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女神の箱庭I =カサナルセカイ=  作者: 山吹十波
第18章 冒険者たちの練磨
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代表会議Ⅶ -18-01-

久しぶりに全員が着いたテーブルを見て、ハルトが頷き、話し始める。


「とても久しぶりに集まったね」


「そーいえばこんなんあったなぁ……」


エイダイが少し眠そうに言う。


「もとはと言えば君たちが街にいないからできなかったんだけどね」


「で、何について話し合うの?」


いつの間にかハルトの向かいに席を移したオトハが発言する。


「えっと、なんでオトハそこなの?」


ハルトが問いかける。


「嫌われたんじゃねーの?」


エイダイがそう言った後、エイダイにカナデが何かを耳打ちする。


「ああ、なるほどな。すまんハルト。続けてくれ」


「なんかすごく気になるけどいいや。とりあえず各部署報告」


エンマが立ち上がる。


「王国貴族のガキどもがヤンチャしてるのを何回か補導した。あと、スパイっぽい奴を何人か捕えた、とそれぐらいか?」


エンマが隣のシズネに確認を取る。


「ええ、そうね。あと、テロ未遂みたいなのが数件あったけど、なんか爆発が起きた如きじゃウチの街動じないのよね……」


「ホントに誰のせいだろうね」


ハルトがキクロを見る。


「はっはっは、誰のせいでしょうね」


それを笑って受け流すキクロ。


「じゃあ次、ギルド」


「マーレ・メンシス間に街道ひくとかで、そのあたりの森の討伐依頼が増えてる……らしい。他国からの冒険者も仕事求めて結構来るようだが、たまに柄の悪い奴が来て面倒……みたいだ。あと、人員が足りないからもう少し事務職員増やしていいかって」


エイダイは座ったままメモのようなものを読み上げた。


「ほとんど伝聞じゃないか……人員の方は2、3人なら良いって言っておいて」


「了解。んじゃ、次は組合だな」


レイさんが立ち上がる。


「ヨウジじゃないの?」


「オレにできるとでも?」


「あ、うん。わかった。レイさん、よろしく」


「はい。ミスリルの在庫が減っているので近々買い付けを行いたいという点と、こちらの世界の弟子を何人かとることにしました。学園でも、生産系の講義は行うつもりです」


「鉱山とかから直接買い付けた方が安いのかな……」


「王国の騎士襲った方がはやいんじゃない?」


「オトハ……問題発言は控えて」


「王国は今内部で色々揉めてるみたいで国力おちてますね。まあ、ウチが原因ですが」


全員一斉に声の方を見る。


「すみません、遅れました」


「スズネさん、お茶いりますか?」


「それではお願いします」


カナデがスズネの分のお茶を用意するために立ち上がり、スズネは平然とハルトの横に座った。


「すみません、次は魔研ですね。どうぞ、」


「いやいや、なんでいるの!?」


ハルトの言葉を遮るようにして、キクロが話しはじめる。


「学園の方は目立った問題はないですね。ただ、少し身分に不満がある子たちがいるみたいですが……。私の方では人造人間(ホムンクルス)のせいぞう実験が上手くいってます。もう少しで実用化できるかと」


続けてクロエが発言する。


「こちらでは、ゼオンさんと協力して、現代の医療機器に近い物を作り上げています。それと、即死系の毒薬と麻酔系の薬をいくつか作りました。モンスターに有効です。あとは、強酸がアイアンアントに効いたぐらいですかね」


「思ったよりすごいもの作ってるのな……」


エイダイが引き気味に反応する。


「でも、そろそろ私もフィールドに出たいですよ。研究室にこもりっぱなしだと病気になりそうで……」


「キクロのような変人ばかりではないよな、やはり」


エンマの言葉にクロエが、そうです!と答える。


「それでは、諸外国の状況を」


スズネが手もとにウィンドウを開きながら立ち上がる。


「ストーップ!なんで君がそんなこと知ってるの!?」


「それは企業秘密です」


「秘密って……」


「それでは、諸外国の状況ですが、王国は先ほども言いましたが、うちとの同盟賛成派(王家派)と反対派貴族とそんなの良いから女神を崇めたい派(ラルフ派)に分かれてかなり混沌としています」


「最後の何……」


「まあ、求婚されなくなったからいいじゃない。……その代わり崇められるけど」


落ち込むカナデに少し暗い声でシズネが励ます。


「マーレとメンシス間の街道はしばらくかかるかと思われますが、メンシス側国境のカード伯爵が辣腕を振るってるようですね。帝国とフランマ王国では特に大きな動きはありません。トニトルの情報は得られていません」


「スズネが一番動き回ってるんじゃないの?」


シズネの問いに答える。


「いえ、私はこの街から基本出ていません。というか、ハルトさんが出してくれません。その代わり、数人影がいますが」


「超過保護じゃないか」


「うるさいヨウジ。それ以上言ったらエイダイの秘密漏らすよ」


「なんでこっちに来るんだよ!」


ぎゃあぎゃあと喧嘩を始めた三人。それを止めたのはノックの音だった。


「失礼するわ」


「星影。どうした……って、それ何?」


人型の星影が手に持っている白い毛の生物を見てカナデが怪訝な顔をする。


「星辰。なんか結界が強化されてて転移で入れなくなったから目立たないようにこの姿で入ってきたみたいだけど、女の子に追いかけまわされてたのを拾った」


首根っこを掴まれて無抵抗にぶら下がったイタチのような白い生き物が、下に降りようともがく。


「わー、かわいいー!」


やっとのことで星影の手から逃れたが、すぐにオトハに捕獲される。


「……えっと、何しに来たの?」


「ゲイルの奴をなんとか説得……ええい、放せ!」


オトハの手から抜け出し、人型に戻る。


「んん……風龍をなんとか説得して女神候補と会うようにさせた。ただし、神殿に入れるのは主とその1名だけという条件で」


「ありがと星辰。で、何でイタチなの?」


「なんでと言われも……」


「私も光耀変身させよーっと」


オトハが龍で遊ぶ気満々だ。

用事が終わった星辰はいつも通り転移で消えて行った。どうやら中からは使えるようだ。


「それでは、カナデさんには風神殿に合いそうな冒険者を数人連れてトニトルへ向かってもらいます」


「わかりました」


「龍の谷を通ることになると思うから私も同行するわ」


猫の姿でオトハに抱えられていた星影がカナデに言う。


「じゃあ、それはカナデさんに任せるとして、まずは、光神殿の掃除からだね」


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