえず、星影。久しぶり」


「まったく。シオンに追い出されちゃったわ。しばらくレイのとこに住んでたのよ……」


「そうだったの。何やってるのよシオン……」


同じくソファに座らせられているシオンに視線を向ける。


「ははは、何のことでしょう……それよりこの部屋って」


「うん。組合のレイさんの部屋」


「そうそう。という事で新しい制服ね。今度こそは貴方たちを傷つけさせたりしないわ」


レイさんが持ち出したのは以前の物よりも軍服に近いデザインの上着とミニスカート。何のこだわりかしっかりサイドにスリットが入っている。

色は白。装飾に青と金が使われている。


「うわ、かわいいけど……目立つよねこれ」


「そうですね……まあどうせ抵抗できないんで着ますけど」


「あ、このニーソックスとガーターベルトつけてね」


「「え……」」


「あと、合わせて帽子も作ってみたんだけど」


「それはさすがに……」


「シオンには眼帯も「遠慮します!」……食い気味で来るとは」


一通り装備し終わると謀ったようなタイミングでニコルとヨウジが部屋を訪れた。


「こんにちはー、さすが美人なお二人似合ってますよ!」


「はは、ありがと。で、どうしたの?ニコル」


「これをプレゼントしに」


そういうとカナデの背後にまわり髪を結いあげた。


「サファイアブルーの髪紐。一応、INT 8%つけたよ。シオンには同じ色のヘアバンドね」


「ありがとうございます」


「ありがとう、ニコル。で、ヨウジさんは何しに?」


「刀壊れたんでしょ?新しいの作るかなと思って」


「そうですね……対魔人で考えるとミスリル製は効きがイマイチだったので総色金で3振りお願いします。系統は無が2、闇が1で」


「良いけど、そんなにどうするの?」


カナデから魔法珠と水晶貨を何枚か受け取りながらヨウジが問いかける。


「次の会議で説明します。どうせみんなに話さないといけないので」


「じゃあ、明日までに仕上げるね!」


そういうとヨウジは猛ダッシュで部屋を出て行った。


「いや、別にそんなに急いでない……」


「それよりカナデ、これどうかしら」


いつの間にか人型になっていた星影がいつの間にか着替えて横で回っていた。

この新しい制服に合わせた衣装をレイさんに用意してもらったらしく少し自慢げに回っていた。


「あなたまで衣装変える意味あるのかな……」


「カナデさん、ハルトさんから呼び出しが……」


「……じゃあいこっか。星影……は一緒に来る気なのね?」


「ええ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ