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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第18章 冒険者たちの練磨
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技術“超”躍進 -18-09-

「なんで、オレ縛られてんの?」


椅子に縄でくくりつけられたヨウジが問いかける。


「いや、だって逃げるから」


「だって、じゃなくて。いきなりちょっと話聞かせてね?とか凄まれたら逃げるわ!」


「口答えはいいのでキリキリ吐きなさい」


スズネがヨウジに銃口を向ける。


「なんでだよ!おい、お前の嫁暴走してんぞ、止めろ。っていうか何を吐けばいいんだよ!?」


「この武器の効果なんだけど」


スズネの銃を指す。


「ああ、“武器スキル”ね。でも、作ったのカナデさんじゃん……」


「でも、発案者は君でしょうが。で、どうやって作ったの?」


「武器の素材として魔法珠を使っただけだよ。まあ、錬金術使わないと無理だったけどね」


「なるほど。で、どれだけ効果あるの?」


「え!?攻撃上昇だけじゃないの!?」


ヨウジが素で驚いた顔をする。


「クリティカル上昇も使ってましたよ?」


「……もしかして全部ねじ込んだのかも」


「ますますこの世界においてけなくなるでしょうが……」


ハルトがため息をつく。


「基本的にステータス上昇だけだと思うよ。動きとかになんか発動条件があると思う。まあそのおかげでステータス上昇系の魔法見つかったようなもんだから大目に見てよ」


「カナデさんの動きを完全にコピーしてましたね、シオンさん」


「……そういえば、技名とかあるの?」


「“遁走曲(フーガ)”にしてたと思うけど、技名叫んでなかった?」


「たぶん、わざわざ言わないと思いますが……」


「もういいや、軽く拷問し(はなしきか)ないといけないのはヨウジだけじゃないし。とりあえず、今の奴売らないでね?」


「売るも何も、カナデさんしか作れないって」


とりあえず、ヨウジにくぎを差し、スズネと共に部屋を出る。


「え!?オレ、このまま!?縄解いて!……えええ!?無視!?」


次の目的地を目指す。


「キクロさんに事情聴取ですか」


「うん。どうやら完成したみたいだからね……って、なんで君は着いてくるの?」


「秘書でもやろうかと」


「とても有能なのは認めるけど、監視されてる感がすごい」


魔研の研究棟を目指して、石畳を歩く。

途中、ヨウに絡まれるが適当にやり過ごして研究棟の扉を開ける。

それと同時に、中からヤバい色の煙が噴き出す。


「うわっ」

「きゃっ」


煙が晴れるのに数十秒。


「ごほ、ごほっ……何これ……」


「えっと、毒状態になりました。辛いです」


「おい、大丈夫か!?」


ガスマスクのような物を付けた男が階上から降りてくる。

顔はわからないがおそらくヴィクター。


「まあ、なんとか」


解毒ポーションをスズネに渡しながらハルトが答える。


「すまんな、良くわからないがゼオンがミスをするという珍しい事象が起きてな」


「……キクロは?」


「ああ、ハイテンションで待ってるぞ」


ヴィクターに導かれてキクロの研究室に入る。

そこにはファンタジー世界に不釣り合いな人工物で構成された空間が広がっていた。


「やっときたね!見てくれ、これが人造魔法生命体TRACE-I型だ」


硝子のケースに入った白い体は完璧な人の形をしていた。

しかし、ハルトが見たのはそこまでだった。


「痛い痛いっ、何すんの!?スズネ」


「最初はキクロさんの物からではなかったんですか?なぜ女性型?」


「まあ、それは、男創っても美しくないというか……とりあえず、手離してあげたらどうだろう?眼球潰れそう……」


スズネの手がハルトの顔から退く。


「はあ、眼潰れるかと思った……とりあえずスペックとかは?」


「コピー元の能力の50~60%を受け継ぎます。それでもこの世界ではかなりの強さかと」


「じゃあ、とりあえず、その娘起動してみよっか」


「了解」


硝子の容器から取り出された娘は、ゆっくりと瞼を開く。起き上がる前にスズネが服を着せる。


「おはようございます」


「はい、おはよう。私がわかるかな?」


「父様ですね。私はTRACE-I-01です」


静まる一同。


「どうかした?」


「いや、とうさまって……」


「引くところそこですか……」


スズネの言葉にキクロが珍しく落ち込んでいるようにも見える。


「とりあえずステータスは……うん、問題ない」


「なんか複雑な気持ちだ」


「やっぱり命を作るなんて神をも畏れぬ所業は……」


「それもあるが、キクロが人の親として成り立つのだろうか」


「……僕もそれ思ったけど、それは今割とどうでもいいと思うんだ」


どことなくキクロに似た容姿の女性。年は20にも満たないだろう。


「とりあえず、教育はフィリーネに任せる」


「なんで私!?」


研究室の隅で事務作業をしていた女性が声を上げる。


「その必要はありません。私は父様の行動パターンなども完全にコピーしています。すぐにでも学園長として仕事に就けるかと」


「行動パターンを判別するのはいいけど、“奇行”の方はしないようにね?あと、仕事中にもいらないことたくさんしてるからあの人」


フィリーネが少女の肩を持ちながら言う。


「了解しました。それでは、フィリーネさん一通りの仕事の説明を再確認のためにお願いします」


少し感動した様子のフィリーネを置いておいて話は進む。


「それで、名前は?」


「名前?」


「これからあと何体か創ってもらわないといけないし、識別番号だけっていうのもかわいそうでしょう」


「そうですねぇ………フィーネ・ハーゼンバインを名乗るといいでしょう」


「わかりました父様」


「フィリーネからとったのか?ほんとに仲良いなお前ら」


ヴィクターがそうつぶやくとフィリーネの顔が紅潮した。


「さて、どうでしょう」


笑顔ではぐらかすキクロ。


「そういえば、キクロとフィリーネさんって幼なじみって聞いたけど」


「そうです。小さいころからこいつコレには振り回されてきたんです」


答えたのはフィリーネ。


「ハルトさん、私たちも子供(ホムンクルス)創りますか?」


「まって、なんか本心がすごい見えたんだけど……」


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