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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第18章 冒険者たちの練磨
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錬金術師のお仕事 -18-03-

本日、カナデは組合本部に来ていた。珍しく暇ができたので、かなり放置気味の組合のほうを覗きに来たのだが、建物に踏み入れた瞬間レイさんに捕獲された。


……樹系統の捕縛魔法とかなんで使えるんだろうか、この人。


「で、カナデちゃんは何しに来たの?」


ストローを加えたままニコルが訪ねる。

安価で学生でもお手軽に買える果物のジュースが今、この街ではブームらしい。


「錬金術でいくつか作り上げた素材があるので各部門に提供を……」


「で、なんでレイさんに捕まって着替えさせられてるの?」


「私が聞きたいです。というか、抜けられそうにないのでヨウジさんとロランドさん、ロイドさんとシェリーを呼んできてくれませんか」


「おっけー」


「カナデちゃん次水着いっとく?」


「それは勘弁してください」


そして数分後、ニコルが4人を連れて部屋に入ってくる。


「呼ばれてきたけど……何やってんの?」


「というか、この部屋オレたち入っていいのか?」


「あとで、エイダイとかに〆られねェか?」


「カナデ、写真撮っていい?後、売っていい?」


ヨウジ、ロランド、ロイド、シェリーの順に部屋に入り、部屋中に置かれた服と表示枠を操作して着替え中のカナデを見て、それぞれ言葉を発する。


「あ、すいません。なんかこんな格好で」


なぜかチャイナドレスを着せられているカナデとそれに合わせて髪を結っているレイ。


「いや、こちらとしてはいいもの見れたな、って感じだから気にしないで」


「いや、それはちょっと言っちゃだめだと思いますよ……」


ヨウジの発言にニコルがあきれたように言う。


「で、新素材とか?」


「ああ、はい。このインゴット受け取ってください。たぶん鍛冶で作れます」


オブジェクト化した緋色と銀色の直方体をロイドに渡す。


「緋々色金と神鉄……」


「どこでこれを?」


「色金の方はヤマトで残骸を買い集めて創りました。神鉄は……調べて貰ったらわかると思いますが、ミスリルをベースにいくつかの鉱物を合成していく感じですね」


「なるほど、ミスリル武器を魔改造する段階で見つけたのか」


「はい、大体そんな感じで。あとは、繊維です。まあ、これは性能とかはあまり期待できないんですが、レイさんとニコルさんは使うかなと」


いくつかの布きれを手渡す。


「化学繊維みたいな感じね……」


「4番隊の皆さんが大量にくれた海系のモンスターや、虫系のモンスターのドロップから作ったんですが、使えますかね」


「ミスリル糸とか魔法糸ばかりだと値段跳ね上がるから、こういう大量生産できそうなのはうれしいかな」


「装飾といっても彫金系ばかりじゃないからねー。お礼にリボン作ってあげる。シオンとお揃いで」


「ありがとうございます。……で、レイさん。いつの間にそのナース服持って来たんですか?」


「これ?スカートが短すぎて8番隊に拒否されたんだけど……」


「そんなもの着せようとしないでください」


「じゃあ、せめて現行版を……」


その光景を見て、ロランドが告げる。


「オレたちもう出た方がいいか?」


「え、ああ、すいません見苦しい物をお見せして」


「いや、見苦しくないから困ってるんだが……」


「そうですか?それはどうも……」


「ここに、シズネさん呼んだらどうなるかな……」


シェリーが恐ろしいことをつぶやく。


「おい、待て、話し合おう」


「我々は無実だ」


「よし、お金で解決しよう」


「うわぁ、ヨウジさんサイテー」


ニコルがじと目でヨウジを見る。


「ええ!?今脅迫されてるんだよ?もしかして状況わかってない!?」


「いやでもヨウジ、それはさすがに……」


「人としてどうかと思うぞ」


「なんで君らも敵にまわるんだよ!」


騒がしくしたせいか、隣の部門から人が訪れた。


「あの……って、なんで、部長さんが集合?えっと、僕だけハブ?」


「あ、ケント君。聞いてよ、酷いんだよ」


「え、あの……状況が呑み込めないんですけど……とりあえず、カナデさんお久しぶりです」


「あ、うん。道具系の新技術で提供できるものが特になかったから呼ばなかったんだけど……」


「あ、そうなんですか。ってことはロイドさんが持ってるインゴットがまたすごい物なんですね」


「あと、これね」


ニコルがいくつかのタイプの布を持ち上げてみせる。


「あ!それ、ちょっと見せてもらっていいですか?」


「いいけど」


ケントが布を見る。


「魔研と8番隊から相談うけてまして、包帯とか湿布薬に使えるような布を探してたんです。ある程度伸縮性のある。これ、分けてもらっていいですか?」


「うん、問題ないよ」


「魔法で治せるのに包帯とかいるの?」


「はい、こちらの人は回復魔法を使える人は少ないですし、薬やこういったもので応急処置できるに越したことはないです。ああ、そういえば薬師っていうスキル獲得したんでカナデさんに教えてもらったポーション作れるようになりました」


「じゃあ、カナデさん。報酬はシェリーから受け取ってね」


「報酬……もらえるんですか」


「あんまり多くないけどね」


そういうと、シェリーが金貨を数枚カナデに手渡す。


「じゃあ、カナデちゃん次行こうかー」


「え!?まだ終わらないんですか!?」


カナデの着替えは続く。


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